息子のお陰

　次男が嫁の出産介護の休暇を取って帰っている。その時「カープの試合は、テレビで放映されない日が結構あるが、スマホで全試合を見ることはできないのか」と尋ねると「僕は『DAZN（ダ・ゾーン)』というアプリに加入しているので、全試合を見ることができる」というではないか。

　なになに、スカパーで見るという話はよく聞くが、DAZNで見るのだと？　いったいDAZNとは何なのかを聞いてみた。本社が英国にあるスポーツ専門のインターネット動画配信サービスのことで、2016年から配信を始めている。

　配信しているスポーツの種目は、モータースポーツ・サッカー・バレーボール・ラグビー・格闘技など130以上の多岐にわたっており、世界中のスポーツを視聴できる。DAZNでは見逃し配信をしているので、録画の必要はない。追っかけ再生にも対応しているので、試合途中でも始めから見ることがでる。しかも加入すれば、端末6台までの登録が可能だという。

　私のスマホに、次男の暗証番号を使って登録し、見ることが出来るようにしてもらった。私が見るスポーツといえば、プロ野球のカープ戦だけである。その夜、早速テレビではやっていないカープ対横浜戦をこのアプリで観戦した.

　残念ながらこの日は打線が不発で、9対1で完敗したが、スマホの小さな画面ではあるが、はっきりとした映像を、解説付きで試合終了まで見ることが出来た。息子のお陰で一銭も身銭を切ることなく、これからずっと楽しむことが出来ることになった。私のスマホ生活の領域が、また一つ広がったが、スマホで不可能なものはなくなってきているような気がしている。

　

嵐の中で誕生

　嫁の里に帰っている次男から、朝早く電話がかかってきた。「今朝5時に、陣痛が始まったので病院へ来ている。生まれたら、また電話するから」という。その一方で、テレビでは、台風12号が岩国を狙い撃ちし、しかも進路予想線のど真ん中に我が家があるので油断はできない。

　11時から12時の間に台風の目が通り過ぎそうである。そんな11時40分に電話がかかってきた。「今、生まれた」「母子とも元気か」「うん。2時間後には会わせてもらえるから」「そうか、おめでとう。よかったな。じゃあ1時40分に、病院へ行くから」と言って、初めて会う孫息子に対して失礼のないように、ひげを剃って身支度を整えた。

　予定の時刻に間に合うように奥さんと出かける。やや遅れて嫁の母親や姉夫婦がやってきた。生まれてまだ名の付いていない真っ赤な顔をした子に対面した。お姉ちゃんとなった1歳半になる孫娘は、生まれたばかりの弟を不思議そうな顔をして眺めている。

　これから1世紀近くを生きていく足を、記念のために写真に収めた。この足で、地球上のどこを歩き回るのだろう。今からを生き抜く赤子に、元気で大きく育ってくれよとエールを送った。

男の酢豚

　暑い暑いといいながら、朝から何をするということもなく、奥さんが作ってくれる食事を食べる毎日が続いている。今日もそんな1日が過ぎようとしていた夕方「今夜は酢豚にするわ」と奥さんが言う。

　酢豚といえば、夏の暑い時期には体力をつける意味ではもってこいの料理である。中華料理店で、ランチセットや酢豚定食などと名付けて、お手頃価格でメニューに載せているものを時に食べている。甘い酢の味が食欲をそそる。

　奥さんが作ってくれる酢豚の味は、料理店のものに比べると、酢の味がやや控えめのように感じていた。「今夜は酢豚」というのを聞いたとき「よし、今日は私が作ってみよう」と、今まで作ったことは1度もないが、ネットのレシピを見ながら酢豚作りに挑戦してみることを宣言した。

　まずは写真で、おいしそうに見えるもののレシピをコピーする。食材としては豚肉はもちろん、人参、玉ねぎ、ピーマンなどの野菜。味付けとしてはしょうゆ、酒、砂糖、酢、こしょう、片栗粉で甘酢あんを作る。仕上げに回しがけをするごま油を卓上にそろえた。

