田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

吸血鬼作家の休日  麻屋与志夫

2008-12-03 09:40:45 | Weblog
12月3日 水曜日
●また(11月15日のこの欄参照)宇都宮の東公園にいってきた。おととい月曜日のことだ。先月の半ばにおとずれたときはまさに公孫樹並木の黄葉のまっさかりだった。ふりそそぐ晩秋の陽光にきらきらひかりながらむすうの葉が空を黄色く染めていた。

      

●こんどは、ざんねんながらちらちらとちる黄金色の葉をながめようというもくろみは叶えることはできなかった。

●でも両側の公孫樹からまいおちた葉が舗道を黄色の絨毯としていた。ひとかげもなくせまりくる冬のトランクイリテイ、静寂をしみじみと覚えた。この単語はたぶんディン・R.クーンツのストレンジャーズにでてくるモーテルの名前で覚えたのだと思う。「静かな宿」という翻訳ではきぶんがでないので訳者はカナがきにしたのかなとかんがえたきおくがある。記憶ちがいだったらごめんなさい。

       

       

       

       

●このへんで告っちゃおうかな。どうも学生とのつきあいがおおいので、わかものことばがでてしまう。告白するとわたしのブログや小説をかざってくれるピクチャはすべてカミサンによるものです。メカ音痴のわたしはカメラを手にしたこともありません。彼女のブログは「猫と亭主とわたし」です。わたしのブログのブックマークをクリックしてぜひごらんください。バラや風景写真がすばらしいですよ。

●あるきつかれたふたりはベンチにすわり静謐なときのながれに身をゆだねました。

●初冬の葉の落ちつくした公孫樹の枝がはるか中天につきささるようにのびています。

●沈黙。

●「妻よ。すでにわたしたちは、かたることはかたりつくした。しばしこの宇宙の沈黙に沈みこもう」

●そんなセリフをかきたくなった。吸血鬼が棺のなかで長い冬眠期にはいる場面でつかえそうなセリフではありませんか? ね……。

●わたしたちのベンチの前をふとひとかげがとおりすぎた。老婆がときどきかがみこんで銀杏をひろっていた。

●「銀杏は茶碗蒸しにいれるとおいしいんだよな」沈黙はわたしの俗っぽいことばで、やぶられた。

●「わたしもおなかすいたわ」カミサンは沈黙をやぶったわたしのことばをとがめることもなくいったものだ。いつも、このカミサンのやさしいことばですくわれる。冬眠などするどころでない。吸血鬼作家のいじにかけても怖いはなしをかきつづけなければ。

●さて、とわたしはベンチからこしをあげた。これから宇都宮餃子館にいってニンニク餃子をたらふくたべて吸血鬼避けをしてから小説をかきだそう。なにをしてもなにをみても吸血鬼。にむすびつけてしまうわたしなのでありました。



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夕日の中の理沙子 21  麻屋与志夫

2008-12-03 01:28:57 | Weblog
ミートソースやケチャップのいい匂いがしていた。

席につくと、
「キヨミです」
ジブンの鼻をさした。
さっさと自己紹介すませたキヨミ。
おたおたしているわたしを、
「こちらは……川村理沙子」
と、紹介してくれた。

「そっちは」
かわゅく、くびをよこにふってキヨミがきく。  
「高見広治」
「やだぁ、神商のピッチャーだ」
あのとき、ほんとにキヨミははじめて気づいたのかしら。

それまで、わたしは野球にも男の子にも。
あまり興味がなかった。
だからコウジが神商のエースだなんて。
しらなかった。

メニューをみると、ミートスパゲティが1600エンだった。

ブットビだ。

でも、お金のことなんか、ぜんぜん心配なかった。

コウジの家がまだ倒産するまえだった。    
あのときことは……なんどおもいだしても、楽しい。

いつも、ひとりになると、おもいだしている。
なんども、なんども、おもいだしている。

そのつど、こう……胸がキュンとなる。

けつして、わすれられない。

まだ、恋いすることが。

こんなに悲しく。

せつないなんて。

想像もしていなかった。




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