写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

タラの芽

2018年03月30日 | 季節・自然・植物

 毎年、この季節になると近所に住む女性が、仲間と採りに行った新芽の山菜であるタラの芽を持ってきてくれる。取りに行くところは毎年決まっているというが、素人ではおいそれと見つけることはできないようである。

 今年初めて収穫したものを、その晩、天ぷらにしていただいたが、ご飯のおかずのみならず、ビールのつまみにも最適である。若芽のねっとりとした噛み応えは、山菜とは思えない食感である。

 一体、タラの芽とは何なのか。漢字では「桵芽」と書く。主として新芽を山菜として利用するが、樹皮は民間薬として健胃、強壮、強精作用があり糖尿病にもよいといわれる。 採取は先端から上に向いた1番の芽と、その脇から斜めに伸びる2番程度までとし、あとは昨年に伸びた枝を見て芽の候補が残っているか確認する。
 
 新芽の採取時期は桜の8分咲きのころに同期しており、里の桜がタラの芽の採取時期でもあるというから、まさに今の時季が採取時期である。そう思って「桵」という文字をよく見ると、「桜」という文字のつくりの「ツ」の上に「ノ」がひとつ乗っている。

 「桵」という文字を解釈すれば、「桜」よりひと足早く出てくるものと、強引に解釈できないこともない、と独りよがりの解釈をしてみる。「文は人なり」とはよく言うが、「文字は体(てい)なり」と言えるのかもしれない。またもらうことがあったら、この話をしてみよう。
 
 


3日見ぬ間に

2018年03月29日 | 旅・スポット・行事

 昨日(28日)の岩国各地は気温が上昇し、平年よりも5度以上を上回る24度と、4月下旬並みの陽気に包まれた。相変わらず、日中は借家の手入れに精を出し、夕方時計を見るともう5時を回っている。5時以降は、錦帯橋の駐車城は無料開放されるので、奥さんを誘って錦帯橋へ出かけてみることにした。

 この時期、夕方5時半になっても日はまだ落ちていない。途中のスーパーに立ち寄って弁当を買うことにした。一般の弁当に交じって「お花見弁当」と書いたものが売られている。この時間帯には、600円近いものが「2割引き」と書いたシールが貼ってある。

 小さい缶ビールと共に、お買い得のその弁当を買って錦帯橋の上河原に向かった。いつも座る芝生の上で、小さな子を連れた親子が弁当を広げている。河岸には、数組のカップルが寄り添って桜の木の下で語っている。

 大きな桜の木の下に、ゴザを広げて枝を仰いで驚いた。どの木も8分方は花が開いている。満開に近いものもあるではないか。たった4日前、「つぼ見」と称して、まだ固いつぼみの下で弁当を食べてそそくさに帰ってきたばかりである。「この分だと咲き始めるのに、もう数日かかるようだね」と話をしていた。

 それが、「世の中は 3日見ぬ間の 桜かな」の句の通り、まさに3日間見に来ていない内に、花が咲きそろっていた。ここ数日間が、いかに陽気であったかを伺い知ることができる。

 ところで、この歌にはもう一つ「世の中は 3日見ぬ間に 桜かな」と江戸中期の俳人・大島蓼太の句がある。「3日見ぬ間の」と「3日見ぬ間に」の違いで、前者は「3日見ぬ間に散ってしまった」ことを、後者は「3日見ぬ間に咲いた」ことを表したものだという。いずれも、世の移り変わりの早いことのたとえを言ったものであることに違いはない。

 かくして今年1回目の花見は、夕方まだ人気の少ない中、満開に近い花の下でした。この分だと、1週間後に予定している同好会の花見のころに、どれくらい花が残っているかが少し心配になるほど、今年の満開は早そうである。
 


賞状額作成

2018年03月26日 | 木工・細工・DIY

 主宰している「岩国エッセイサロン」という同好会のメンバーは17人いる。その中の2人の女性が、昨年毎日新聞社の「はがき随筆」という読者投稿のエッセイ欄に投稿したものが、年間の優秀賞に選ばれるという快挙を成し遂げた。

 つい先日、その表彰式が山口の毎日新聞支局で開催され、出席し大きな賞状をもらって帰ってきた。2人の内のYさんは受賞の常連であり、今まで何度も賞をもらっているベテランであるが、もう1人のKさんは初めての受賞であった。

 表彰式に出席した様子を電話で報告してきたとき、「ひとつお願いがあります。表彰状を入れる額を作っていただけませんか」と突然言う。先日の同好会の定例会のときに、「DIYで板の角を45度に切って、額の角をぴったりと90度にする技術を持っています」と自慢たらしく雑談をした。Kさんは、それを覚えていての電話であった。

