今週末の土曜日は「錦川水の祭典」、錦帯橋の花火大会だ。我が家にいては、音は聞こえるものの姿は見えない。まるで何かのようである。
花火といえば新聞のコラムに、線香花火のことが次のように書いてあった。
「火をつけると、まず牡丹が咲き、赤い玉ができる。やがて松葉や柳、菊が静かに散る…。繊細なうつろいやはかなさ。科学者の寺田寅彦は1本の燃え方には『序破急』があり『起承転結』があり…、と奥深さをつづっている」と。
昨夏、東京から4歳の孫が帰省したとき、庭で花火をしてやった。幼い子供向けのやさしく安全そうなものばかり選んで遊ばせた。
そのセットの中に線香花火も入っていた。火を着けてみた。初めは勢いよく火花が飛ぶが、直ぐに小さな赤い火の玉になり、松葉も柳も見ることなく玉は脆くもぽとりと地面に落ちて終わる。
新聞に書いてあるような起承転結を見ることはなく、起と結だけのものが多かった。
私が子供のころにやっていた線香花火とはまるで様子が違う。細いこよりの先の火の玉から、次から次にいろいろな形の火花が出て、最後の最後まで何かを期待させるのが線香花火であった。
花火の世界も安さに押されて、国産から中国産に変わってきている。原料は同じでも、調合の仕方や紙の質、紙縒り(こより)のちょっとしたより方の違いで大きな差が出るという。
日本人の繊細さが線香花火に起承転結を生み出させていたとは恐れ入った。最近は本来の魅力を守るため、国産が復活し始めたようだ。
値段のことは脇に置いて、今年は私も少し無理をして国産の線香花火で楽しんでみようと思う。
指先で持つ線香花火で起承転結が見られれば、同じく指先で持つペンからもひょっとすると難題の起承転結のあるエッセイを書くことができるかもしれないから。
(写真は、松葉や柳が出る「線香花火」)
花火といえば新聞のコラムに、線香花火のことが次のように書いてあった。
「火をつけると、まず牡丹が咲き、赤い玉ができる。やがて松葉や柳、菊が静かに散る…。繊細なうつろいやはかなさ。科学者の寺田寅彦は1本の燃え方には『序破急』があり『起承転結』があり…、と奥深さをつづっている」と。
昨夏、東京から4歳の孫が帰省したとき、庭で花火をしてやった。幼い子供向けのやさしく安全そうなものばかり選んで遊ばせた。
そのセットの中に線香花火も入っていた。火を着けてみた。初めは勢いよく火花が飛ぶが、直ぐに小さな赤い火の玉になり、松葉も柳も見ることなく玉は脆くもぽとりと地面に落ちて終わる。
新聞に書いてあるような起承転結を見ることはなく、起と結だけのものが多かった。
私が子供のころにやっていた線香花火とはまるで様子が違う。細いこよりの先の火の玉から、次から次にいろいろな形の火花が出て、最後の最後まで何かを期待させるのが線香花火であった。
花火の世界も安さに押されて、国産から中国産に変わってきている。原料は同じでも、調合の仕方や紙の質、紙縒り(こより)のちょっとしたより方の違いで大きな差が出るという。
日本人の繊細さが線香花火に起承転結を生み出させていたとは恐れ入った。最近は本来の魅力を守るため、国産が復活し始めたようだ。
値段のことは脇に置いて、今年は私も少し無理をして国産の線香花火で楽しんでみようと思う。
指先で持つ線香花火で起承転結が見られれば、同じく指先で持つペンからもひょっとすると難題の起承転結のあるエッセイを書くことができるかもしれないから。
(写真は、松葉や柳が出る「線香花火」)