田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

夕日の中の理沙子 33   麻屋与志夫

2008-12-09 18:26:58 | Weblog
わたしはフエイクのブルゾンをきて、夜の街をはしった。

ひたひたと大きな炎の方角にはしりつづけた。

悲劇は続くものだ。

倒産の次が火事。

火のいきおいはものすごく岩村材木から隣のコウジの家に燃えうつった。      
「これじゃ、高見建具も丸焼けだな」
わめいている。 
「いまごろ、宵の口からなんの火かな」
野次馬はさけぶ。
自転車できているものもいた。
うるさいほど、ブレーキをかける音がした。

ホースが巨大な白い蛇のように、舗道をのたくっていた。

赤く家の構造だけみせてもえていた家屋がどっと燃えくずれた。

火の粉がいっせいにふきあがった。

見物人は花火でもあるかのように、恍惚と火勢に見惚れている。

巨大な焚き火にあたっているようだ。

なにしろ木工業の街だ。

わたしが火事の現場についたころには。

岩村材木はもちろんだが。

高見建具もふくめ、近所の家も5軒が燃えていた。

コウジをさがした。

さがした。 

みつからなかった。

あとできいた。            
 
火災保険がおり、負債と棒引きにしてもあまりある金額だったらしい。

それでコウジの学費も支払えることになったのだ。

よかった。

よかったわ。

災い転じて幸運がめぐってきた。

3月18日        
合格発表を見にいく。 

校門をはいってすぐの「操橋」のあたりは。

結果をみにきたひとたちで。

ラツシュ。

ナイテイル。

ワラッテイル。

トモダチヲナグサメテイル。  

みんな青春してる。

ホットなアトマスフィア。

プレスのひと。

おおぜいきていた。

なんといっても。

「青春の序章」を書いた高野悦子の出身校。




one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
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ああ、快感。

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