「昨日また かくてありけり 今日もまた かくてありなむ」と詠みたいほど、今日はまた気持ちよく暖かい日であった。久しぶりに周防大島にドライブに出かけた。大島大橋を渡り、東和町にある道の駅まで走った。大島に入ると、道端の店も、道の駅でも真っ盛りを迎えたミカンがたくさん並べられている。
中くらいの大きさのものを一袋買った奥さんが、なかなか店から出てこない。やっと出てきたとき、渋柿も2袋手に持ってうれしそうな顔をしている。「早く家に帰って、干し柿を作りましょう。お父さん手伝ってよ」干し柿が大好きな奥さんは上機嫌である。
3時半に家に帰った。すかさず奥さんは包丁と紙ヒモを裏庭に持ち出して「さあ、お願いします」と言いながら、柿が入った袋をテーブルの上に置いた。大小ざっと30個ばかりの柿が元気よく転がり出た。
皮をむくのが私の役割。それを紙ヒモに結んでいくのが奥さんの役割。いつものように言わず語らず分業による協業が始まった。会話はなく無言で作業が進んでいく。熟しかけたものもあったが、全部皮をむいて紙ヒモに結び終えるまで約30分かかった。
さてどこに吊るしたらよかろうか。東屋の南向きの軒下に4連をつるしてみた。わずか4連とはいいながら、秋の季語にふさわしい「柿すだれ」の完成である。田舎の農家で見られるような、無数の吊るし柿が、すだれのように並んでいる景色には程遠いが、わがやのものも一応「柿すだれ」には違いない。
そこで一句、「ひとしきり 剥いて吊るせば 柿すだれ」;茅野友
もう一句、「洗髪し 風呂から出れば 髪すだれ」;茅野 友