写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

ゆうちょダイレクト

2014年08月30日 | 岩国検定

 21日、第3回の岩国検定を11月に実施することと、テキストCDを発売することの記者会見を済ませた。翌日、そのことが載った新聞記事を読んで、早速遠く宇部の町からCDを買いたいという電話が入ってきた。「買うにはどうしたらいいのですか」「郵便振替でお願いします。番号は○○です」と伝えておいた。

 2年前に「いわくに通になろう」というテキストブックを発売した時にも、代金はやはり郵便振替で支払ってもらった。このシステムは、注文する人が郵便局へ行って振替伝票に住所・氏名などを記入し、手数料を払って代金を現金で払い込む。販売している我が方には、数日遅れで伝票の写しが郵送されてくることで、どこの誰が購入したいかを知り本を発送していた。

 最近は、このシステムが合理化され、あらかじめ、ゆうちょ銀行に申込みしておけば「ゆうちょダイレクト」という手段で伝票をインターネットで見ることが出来るようになった。すなわち、紙の形で伝票が郵送されてくるのではなく、家にいてパソコン画面でそれを見ることが出来るようになった。

 初めてこのシステムをパソコンで開いた時、操作の分からない所もあったが、通話無料の問い合わせ受付体制も整っており、無事操作できるようになった。こんなシステムがあれば、郵便事業も、無駄な紙を作ったり、配送する手間もいらなくなる。パソコン様さまの感がする。

 さて、CD発売の準備はこれですべて整った。本日配達された「岩国市報」にも、岩国検定の実施と、CD発売の情報を掲載してもらっている。あとは、市民のみなさんに、どれだけ関心をもっていただけるかにかかっている。一人でも多くの方がテキストCDを手にして試験場まで来ていただけるか、会員一同手ぐすね引いて楽しみに待っている。


先人の知恵

2014年08月29日 | 生活・ニュース

 8月20日未明、広島市のベッドタウンである八木地区は、3時間に217mmものゲリラ豪雨に襲われ、土砂災害で死者・行方不明者は76人にも及ぶ大被害が出た。

 今朝の新聞によれば、この地域で砂防ダムが設置されている21基の下流域では被害が出ていない。八木地区では砂防ダムの整備を計画しながら、まだ1基も完成していないことがわかった。ダム整備の遅れが大きな被害を生んだ可能性が出てきたという。

 このような自然災害が発生したところを検証すると、その昔に同じような災害を経験していることが多い。経験した先人達は、石碑や言い伝えなど、何らかの方法でそれを後世に伝えてくれている。東日本大震災の被災地区にある石碑「ここより下に家建てるな」や、言い伝え「津波てんでんこ」がそれである。

 今回の八木地区の土砂災害に対してはどうだろう。やはり同じようなものがあることを、テレビの報道番組を見て知った。八木にある常楽寺の住職が話していた。

 「八木には大蛇伝説というものがある。昔、大水が出た谷を『蛇落地』と呼んだ。大水が流れ落ちてくる様子を蛇に例えて名付けたものであろう。その後その名は『上落地』と代ったと書いた石碑が今も残っている」。この地区も、昔から大水や土砂崩れがあった場所であることが伺える。

 先月、土砂災害のあった長野県の南木曽には「蛇抜け(じゃぬけ)の碑」があった。「蛇抜け」とは土石流のことで、土石が流れる様子が蛇に似ていることからそう呼ばれたのだろう。「蛇抜け」という地名は、長野、岐阜、富山、長崎など各地にあり、水害の歴史と深く結びついているという。

 今の世の中、住んでいる土地の安全は国から無償で与えられるものだと感じている節がある。一旦ことがあると、にわかに「同じ場所で過去にも同じようなことがあった」ことを初めて知る。ひっそりと隠されている先人からの言い伝えや残された石碑を、今一度掘り起こして解釈し、万一の時、各人が身の安全を確保する術を考えて生きていかなければいけないことを、改めて痛感する。


帰る家

2014年08月26日 | 生活・ニュース

 今年の夏は、かつて経験したことのない冷夏であった。7月の末に梅雨が明けたとあと、「梅雨明け10日とはよく言ったものだね」と言いながら、好天気が10日足らず続いた。ところがその後がいけない。梅雨が2度もあったように雨は降り続け、太陽を見ない日が延々と続いた。あげくが、先般、岩国での豪雨や広島の目を覆うばかりの土砂災害である。

 近頃のゲリラ豪雨の原因はいろいろ推測されているが、年が進むに連れ、被害が甚大になっている。この先何が起きても不思議ではない感じがするのが恐ろしい。広島の安佐南区の被害の映像を見ると、日本全国どこにでも見られる緑豊かで穏やかな山裾が、あっというまに土砂に埋まる可能性があるということがよく分かる。

 人知を結集してこの復旧と対策に当たらなければならないが、災害発生から6日目にしてやっと被災地に足を運んだ安倍総理は「政府としては、できることはすべてやっていく」と強調した。言葉尻かもしれないが、できることをやるのは当たり前。普通ではできないことをできるようにして、すべてを迅速にやるのが総理の手腕であろう。

 家を流されて学校に避難している女性の発した言葉が胸に響いた。「日頃、仕事を終えると毎日家に帰っていた。帰る家があるということが、なんて幸せなことであるかということを、今つくづく感じています。流されたあの家に、もう一度家族みんなで帰りたい……」と。

