写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

美しいとげ

2004年12月23日 | 生活・ニュース
 バラの季節が終わった。今年は、葉に付く虫が多かったのに消毒もしなかった為、花の数は少なく、ことのほか咲き映えが悪かった。

 そのせいで庭の手入れも怠りがちとなり、小さな庭はバラ園というよりは、雑草の荒れ野と化していた。

 久しぶりの来客を前に、妻に庭の草取りを命じられた。庭の管理者は妻で、力仕事は何故かひ弱な私に回ってくる。

 帽子をかぶり、得意の素手でバラの木の間を這いずり回った。「あっ、痛っ」爪の間にバラの硬いとげがささり血がにじんだ。

「だから軍手をしなさいと言ったでしょ」と妻のきつい声。バラのみならず、美しい声にもとげがある。
    (写真は、私の好きな色)

ヒヨの来る庭

2004年12月23日 | 木工・細工・DIY
 今日もうららかな冬晴れだ。今年も残すところあと10日となった。南の庭に面した机で、柔らかな陽を受けながら物書きをしていた。

 突然、ヒーヨヒーヨと甲高い鳴き声が聞こえた。すっかり葉を落とした花水木の枝に、一羽のヒヨがとまっている。

 きょろきょろと辺りを見回しただけで、すぐに飛び立って行った。そういえば、秋にはつがいで来て、この実をついばんでいるのをよく見かけていた。

 ついこの間までは、赤い実がまだ残っていた。それも今は全くない。我が家の花水木を思い出して、久しぶりに来てくれたのに、何の愛想もない庭になっていた。

「そうだ。餌台を作って、ヒヨを接待してやろう」と工房へ。出来上がった餌台を窓越しに見つめながら、ゆったりとコーヒーを飲んだ。午後の時が、今日もスローに流れて行った。   
    (写真は、早速作った餌台)