　書いてある通りのレシピで作業を進める。野菜はよく煮てざるに上げる。豚肉は片栗粉をまぶして油で揚げておく。最後は中華鍋に甘酢あんを入れて煮立て、豚肉と野菜を入れ、仕上げにごま油を入れれば完成である。

　玉ねぎをひとかけらつまんで味見するが、もうひと味酸っぱさが欲しい。それを加えて食卓に出した。買い置いていたスパークリングワインの栓を開け、乾杯をしたあと酢豚を食べた。「私が作るものよりおいしいわ」と奥さんが褒めてくれる。続けて「これからは酢豚は、お父さんが作ってね」と、嬉しいようなカウンター気味の注文が付いたが、初めてにしてはおいしい酢豚ができたというお話。「キューピー3分クッキング」のレシピでよろしければ、いつでも出前を致しますが……。

アサガオ開花時刻

　6月の初めころだったろうか、ホームセンターに買い物に出かけたとき、花の苗を売っているコーナーを通りかかった。小さなポットにいろいろな種類の苗が並んでいる。

　夏休みを前にした子供の頃の気分になって、珍しい花柄のアサガオの苗を3種類買って帰った。家の南側にある花壇に植え、つるが巻き付きやすそうに格子状の支柱を組んでおいた。そのアサガオが2週間前に初めて1輪花を咲かせた。「日の丸」という品種で、花の中心に赤い丸があり、あたかも日の丸の旗のように見える。

　毎朝の日課として、ジョウロをもって水やりは欠かさなかったが、私が水やりをするときには、花はすでに萎んでいる。パッと勢いよくまん丸く咲いた姿を見たことは少ない。「アサガオって、朝顔と書くように、早朝に咲くのだな」とは思っていたが、ちょっと調べてみた。

　アサガオは、日没時間から8～10時間で咲く。日の出時刻ではなく、日没時間とその日の気温によると書いてある。夏場の日没時刻は19時ころ。それから8～10時間後と言えば、早朝の3時～5時に開花することになる。私が7時に起床して、水やりに出た時刻に、すでに萎んでいるのは、もっともなことである。

　折角咲いたアサガオが、肝心な主の訪れを待ちきれず萎れてしまったことに、本当に申し訳ない気持ちになった。ここで蘊蓄を一つ。ジョウロとは漢字で「如雨露」とかき、まさに雨や露のごとく水が出る道具だと理解していたが、どっこい語源はポルトガル語で「水の噴出」を意味する「Ｊｏｒｒｏ」の転訛に由来するという。うまい具合に漢字にしたものだと感心している。
　　

もう いいでしょう

　首位を独走していた広島カープは、5ゲーム差で追ってくる2位の巨人と7月の20、21、22日に3連戦を戦った。7連勝と勢いに乗った巨人に、もし3連敗などを喫すれば、たちまち2ゲーム差となり、今期の優勝争いも混とんとなる大事な局面であった。

　ところが結果はカープがあっぱれの3連勝を果たした。24日も阪神に勝ち、2位巨人を９ゲーム差に突き放している。つい先日、少し早すぎるカープ優勝へのそろばん勘定をしたばかりであるが、今日もまたやってしまった。この9ゲーム差で、今期のカープの優勝は120％確実なものになった。

　カープは24日現在、残すところ60試合となり、ペナントレースを58％消化した。現時点で49勝33敗、勝率は0.598。2位の巨人は43勝45人敗、勝率は0.489。残り試合数はそれぞれ60と54試合。カープは残り試合を勝率5割で行けば79勝63敗。そのためには巨人は残り試合を36勝18敗、勝率は何と2勝1敗ペースの0.666の高率で行かなければならない。今季の実績からいってこれは不可能といってよい。

　もし、カープが調子を落として残り試合の勝率を0.450としたら27勝33敗、最終的には76勝66敗となる。そのためには巨人は残り試合を33勝21敗、勝率を0.611に上げなければいけないが、現在までの勝率は0.489に留まっている。

　以上のデータより、今年のカープの優勝は7月24日に決定し、念願の3連覇を有言実行したという、嬉しい報告となりました。今夜は1人鏡開きと行きましょう。