先週末、幼なじみの坂井幸子さんが、お姉さんと「二人展」と題して絵画展を開催した。初日、朝早く奥さんと出かけたが、すでに多くの人が来場していた。キャリアーは十数年だというのに、100号という大きな絵が何点も飾られている。熱心に描き続けてきたことがよく分る。
つい先日までの2年間、わが家の居間に飾らせてもらっていた「古都」という、パリの風景を描いた作品も出展されていた。どんな場所で見ても、躍動感があって見応えのある絵であった。そのすぐ隣に、花屋さんの店先を描いたものが3点並べてあった。
どこか見たことのある店の構えだ。ハタと気がついた。たった十数分前、車で走った通りにある花屋に違いない。描いた本人に確認してみると、そうだという。一番大きなものは100号で、店の内外にピンクの花の束が置いてある。店先では、ジーンズ姿の女性店員が向こうむきで何やら忙しそうに作業をしている。活気ある開店準備を思わせる風景だ。
「今度はこの絵を我が家で飾らせてほしいな」とお願いすると、快く承諾してくれる。楽しみに待っていた今夕、「突然ですが、今から持って行きます」との電話。あたふたと準備をしていると、ご主人と2人で運びこんできた。居間のいつもの位置に吊り下げてもらった。
何の変哲もない居間が、あたかもマジックでも見ているように、瞬く間に「邸宅美術館」に変わった。少し離れて眺めてみた。ピンクの花のおかげか、部屋が華やいで見える。絵の中の店員が、部屋に立っているかのようにも見える。私1人が眺めているだけではもったいない。ぜひ多くの人にも見てほしい。「二人展」見損なったあなた、我が「邸宅美術館」へぜひお出かけください。「邸宅」とは書きましたが、実はあばら家。でも絵だけは本物ですから。