 「要望があれば作ってあげますよ」とは一言も言ってはいなかったが、女性から「作っていただけませんか」と言われれば嫌とは言えないのが私の大きな弱点でもある。つい「はい、いいですよ」と言ってしまっていた。

 外で仕事するにふさわしい天気の日、電動ノコとトリマー、それに手持ちの板を庭に持ち出して、一仕事をして額を作った。大きさは28cm*40cmの表彰状を入れることができる大きさで、結構大きいものとなった。できたものに軽くペーパーをかけた後、ガラス店に走って厚さが2mmのガラスを切ってもらう。その道すがら、画材店によって、裏から止めるフックを買って帰り、裏当てのベニヤ板を切ってはめると完成品となった。

 ベニヤ板に「贈呈 Kさんへ 2018.3.25 茅野友 作」と書いた後、再度、ペーパーを丁寧にかけ、Kさんにいつでも取りに来るように電話をしておいた。まだ見ぬ額なのに弾んだ声で喜んでくれていたが、現物を手にしての感想を聞くのが楽しみである。

 


2回目のつぼみ

2018年03月24日 | 生活・ニュース

 今日24日(土)、午前中は借家の外構の整備を行った。我が家との間に設置している目隠し用のラティスを、新しいものに取り替えた。簡単にできると思ったが、古いものを撤去するのに手間取り、作り上げた時にはお昼になっていた。

 天気も良く、同じ昼飯を食べるなら錦帯橋に行くのが良いと決め、奥さんと2人で弁当を買って、この春2回目のつぼみに出かけてみた。早くも駐車場の入り口には駐車料金を徴収する係員が待っている。普段であれば無料の駐車場に入るのに、300円を支払って車を止めた。

 広い上河原の芝生の上には誰もいない。錦帯橋を眺めながら川土手に座って弁当を広げているのが数組いた。茶店では音楽を鳴らして客を呼び込む声がする。時折、遊覧船への案内をする声がスピーカーから流れてくる。その割にはそぞろ歩きをする花見客はちらほら。

 それもそうだろう。桜のつぼみはあと3、4日すれば開花すると思われるほどまだほころんではいないが、つぼみの先は一様にピンクかかっている。弁当を食べながらも、陽は暖かいが川風は冷たい。ダウンの防寒着を着ていったが、これでちょうどよいくらいであった。

 週明けには錦帯橋の桜の開花宣言が出されるであろう。あとは満開まではあっという間の出来事。同好会の花見は4月5日と決めてある。このころは散り始めの風情が楽しめるころであろう。錦帯橋の春はこれからが真っ盛りを迎える。


LED蛍光灯

2018年03月23日 | 生活・ニュース

 今日も借家の整備を行った。リビングルームとダイニングルームの天井には、17年前に大きな2段のサークル蛍光灯を取り付けていた。点灯させるためのスイッチは垂らした紐を引っ張るようになっていたが、その紐が丸めて蛍光灯のカバーの上に置いてある。

 脚立に立ってその紐を垂らして、引っ張ってみるが点灯しない。「おかしいな」と思いながらカバーを外して中を点検してみると、蛍光灯の形が、ふつう見るものと少し異なっている。蛍光管から直接配線が飛び出ていてソケット口がついていない。

 どう見ても私が知っている蛍光灯の構造とは違う。先日まで住んでいた借家人に電話をしてみた。「蛍光灯が点かないんだけど、どうしてなんでしょうか?」「ああ、あれはLEDの蛍光灯に変えています。リモコンで点けるようになっています。そのリモコンを明日持っていきますから」という。

 なるほど、今どきの蛍光灯は紐を引っ張るタイプではなく、リモコンで点けるのか。世の進歩に私は遅れを取っていることをこんなことで知った。翌日、リモコンが届けられた。オンオフスイッチを押すと点灯と消灯ができるばかりか、もう一つのボタンを押すと、明るさの調節が4段階でできるようにもなっている。

 これはいい。昔の蛍光灯のように、大小のサークル蛍光管を2、3本つけなくても、大きいものが1本ついていれば、それで十分同じ使い方ができる。そのうえ、普通の蛍光管の寿命は6000~12000時間であるのに対して、LEDの寿命は約40000時間以上だという。私が生きている間は大丈夫なほど長持ちをしそうである。

 光の世界も、LEDで飛躍的な進歩をしたが、何よりも消費電力が少ないのでお財布にも優しいということで、 LEDに模様替えしたまま出ていった借家人に感謝感謝である。