早朝、庭に出ていた奥さんが息せき入ってきた。「イノシシが檻に入って捕まったそうよ。見に行かない」と誘う。我が家から、ものの100mくらいしか離れていない山裾の畑に仕掛けられた檻に、大きなイノシシが入ったという。
私は見に行かなかった。間もなくすると帰ってきて「大きなイノシシが檻の中で暴れていたわ。小さな目がとってもかわいかった」と言う。
今年も春過ぎから、近くの畑を荒らしまわり、野菜作りの農家が困っているという話は聞いていた。散歩の途中、鉄製の頑丈そうな檻が仕掛けられているのも見て知っていた。
奥さんに誘われたが、檻の中で何とか逃げ出そうと必死で暴れまわっているイノシシを見に行く気にはならなかった。捕らわれた後のことを思うと、私はつぶらな瞳を直視することはできない。
戻って来た奥さんにそのことをいうと「でもねぇ、農家の人はイノシシが捕まったのでみんな大喜びしていたわよ」という。確かにそうだろう。それは分かるが、イノシシの気持ちも分かる。
朝食の支度をしながら「これで安心ね」妻は明るく言った。「……」
しばらくして、私の気持ちが変わった。「そうだ、ブログのネタに困っている。写真を撮りに行ってみるか」。イノシシと対面した。大きい。私より一回り大きい。上に下に大暴れをしている。情は移るが運命はすでに決まっているようだ。「お前もなぁ、猛暑の被害者かもしれないな」。写真を撮った後、直ぐにその場を離れた。かわいそうなやつよ。
(写真は、捕らわれの身となった「イノシシ」)
私は見に行かなかった。間もなくすると帰ってきて「大きなイノシシが檻の中で暴れていたわ。小さな目がとってもかわいかった」と言う。
今年も春過ぎから、近くの畑を荒らしまわり、野菜作りの農家が困っているという話は聞いていた。散歩の途中、鉄製の頑丈そうな檻が仕掛けられているのも見て知っていた。
奥さんに誘われたが、檻の中で何とか逃げ出そうと必死で暴れまわっているイノシシを見に行く気にはならなかった。捕らわれた後のことを思うと、私はつぶらな瞳を直視することはできない。
戻って来た奥さんにそのことをいうと「でもねぇ、農家の人はイノシシが捕まったのでみんな大喜びしていたわよ」という。確かにそうだろう。それは分かるが、イノシシの気持ちも分かる。
朝食の支度をしながら「これで安心ね」妻は明るく言った。「……」
しばらくして、私の気持ちが変わった。「そうだ、ブログのネタに困っている。写真を撮りに行ってみるか」。イノシシと対面した。大きい。私より一回り大きい。上に下に大暴れをしている。情は移るが運命はすでに決まっているようだ。「お前もなぁ、猛暑の被害者かもしれないな」。写真を撮った後、直ぐにその場を離れた。かわいそうなやつよ。
(写真は、捕らわれの身となった「イノシシ」)