日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

東北巡り(2) 自然の原理の中で 盛り土

2015-05-05 12:17:05 | 自然

この度の東北紀行は、前項に記したように女川、石巻を森教授と共に小岩さんに車で案内してもらうことでスタートした。その女川も石巻も、そのまちの様を隈なく回ったのではなく、気になっていたところだけを案内してもらったということになった。それでも4年を経たその地の抱える現状の一端を生身で感じ取ることはできた。
石巻。
堤防構築工事がなされていて、内地側には柵があって近寄ることは出来ない。その向うに海があるのだが・・・
一本の少し盛り上げた仮設道路がただ走っていて人影はない。そして草の野原の1軒の放置された家屋の姿が僕に焼きついた。

朝日新聞の4月20日の社会面に、1200億円をかけて、120ヘクタールという膨大な土地をかさ上げ(盛り土)する復興事業がなされている岩手県陸前高田市の様相が特集されている。(市の)存続へ命運をかけた事業、という副題に、この記事を書いた杉村和将記者の一言にそうだと思いながらも、何かが気になる。

・・街に愛着を持つ人たちが各地でバラバラで暮らす現状を見ていると、中心となる街が消滅したままでいいとは思えない、とあり「陸前高田」が存続できるかどうか命運をかけた事業・・だと捉え・・応援する視点で見つめていたい、とある。そうなのだが、命運をかけた女川復興事業と、何かがなされているとも思えない石巻のこの地の一側面を見ると、単に人の生きることと、自然の原理との葛藤の回答の一つの事例だともいえなくなる。