写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

ネット予約

2005年05月31日 | パソコン
 「おい、やっぱり一度は行ってみるか」「だから前から何度も言ってるでしょ」 朝食をとりながらの今朝の会話であった。

 3年前長男が結婚した。京浜蒲田駅近くの狭いマンションに、2歳になったばかりの男の子と3人で暮らしている。

 何度か帰省してきたことはあるが、こちらから出かけて行ったことはまだない。昨年の10月以来、孫には半年以上会っていない。

 一度くらいは子供たちの住んでいる所を見に行ってみようといいながら、長年住んでいたことのある所なので新鮮味がなく、なかなか食指が動かなかった。

 前々から、出かけて行かないことを妻から責められていた。このたび初めて「よし、行ってみよう」ということになった。

 広島空港からの1泊5日の割安ツアーをJTBで予約した。残り3泊の宿を店頭で予約すると、ツインルームが、ひとり1泊1万円である。

 あらかじめインターネットで調べておいた。ネットで予約すると同じホテルが、ふたりで1泊1.1万円、なんと店頭予約の半額に近い。

 うそではないかと思い、直接ホテルに電話をして確かめてみたがそうでもない。本当にこの価格でいいという。

 このからくりを私は理解できない。過去にもネットで割安に購入したものが2品ある。デジカメと車の保険である。

 確かに、中間業者もいなく、人の手を煩わせることもないので割安となるのは理解できるが、今回のように半額にまでなるとは嬉しい驚きであった。

 からくりの解明はさておき、インターネットの時代に生きる恩恵にあずかりながら、いざ、爺と婆は大空に向けて舞い上がろうとしている。ハートリーは恩恵にではなく、ペットホテルにあずけて・・・
   (写真は、JTB納得プライス「格安パンフレット」)

木 馬

2005年05月30日 | 木工・細工・DIY
 
 2年前、東京にいる初孫の誕生にあわせて木馬を作ってやることにした。これが私の木工の始まりである。

 デパートのおもちゃ売り場を見て歩き、これを参考にして独自の形を決め図面を引いた。限られた道具を使い、1週間かけて作った。

 ところが出来上がったものは、私が乗って遊ぶに丁度良いくらいの大きなものとなった。如何にしても孫には大き過ぎた。

 気をとり直して、2号騎を作った。各部の寸法をひと回り小さくした上、今度は車輪をつけることにした。

 車輪といっても、ジグソーだけで切っていく。なかなか真円には切れない。出来たでこぼこを、根気よくヤスリで削り丸くした。

 普通の木馬のように揺らすことも出来るが、車として遊ぶことも出来る。半年前に帰省した時、孫は喜んで乗って遊んでくれた。

 遊んでいる時の様子をよく観察してみた。足置き台を付けていなかったので危なかった。一応面はとってはあるが角張っている個所がまだ残っていた。

 早速手を加えて改良した。納得できるものを作るのに少しまごついたが、ひ孫の代までもつ作りとなって仕上がった。

 我が家に置いているので遊んでくれる子供はいないが、私の木工の出発作品であると共に、爺から初孫への初めてのプレゼントである。

 時には私が乗って、脳を揺すらせボケ防止に活用している。しかし、脳は外側から揺するよりは、内側から揺するほうが良いようだ。ではどうするか?各自沈思モッコウしてみよう。
   (写真は、高齢者向け木工品「車輪付き木馬」)

