日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

世界を繋ぐユッスー・ンドゥールの想いを、大勢の人に!

2015-09-27 17:42:26 | 日々・音楽・BOOK

来宅した娘から「覚えてる!」と言われて渡されたCD、ユッスー・ンドゥールの「ジョコ(JOKO」。
瞬時に、娘に誘われて出かけた三軒茶屋近くの昭和女子大人見講堂で行われたユッスーのライブの様が蘇った。一昔前になる。
そして、その人見講堂には小澤征爾の指揮によるコンサートに出かけたり、キャンパスの建築の撮影をさせてもらい、関連して大学の教授に請われて数年にわたって短大生たちに、各地に存在するモダニズム建築の存在を写真を写しながら講話をしたことなども思い出した。

さて、このCDには18曲が収録されている。そのいずれにも生誕地、アフリカの「セネガル、ダカール」のメディア地区に生まれたユッスーの故郷への想いと、其れを越えて世界で活躍してきて見えてきたものへのメッセージが込められている。

冒頭の「ウイリ・ウイリ」は、人々のざわめきの中でつぶやくような唄い方で始まる。そしてそのメッセージは「何処へ行こうとも人々は出発点へと帰ってくるものだ」。
各曲の解説文のユッスーに電話でヒヤリングした北中正和氏の簡明な文体に心が奪われる。この曲、自分が何処に向かっているのかわからなくなったら、元いた場所にもどれ、誰もが君の名前を知っている場所へ、教育を受けた場所に、ブーメラン・・・そうか!と。では僕の元いた場所とはどこか?と思わずつぶやくのだが!

17曲目の「ミス」。
男たちは君たちに勝ってなんかいない。君たちは誇り高く忍耐強い。そしてエレガントだ。ミスよ!と投げかける。
解説者は官能的な声だと述べるが、曲の中で「ああセネガルの女たち・・アリン・シトエ・ジャタ」と投げかけたこの女性は、女兵士として前線に立ちフランス軍に抵抗したが、処刑されたという。ユッスーは彼女たちは男なんか恐れなかったと、朗々とした声で空に向かって歌い上げた。

そして最後の一曲。名曲、オブ・ラ・ディ・オブ・ラだ。
其れまでの17曲とはまったく趣を変えて、笑顔が浮ぶようなざっくばらんに皆んなで一緒に楽しもうよいうような歌い口「君も楽しくやりたいのならオブ・ラ・ディ・オブ・ラをやってごらん」と投げかける。2000年、15年前の世界へのメッセージだ。

ユッスーは僕より一回り以上若い1959年生まれ、生誕地がフランスの植民地になり、その一角にその地の人々は押し込められたが、そのために昔のこの地にはセネガル・ダカールの面影がまだ残っているという。僕たち建築家は、世界で活躍する彼の故郷への思いについホロリとさせられる。

敢えて書く。さて僕は、ユッスー・ンドゥールに想いを馳せながら、これからの日本を若い人たちの為にも、安倍晋三に託したくない。いや托さない!