☆・。.・☆写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 愛犬のハートリーと共に瀬戸内の岩国から…… 茅野 友

クリスマス・カクタス

2018年12月08日 | 季節・自然・植物

 昨年買った鉢植えの紅白2種類のシャコバサボテンは、咲き終わった後、サンデッキの上に置いたまま自然体で春夏秋を過ごした。先日、思いもかけず多くのつぼみを付けているのに気がついた。

 奥さんが早速愛おしそうに部屋の中に移し、南に面した出窓の上に置いてから、10日ばかりが経った。小さかったつぼみは日に日に太く長くなり、2日前から花が開き始めた。 

 シャコバサボテンとは、葉っぱが節でつながっている形状が、海にいる甲殻類のシャコに似ていることから付けられた名前で、クリスマスの時期に花が咲くことからクリスマス・カクタスとも呼ばれているブラジル原産の多肉植物である。

 全開している花を、目を近づけてじっくりと眺めてみた。一つの花が2段の花びらからなっている。その花びらは正面から強い風を受けたかのように反り返っていて、真ん中には数十本の長く白い雄しべが伸びていて、その真ん中にはひときわ目立つように真っ赤な雌しべが顔をのぞかせている。

 見れば見るほど珍しい形をした花である。そばに置いているシクラメンの花も今が盛りに花を咲かせているが、この花も、花びらが反り返ったようになっている。その姿が篝火(かがりび)のように見えることから「篝火花」とも呼ばれる。この点は、クリスマス・カクタスもよく似ている。

 クリスマスカクタスの花言葉は、花が咲いていないときとのギャップから花の瞬間的な美しさを讃える言葉で「美しいながめ」「一時の美」とか、ブラジルの高山原産ということから遠い異国を思う言葉として「冒険」「波乱万丈」などがある。

 私が花言葉を付けるとすれば、差し詰め「逆風に耐える」とでも付けたいような風情の花の形ではある。 

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サザンカ梅雨

2018年12月06日 | 季節・自然・植物

 12月に入った途端、ぐずついた天気が続くようになった。今朝も朝からどんよりとした空から、小粒の冷たい雨が降っている。秋から冬にかけて移動性高気圧が北に偏り、前線が本州南海上に停滞して梅雨時のような天候になることがある。このようなぐずついた天候を「サザンカ梅雨」ということを知った。

 ところでサザンカとは、しかと眺めたことはないがよく耳にする言葉である。まずは子供の頃に歌った「たき火」という歌がある。

 ♪  さざんか さざんか さいたみち たき火だ たき火だ おちばたき
  「あたろうか」「あたろうよ」 しもやけ おててが もうかゆい ♪

 馴染み深かった「サザンカ」であるが、どんな花かと問われても直ぐには答えられない。「ツバキと同じ花?」などと、とんちんかんなことを言ってしまいそうである。しかし、ツバキとサザンカは、素人には見分けることが難しい花である。 

 それもそうだろう。ツバキもサザンカもツバキ科ツバキ属の樹木で、とてもそっくりな姿だと書いてある。見分け方は葉の形や、花びらの厚みなどいろいろあるようだ花がツバキの開花時期は12月~4月に対して、サザンカの開花時期は10月~12月と開花時期が違う。

 それと、ツバキは花が散る時に花首から落ちるが、サザンカの花が散る時は、花びらが落ちるという。しかしこの判別方法では、花が咲いているときに花の種類を知ることができず散っている花を見て「あぁ、これはサザンカだったのだ」などと分かる。

 まずは開花時期で初冬に咲き始めるのは「サザンカ」だと思えばほぼ正しいようである。そんなことを学習した後、毎年この季節、我が家の庭の隅に咲いている白い花を「サザンカ」だと思っていたが、散っている花を見ると花首から落ちている。早速今日からは「ツバキ」と呼ぶことにした。

 奥さんにこの博識を伝えると「そんなことはとっくの昔から知っていますよ。お父さんが知らないだけでしょ」と一蹴され、サザンカ梅雨のそぼ降る中で改めてツバキをじっと眺めてみた。

 

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小春日和

2018年11月06日 | 季節・自然・植物

 暖かい日の続いた10月の末、庭仕事をしていた時、背中がぞくぞくっとしたようなことがあった。案の定というか、体力が低下したというか、久しぶりに風邪を引いてしまった。「バカ」ではないことが分かったが、熱はないのに咳が出て苦しい。肋骨のつなぎ目が外れるのではないかと思うほどになった。

