朝から難題が持ち込まれた。事務所の机にかじりつき解決策を考える。簡単に答えは見出せない。「よし、気分転換だ。一服しよう」
引き出しを開けると、たばこが切れている。ロビーの自販機に向かった。コインを入れた。頭の中は、くだんの難問で一杯だ。
下を向き、考えながら立っていた。直ぐ落ちて来るはずのたばこが、なかなか出てこない。そうこうしていると、下のほうから湯気が上がってきた。
なんと、うどんがすべるように押し出されてきた。間違えて「うどん自販機」にコインを入れていた。隣が、「たばこ自販機」だ。
時計はまだ10時前、昼飯には早すぎる。未練を残しながら人目につかぬよう、そっと側に置いてあるポリバケツに投げ込んだ。
恥ずかしい。誰にも見られてはいなかった。若く悩み多きサラリーマン時代の、本当は人に言えない思い出である。
(写真は、大きくなった今の自販機)
引き出しを開けると、たばこが切れている。ロビーの自販機に向かった。コインを入れた。頭の中は、くだんの難問で一杯だ。
下を向き、考えながら立っていた。直ぐ落ちて来るはずのたばこが、なかなか出てこない。そうこうしていると、下のほうから湯気が上がってきた。
なんと、うどんがすべるように押し出されてきた。間違えて「うどん自販機」にコインを入れていた。隣が、「たばこ自販機」だ。
時計はまだ10時前、昼飯には早すぎる。未練を残しながら人目につかぬよう、そっと側に置いてあるポリバケツに投げ込んだ。
恥ずかしい。誰にも見られてはいなかった。若く悩み多きサラリーマン時代の、本当は人に言えない思い出である。
(写真は、大きくなった今の自販機)