12時半には出かけなければならない用事のある11時過ぎ、トイレに入っていた。インターホーンが鳴り、玄関に妻が出た。
トイレのドア越しに「M先生という方が来られましたよ」という。急ぎ出てみると、玄関の外に上背のあるお年寄りが立っていた。
私が中学校時代の社会化のM先生であったが、1度も習ったことはない。話をしたことも記憶にない。岩国駅の近くに住んでおられ、お元気だとは聞いていた。
外は寒い。居間に案内してお茶を飲みながらお話を伺った。85歳、定期健診のため我が家の近くにある病院へタクシーで来た帰りだという。
私の5歳上の長姉が担任してもらったことがあり、その弟ということで覚えてもらっていたようだ。
身体と声と目が大きく、皆から恐れられていたが、愛嬌もある優しい人柄の先生だったように思い出す。
先日、私が自費出版することが載った新聞記事を読み、会いたくなって寄ってみたといわれた。先生の方からお越しとは、恐縮の至りである。
50年も前の、木造校舎のころの懐かしい話に花が咲いた。「君は身体は小さかったが……だったよな~」と、嬉しいことを言われる。
「先生は私の担任でもなかったのに、そんなことを良くご存知ですね」と言うと「教員室で先生同士が話するんでよく知っているよ」と笑う。
話していると、たちまち中学時代の先生と生徒の関係になる。「85にもなると、昔出来ていたことが、最近は出来んようになってのぉ」とこぼす。
しかし、目の輝きはやはり昔の先生の目である。鋭くも優しく温かく、懐かしむような眼差しでもあった。
時計を見ると12時をさしている。「申し訳ありませんが出かける用事がありますので……」と言い訳をしながら車で家までお送りをした。
突然、あることをきっかけに私のことを思い出して、我が家まで来ていただいた。またの折に、ゆっくりと来て頂くことを約束した。
「年をとると、昔会った人に会いたくなってのぉ」と言うのを聞きながら一礼してお別れをした。半世紀ぶりの、中学時代の先生との懐かしい再会であった。
(写真は、今朝の冷え込みで張った「4mm厚さの氷」)
トイレのドア越しに「M先生という方が来られましたよ」という。急ぎ出てみると、玄関の外に上背のあるお年寄りが立っていた。
私が中学校時代の社会化のM先生であったが、1度も習ったことはない。話をしたことも記憶にない。岩国駅の近くに住んでおられ、お元気だとは聞いていた。
外は寒い。居間に案内してお茶を飲みながらお話を伺った。85歳、定期健診のため我が家の近くにある病院へタクシーで来た帰りだという。
私の5歳上の長姉が担任してもらったことがあり、その弟ということで覚えてもらっていたようだ。
身体と声と目が大きく、皆から恐れられていたが、愛嬌もある優しい人柄の先生だったように思い出す。
先日、私が自費出版することが載った新聞記事を読み、会いたくなって寄ってみたといわれた。先生の方からお越しとは、恐縮の至りである。
50年も前の、木造校舎のころの懐かしい話に花が咲いた。「君は身体は小さかったが……だったよな~」と、嬉しいことを言われる。
「先生は私の担任でもなかったのに、そんなことを良くご存知ですね」と言うと「教員室で先生同士が話するんでよく知っているよ」と笑う。
話していると、たちまち中学時代の先生と生徒の関係になる。「85にもなると、昔出来ていたことが、最近は出来んようになってのぉ」とこぼす。
しかし、目の輝きはやはり昔の先生の目である。鋭くも優しく温かく、懐かしむような眼差しでもあった。
時計を見ると12時をさしている。「申し訳ありませんが出かける用事がありますので……」と言い訳をしながら車で家までお送りをした。
突然、あることをきっかけに私のことを思い出して、我が家まで来ていただいた。またの折に、ゆっくりと来て頂くことを約束した。
「年をとると、昔会った人に会いたくなってのぉ」と言うのを聞きながら一礼してお別れをした。半世紀ぶりの、中学時代の先生との懐かしい再会であった。
(写真は、今朝の冷え込みで張った「4mm厚さの氷」)