 病院で処方された3種類の薬を飲み始めて2日目に、37.2~3度と、平熱の低い私にとってはやや高熱が出た。4日目が経った頃やっと、熱もなくなり、体の調子も戻ってきた。やれやれ、ちょっとした風邪であったが、寝ていることも苦しい毎日であった。

 夕方、久しぶりに表に出たとき、顔なじみの女性が散歩しているのにばったり出会った。我が家の玄関アプローチに植えている若い花水木を指さして「今年は紅葉がいちだんときれいですね」という。私も久しぶりに眺めてみたが、黒みがかった赤色が、今年は濃いい感じがする。

 ここ数日間、風邪で寝たり起きたりしている間に、季節は着実に巡っている。そういえば、明日7日はもう立冬である。ここ1週間は連日小春日和であった。向こう1週間も、こんな暖かい日が続くという予報が出されている。

 そんな中でも、鳥取県の大山の紅葉は、例年になく美しいと伝えている。「出かけてみるか」。病んでいる間の時間を取り戻すかのように、「蟄虫坏戸」(ちっちゅうはいど)していた私のお出かけの虫が、またぞろ這い出してきたようである。

*「蟄虫坏戸」;72候の一つで、活動していた虫たちが、冬眠するために掘った穴に入り、その穴を塞ぐという意味

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私の天守閣

2018年10月26日 | 季節・自然・植物

 運動不足を少しでも解消するため、久しぶりに裏山へ登ってみることにした。ストックを携え、ジュース1缶とスマホをポケットに入れて出発した。出発というほど遠くまで行くわけではなく、岩国の市街地が見渡せる私が好きな場所を目指して出かけた。

 高齢者が1人で山に登って行方不明になる事故はよく新聞で見ている。こんなことのないように100%充電をしておいたスマホは欠かせない山登りグッズである。10月の下旬とは言え、陽が差す坂道を登っていくと汗ばんでくるし息も弾む。

 砂地の急な坂を足を滑らしながら30分も登ると目的の場所についた。腰を下ろし息を整えながら脈を測ってみると、何と130もあった。少し急ぎ過ぎたようである。スマホのアプリで標高を調べてみると、91.5mと出た。

 冷たいジュースを飲みながら、瀬戸内海に広がる市街地を眺めた。時計を見ると14時20分である。先日、生まれたばかりの孫が飛行機に乗って帰っていったが、その時の東京行きの便が出発する時間であることを思い出した。

 デジカメを取り出し、望遠で空港をキャッチすると、どんぴしゃり旅客機が滑走路に向かって出発しているところであった。飛び立つ直前であろう、遠くにいても爆音が大きく聞こえてきた。ややあって、北に向かって離陸する機影をデジカメでとらえることができた。

 「高き屋に のぼりて見れば 煙り立つ 民のかまどは にぎはひにけり」という歌があるが、まさに岩国市民のかまどの煙の見える絶好の場所である。ここは私の天守閣。

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クリ霧中

2018年10月10日 | 季節・自然・植物

 夕方、庭に出ていた奥さんが、ポリ袋をもって部屋に戻ってきた。散歩しているような年配の女性が、我が家の前を通りがかった時、玄関のわきにこのポリ袋を置いて立ち去ったという。ポリ袋の中には、小ぶりな栗が30個くらい入っていた。

 「お父さん、これを置いていった人に心当たりはないの?」というが、声もかけずに立ち去るような人に、どう考えても心当たりはない。毎年、栗を持ってきてくれる人は、自転車に乗ってきて、必ず手渡ししてくれる。今まで、この人以外から栗をもらったことはない。

 どこの誰からもらったか分からないまま、昨日、ロケットストーブの上にダッチオーブンを置き、栗を入れて焼いた。火を入れて20分が経った頃に、ダッチオーブンの蓋の隙間から薄く白い蒸気が出始め、プーンといい匂いがし始める。焼きあがった合図である。包丁で半分に割り、コーヒーを飲みながら、スプーンでほじくって食べてみた。ほくほくして、これぞ秋の味覚であった。

 それにしても、この栗、どなたからの差し入れか分からないままに味わったが、2日経った今日も、誰が持ってきてくれたのかは依然として五里霧中ならぬ、クリ霧中である。

 

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