スモーカー(smoker)といえば、まずは喫煙家のことを思い浮かべるが、今日は燻製窯という意味で使っていく。退職したころ、暇をつぶすために木工など色々なことをやっていた。その内のひとつが燻製作りであった。1斗缶くらいの大きさの市販のスモーカーを買って何度かやってみた。本格的というほどにはやってみなかったが、それなりの燻製が出来たように覚えている。
あれから15年が経った。先日、時遊塾の会員から、「燻製をやってみたい」という意見が出た。春、暖かくなったら庭でやってみたいと私も思い始めている。そのためには数人が楽しめるやや大きめのスモーカーが必要だ。書棚にあるアウトドアの本を参考にして、スモーカーを作ってみることにした。
必要なものは、スモーカーの本体となるダンボール箱である。ちょうど花を贈ってもらった時の背の高いものが納戸に置いてあった。大きさは30㎝四角、高さが60cmくらいのもので、思っている通りの大きさである。あとは、これに入る大きさの金網、スモークウッドを燻らせるための受け皿、食材を吊るすための金棒である。
カッターナイフでまずは下部に空気取り入れ口を作る。空気量を調節できるようにスライドするシャッターも取り付けた。中段には金網を乗せられるように支持棒を2本差し込む。上方には、食材を吊るせるように棒を3本渡す。側面の上下2カ所にはスモークウッドや食材を仕込んだり取り出したりできるような開閉できるドアも付けた。
普通のものよりは少し厚手の段ボール箱で作ってみたが、所詮は段ボールである。棒の差し込み個所や、ドアのカギの取り付け個所には裏側から補強の板を当てておいた。最上部には、温度計も取り付けた。これで立派なスモーカーの完成である。納得の自信作に仕上がった。
完成品を見ながら、インターネットに向かって、ブナとリンゴのスモークウッドを注文しておいた。これが届いたら、天気のいい日に試運転をし、味を確認してみたいが、食材はさて何にしようか。茹で卵、かまぼこにチーズ、小魚の干物やイカにソーセージ、塩シャケにちくわなどなど。簡単な前処理もいるようだが、小さな楽しみがまた一つ増えた。