 復旧支援に、全国から多くのボランティアが参加して活動している。スーパーや銀行を始め色々な機関が義捐金の募集をネットなどを利用して始めている。遠くにいてもできることを、ささやかではあるがやりたい。被災者に、一日でも早く「何でもない日常」が戻ってくるよう、ただ祈るしかない。


岩国検定新聞発表

2014年08月25日 | 岩国検定

 8月21日の午後1時半、報道各社にあらかじめ連絡しておいた通り、市役所の記者クラブで、第3回岩国検定の実施と、テキストCD版の発行に関して2人の仲間と共に記者会見を行った。

 2年前の第2回目の時と同じように、大手の全国紙を初め、地方紙やケーブルテレビなど各社が集まってくれるものと期待して出向いたが期待は大きく外れ、わずかに3社が来てくれたにとどまった。理由を尋ねてみるとやむ終えない事情があることが分かった。岩国在勤の記者は、前日に発生した広島の土砂災害の応援に出かけたため誰もいないという。

 これでは致し方ない。災害の報道が一段落したころに個別に新聞社を訪ねて、岩国検定の報道をお願いしたいと考えている。そんな淋しい記者会見であったが、読売新聞社が23日、良い記事を掲載してくれた。「実行委員会代表は『受験者を増やし、岩国のPRや観光振興につなげていきたい』と話した」と、まるで岩国の観光振興の責任者が言っているように書いてあるが、まあよかろう。

 この記事を読んで、多くの岩国市民がCDを買い求め、力試しのつもりで11月30日に実施する検定試験を受験していただけることを大いに期待しているが、果たしてどんなことになるのか楽しみである。

  「岩国検定」テキストCD 来月販売、11月に試験(8月23日 読売新聞掲載) 

 岩国市の歴史や文化、自然などの知識を問う「岩国検定」が11月30日に2年ぶりに行われるのを前に、同検定の実行委員会は、テキストブック「いわくに通になろう」(A5判、120㌻)のCD版を作成した。9月1日から発売する。  
 岩国検定は、郷土の魅力をもっと知ってもらおうと、市民有志でつくる実行委が2010年11月に第1回を実施。四者択一式の全50問(100点満点)で、60点以上の合格者には金(80点以上)、銀(70~79点)、銅(60~69点)の認定証が発行される。第1回は市内外の94人、12年12月の第2回は71人が受験した。
 テキスドプックは第2回検定を前に作成され、岩国の歴史や自然、文化、著名な人物などを7分野に分けて解説している。400部を自費出版したが、費用負担が大きいため、作成費用がより少なくて済むCD版を出すことにした。
 CDにはテキストブックの内容をそのまま収録し、これまで2回の試験問題と解答も載せた。内容を印刷して使うこともできる。
 21日に市役所で記者会見した代表は「受験者を増やし、岩国のPRや観光振興につなげていきたい」と話した。 価格は1000円(郵送料を含む)。郵便為替で申し込む。問い合わせは岩国検定実行委事務局(0827-21-8032)へ。


夕方のグラウンド

2014年08月24日 | 生活・ニュース

 夕方の散歩の帰り道、中学校のグラウンドへ入ってみた。先日、ゲリラ豪雨に見舞われた時、近くの川が氾濫し、この辺り一帯の道路は腰の高さくらいまで冠水した。グラウンドにも泥水が流れ込み、真砂土だった表面は、水が引いた後、田んぼのように柔らかな細かい泥で覆われていた。

 グラウンドの中に5か所ほど新しい真砂土の山があった。見ると、黒く汚れていたグラウンドの表面の大半は、きれいな真砂土でならされている。新学期を前に、急いで整備しているのだろう。そんなグラウンドで、中学生くらいの少年が一人無心にダッシュを繰り返していた。

 そばを通るとき聞いてみた。「君は陸上部なの?」「いいえ、#$%部です」「えっ?何部?」「#$%部」、どうもよく聞き取れない。3度目でやっと「ゴルフ部」だということが分かった。「ゴルフ部? この辺りで、どこの学校にそんなクラブがあるの?」「坂上の高校です」「何年生?」「1年です」「じゃあ、まだ5カ月しかやっていないんだ。コースには出たことあるの?」「まだ1度も出たことはありません」「坂上には学校のそばにゴルフ場があるよね」「夏休みには毎日そのゴルフ場で練習しています」と答える。

 背は高くはないが胸板の厚い少年であった。高校では珍しいゴルフ部のある学校だ。クラブ活動でゴルフが出来るとは、私も今からでも高校生になってみたくもなった。「じゃあ、頑張ってプロゴルファーになれるといいね」といって別れた。

 グラウンドの出口近くで、小学5、6年生くらいの少年と、がっしりとした体格の若いお父さんが5mくらい離れてボールの投げ合いをしている。近づいて見ると、小さめのラグビーボールを地面に置いて、子どもがそれを拾い上げて、ボールに回転を与えながらお父さんにパスを出している。

 お父さんに話しかけてみた。「この辺りで、こんな小さな子供がラグビーをやるクラブなんてあるのですか?」「いや、ありません。僕が大阪でやっているので休みに帰ったとき、息子に教えているんです」と笑う。道理で体格のいいお父さんだ。どこかの社会人チームのラガーのようである。子どもはお父さんのようになりたいのだろう。いい関係の父子に見えた。

 文章の終わり方で困ったときには「秋の夕暮れ」とか「人それぞれ」と書けばよいという。その調子で書けば、今日は「夏休みもいよいよ終盤、人それぞれの秋の夕暮れのグラウンドであった」と書いておこう。