ある物を探しに納戸に入ると、古いはがきが落ちているのを見つけた。今から13年前、入退院を繰り返していたひとり住まいの母へ、私が出した年賀状だった。
「暮れに体調を崩しましたが、もう大丈夫です。正月には帰れませんが、3月中旬には出張の折に帰ります」と書いている。
私は退院した直後であり、気になりながらもなかなか帰省出来ないでいた。その年の3月、帰省する直前の出張先の宿で母が亡くなったことを知らされた。
ひとりぼっちの正月、この年賀状を寂しい思いで読んだだろうと思いながら、そっと指で文面のほこりをぬぐった。
(写真は、岩国時代工房の「創作絵はがき」、
2006.12.09 毎日新聞「はがき随筆」掲載;佳作)
「暮れに体調を崩しましたが、もう大丈夫です。正月には帰れませんが、3月中旬には出張の折に帰ります」と書いている。
私は退院した直後であり、気になりながらもなかなか帰省出来ないでいた。その年の3月、帰省する直前の出張先の宿で母が亡くなったことを知らされた。
ひとりぼっちの正月、この年賀状を寂しい思いで読んだだろうと思いながら、そっと指で文面のほこりをぬぐった。
(写真は、岩国時代工房の「創作絵はがき」、
2006.12.09 毎日新聞「はがき随筆」掲載;佳作)