田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

夕日の中の理沙子 36 麻屋与志夫

2008-12-11 07:46:10 | Weblog
これからどうなるのだろう。 

いくら、火災保険がおりたからといっても。

さきざきの生活はどうなるのかしら。    

せまい神沼だもの、なんでもきこえてくる。

小さな街だから。

いろんなことが、ささやかれる。

噂はーまわりまわって。

わたしのところまでとどいてくる。

小さな街だから、いろんなことをのぞかれている。

それがひとびとのところへ伝わっていく。

イヤダ。

わたしとだって、ほんとは別れたくないんだ。

オセッカイな街のひとのいうことなんか、コウジ、気にするのやめようよ。

シカトしょう。

かわいそうなかれ……。

コウジのこと、いろんなことかんがえたら……。

ついふるめかしいこといっちゃっのだ。

このままここで死ねば、神沼の伝説になれる。

レイジェントの中の、お姫さまと王子だよ。

コウジ。それでもいいよ。

「いっしょに……とびこんでもいいよ」

コウジがわたしをだきよせてキスした。

きつくわたしをだきしめて、泣いている。
 
そして、危機は去った。

「こら、コウジ。泣くな。黒川の深い流れによばれちゃうぞ」

そういう、わたしも、泣いていた。

なんだかわかんないけど。

だけど、泣いてしまった。

コウジのぬれたほほとわたしの涙のほほがぴったりとあわさった。       

すてきだった。 

二人でひとりって感じ。だった。

橋の両サイドから拍手がわいていた。

この橋は路上探検隊のめんめんなら、よだれたらたらの橋なのだ。

道路の路面から8メエートルも高いところに架かっている。

上りの階段は両側ともない。

いまは、橋としてつかわれていない。

そのうち改修工事で取り壊される運命にある橋なのだ。

「花の清美組」も上ってはこられなかった。

でも拍手をおくってくれた。

エールのをおくってくれた。

チャーダンスまでしている。

ありがとう。アリガトウ。



one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

ああ、快感。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする