田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

夕日の中の理沙子 34 麻屋与志夫

2008-12-09 22:16:07 | Weblog
この県ではトップの名門校。

わたしも、はやく小説かきたい。

カオスにみちた。

東中学での三年間。
田舎街での青春。
きらめく青春。

東京から駆けつけたプレスのひとたちが。
けっして取材できなかったことをかきたい。

定期試験廃止中学の名誉と。
これからおきるかもしれない……。
挫折への予感。

現場で身をもって生きてきた経験をかいてみたいんだ。

ニュース価値がなくなったと思えば。

さっと引いて、消えてしまうマスコミのひととはちがう。

ちがった切り口でかける自信がある。

だってわたしたちが経験したコトナンダもの。
 

いまどきの少女もこうしたときは、かわりがない。

おそるおそるみあげた合格発表の掲示板。

じぶんの受験番号をみつけたときは、さすがにほっとした。

だれも、そばにいてくれないのがよかった。

感動をデープにあじわえた。

わたしが、泣いている。

信じられない。

わたしが泣いていた。

いろんなこが、ありすぎた中学生ライフともさよならだぁ。

夕暮れの校庭。

たそがれていく薄闇のなかで。

キヨミ、タエコとわたしのさんにんで。

はなしあった未来の彼氏のこと。

将来の進路。

職業。       

うすよごれた体育館の床にすわってのセンパイからのしごき。

ヤキいれ。

おもいでは、泉のごとくわきでる。  

そうだ、トレビの泉にいこう。

わたしらしい、連想ゲームだ。

かえりに、オリオン通りにでた。

はじめてコウジとはいった「トレビの泉」。

モントレーを注文して、ひとりでゆっくりと時間をかけてたべた。 





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ああ、快感。


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夕日の中の理沙子 33   麻屋与志夫

2008-12-09 18:26:58 | Weblog
わたしはフエイクのブルゾンをきて、夜の街をはしった。

ひたひたと大きな炎の方角にはしりつづけた。

悲劇は続くものだ。

倒産の次が火事。

火のいきおいはものすごく岩村材木から隣のコウジの家に燃えうつった。      
「これじゃ、高見建具も丸焼けだな」
わめいている。 
「いまごろ、宵の口からなんの火かな」
野次馬はさけぶ。
自転車できているものもいた。
うるさいほど、ブレーキをかける音がした。

ホースが巨大な白い蛇のように、舗道をのたくっていた。

赤く家の構造だけみせてもえていた家屋がどっと燃えくずれた。

火の粉がいっせいにふきあがった。

見物人は花火でもあるかのように、恍惚と火勢に見惚れている。

巨大な焚き火にあたっているようだ。

なにしろ木工業の街だ。

わたしが火事の現場についたころには。

岩村材木はもちろんだが。

高見建具もふくめ、近所の家も5軒が燃えていた。

コウジをさがした。

さがした。 

みつからなかった。

あとできいた。            
 
火災保険がおり、負債と棒引きにしてもあまりある金額だったらしい。

それでコウジの学費も支払えることになったのだ。

よかった。

よかったわ。

災い転じて幸運がめぐってきた。

3月18日        
合格発表を見にいく。 

校門をはいってすぐの「操橋」のあたりは。

結果をみにきたひとたちで。

ラツシュ。

ナイテイル。

ワラッテイル。

トモダチヲナグサメテイル。  

みんな青春してる。

ホットなアトマスフィア。

プレスのひと。

おおぜいきていた。

なんといっても。

「青春の序章」を書いた高野悦子の出身校。




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夕日の中の理沙子 32   麻屋与志夫

2008-12-09 07:20:01 | Weblog
みんなが帰った。

みんな安心して帰った。

わたしはのこった。

「キヨミ……あんただからさ……ただじゃないわよね」
「あら、なんのことざーますか」
「唇にチャックの、交換条件よ」
「さすがー。やっぱり宇都宮操女子高ね」
「はぐらかさないで……」
「推薦で」

キヨミがわたしを招く。

うんうんと耳をよせる。

「あんたと同じ宇都宮の……。
私立下野高校に推薦入学、キメチャッたぁ」
「おどろいた、やったわね。キヨミ。
トウキョウボイをなでぎりにするのは……。
おあずけね」  
「災い転じて福となす」
「骨折して、推薦をとる」

キャハハハハハハハハハハハハハハハとふたりで笑いころげた。


つかれた。

夢で、こうじに会いたい。

わたしの日記チャン、Dear my Diary。おやすみなさい。

その夜。

日記をとじたあとで。
たいへんなことがおこった。

北の方角、木工屋さんのおおい。
御成橋の方角に火の手があがった。

闇が赤く燃えていた。

火事だ。

消防車のサイレンが幾重にもかさなりあった。

けたたましい、夜をきりさく音が。

くりかえし鳴りながら通り過ぎていく。

消防車のゆくての空があざやかな朱色にそまっていた。

またあらたな火の柱があがった。

燃えながら、なにかがはじける音がする。

ひとびとのざわめきが伝わってくる。

わたしはベランダにでて北の真っ赤な空をみていた。

犬がときならぬ火事におどろいて吠えている。

火の粉が夜空にまいあがっている。

かなりの火勢だ。

「火もとは岩村材木だって」

母が起きだして、電話でたしかめたらしい。

高見建具。コウジの家のちかくだ。





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