写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

スパイスラック

2004年12月29日 | 木工・細工・DIY
 オールスパイス・パプリカ・シナモン・ターメリック・サフラン・ブラックペッパー等、料理好き・ケーキ作り好きの奥さんは、数十種類のありとあらゆるスパイスを台所にため込んでいる。

 当然のことながら調理台の上は、笠置シズ子の歌ではないが、何が何やらどれがどれだか、さっぱり分からなくなっている。

 遂に行き詰まってしまい、調理台の壁を立体的に使おうと言い出し、竪型のスパイスラックの製作を依頼された。

 3個のハートマークが入った、据え置き型と壁掛け型の2種類を作った。大と小のビンが乗せられるように段高さも変えてみた。

 足の踏み場ではなく、手の置き場もないほど散らかっていたスパイスが、壁面に整然と並んだ。お見事!!奥様は片付け上手に大変身した。

 これを見た身内から注文が殺到し、てんてこ舞いの日もあった工房「木馬」のこの一年であった。御用納めをしてもう3ヶ月が経った。
   (写真は、壁掛け型スパイスラック) 

大連風景

2004年12月29日 | 旅・スポット・行事
 今年の春、一度は行って見たいと思っていた、生まれ故郷の満州・大連に行った時の話である。

 父母から聞いていた通りの、広い電車通り・アカシヤ並木・レンガ作りの家並み・引き揚げた港を見ることが出来た。

 街を歩いてみると圧倒的に若い人が多く、雑踏の商店街では甲高い声が飛び交っている。高度成長を続けている13億人の熱い活力を肌で感じることが出来た。
 
 何よりも印象に残っていることは、歩いている人々の動きである。男女を問わず、視線は高く、腕を大きく振り、胸を張って大股でゆったりと歩いている。

 行けども行けども果てしない大地を、悠久の時の中で、進むべき未来をしっかり見据えて歩いているようにも見えた。

 私のようにこせこせしていなく、いかにも大陸的な光景であった。
   (写真は、大連の公園)

柱時計

2004年12月29日 | 生活・ニュース
 ある日、公園で開催されたフリーマーケットに行った。私のお目当ては、古い柱時計であるが、品数は少なかった。

 とある店で、箱の一部が欠けた埃だらけのものに、2500円と値が付けられていた。動くことを確認し、2000円にまけてもらった。

 大事に持ち帰り、早速、壊れている外箱を修理し、ペーパーをかけてニスを塗った。機械もばらして油を差した。

 ねじを巻いてダイニングの壁にかけると、不整脈もなくカチカチと規則正しい心音を響かせる。ボーンボーンと時も打ち見事蘇ってくれた。

 おとなしく、無口でまじめなクオーツ時計と違い、週に一度はネジを巻かなければ動いてくれない。進んだり遅れたりと世話を焼かせるが、今や我が家の時の支配人にのし上がった。

 そう言えば、この家の誰かさんも、週に一度くらいネジを巻かないと、簡単には動いてくれないと言われている。その人は、この家の被支配人に成り下がってはいるが結構頑張っている。と思う。 
   (写真は、蘇った柱時計)