「もったいない」

2005年05月29日 | 生活・ニュース
 その日は朝から奥さんは、やや遠方まで出掛けて行った。
私のお昼は、ちゃんと用意してくれている。

 用意してくれているというよりか、前日の夕食を残しておいた
ものである。とはいえ私の好きなものなのでまったく問題はない。

 ハートリーとふたりだけの午前を過ごした。エスプレッソを飲みな
がらブログもアップしたし、お付き合いのあるブログもチェックした。

 お昼のサイレンが、けたたましく鳴ったのを合図に、昼食にする。
炊飯器の蓋を開けると、もち米で炊いた五目飯がひとり分入って
いる。

 小さな茶碗で一杯半の分量がある。テーブルの下から見上げる
ハートリーの目を気にしながら一杯目を食べた。

 二杯目といっても茶碗に半分しかない。炊飯器の内面に数十粒
の米粒と人参・椎茸などの具がへばり付いている。

 しゃもじをうまく使って、そのひとつひとつをじょうずに茶碗に移す
と、炊飯器は洗ったあとのようにきれいになった。

 「ご飯は、最後の一粒まできれいに食べなさい」と子供の頃、親
からくどく言われていた。 

 茶碗に装ったご飯を、一粒も残さず口に入れた。最近話題になって
いる「もったいない」は、我々世代では子供の頃から身についている。

 飽食の時代・物余りの時・使い捨ての世相と言われて久しいが、ご飯
を自分で装うことで「もったいない」の文化を思い出すことが出来た。

 「お袋は もったいないが だまし良い」と言った奴がいたが、小さ
なことさえもだましにくいうちの奥さんも、やっぱり「もったいない
   (写真は、「もったいない」最後の一粒)

カフスボタン

2005年05月28日 | 生活・ニュース
 母は、団体旅行が好きで仲間とよく出かけて行った。ある時北海道一周旅行に出ていった。

 お土産に白いプラスティックの箱に入ったカフスボタンを買ってきてくれた。ふたを開けると「北海道特産・紅十勝石」と書いてある。

 40代になって東京に転勤となった。毎日の服装が、それまでの作業服から着慣れぬ背広に替わった。

 毎朝パンを口にくわえ、時間に追われながらカッターシャツに着替える。太い指に似合わぬ小さなボタンを、いくつも留める。

 数えてみると、胸に7個、両袖に2個づつ、合計11個もある。特に袖の先のものは、片手で急ぎながらやるので留めにくい。

 ある朝ふと思いついた。「そうだ、カフスボタンにしてみよう」引き出しの奥を探した。見覚えのある白い箱が出てきた。

 使う気もなく、長い間ほったらかしていた母の土産の品である。高価なものではなさそうだが、やってみると思いのほか留めやすい。

 これはいい。黒い半球状の石の表面に、茶色に近い紅色の縞状模様が、水の上に油を流したように美しく流れている。

 それ以降、焼き物・金物・貝などの色々なカフスボタンを買った。デパートで少し値の張るものも買ってみた。

 しかし、出勤する時にはいつもこの「紅十勝石」をやって出た。袖口に目をやると、なんとなく心が休まる気がしていた。

 朝の身支度の時間短縮の積りでやったことが、趣旨とは違う効果を生んでくれた。

 現役を退いた今、時は有り余るほどあり、心騒がせることもなく名実ともにその出番は少なく、引き出しの中で休んでいる。
  (写真は、母の土産「紅十勝石」のカフスボタン) 

Will you ダンス?

2005年05月27日 | エッセイ・本・映画・音楽・絵画
 今、世の中高年の間では、ダンスブームが巻き起こっていると聞く。社交ダンスのみならず、ハワイアンダンスにまでとその域は広いようだ。

 9年前、単身赴任している時に、役所広司演じる映画「Shall we ダンス?」を観に行った。

 あの映画をきっかけにブームに火がついたのだろう。私の住んでいる町でも、趣味としてやっている人は多い。

学生時代、年末になると色々な形のダンスパーティが開かれた。私はステップを、本で覚えていそいそと出かけて行った。当時は、ジルバ・マンボ・ブルースにワルツなどが流行っていた。

 壁のあだ花にならないよう、本だけでなく薄暗い町のダンス教室の回数券を買い、友を誘って練習にも励んでみたが、どれもうまく踊ることは出来なかった。

 最近のブームは、ダンスを楽しむということに加えて、健康志向とも重なっているようだ。散歩・山歩き・水泳・フィットネスと同じように考えられているのだろう。

 先日、知り合いのダンス愛好者からしきりとダンスを誘われた。しかし学生時代の私は、うら若き乙女の黒い瞳を、面と向かって見ることの出来ないほど純情であった。

 その青年のトラウマが未だ尾を引き、今もって世の百戦錬磨のご婦人方と、手に手を取って踊る勇気は生まれてこない。

 しかし、「Shall we ダンス?」で主役を演じた、役所広司のあの気持ちは分からなくもない。あんな美人の先生がいるのであれば、世の男性の方々、「Will you ダンス?」勿論「I will ダンス」
  (写真は、米国版「Shall we dance?」)