写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

大蕪(おおかぶ)の育て方

2019年02月27日 | 生活・ニュース

 京都の千枚漬の原料となる蕪は、富山県で生産されている大蕪を使っているという。厚さ2mmの千枚漬は、かおりが強く、肉質はきめ細かで歯ごたえが良く、口に入れると甘くすっぱく冷たくておいしい。富山の大蕪の特徴は、肉質の緻密さだという。そうなる理由は、粘土質の土壌にある。 

 粘っこい土壌に強く拘束されながら、ゆっくり時間をかけて大きくなるためである。成長するに厳しい環境にいたからこそ、いい蕪になるのだという。

  翻ってわれわれ人間はどうだろうか。精神的にも肉体的にもこれと同じことは言えそうだ。子供に対しても、愛情を欠いてはいけないが、心身両面で厳しい環境において鍛えてやる方が子供のためになる。

 厳しすぎてうまく行かなかった例も多い。何事もほどほどであろうが、人間は、試行錯誤した結果、失敗したような場合には、野菜のように捨ててしまうという訳には行かない。それだけに難しいが、幸い人間は土中の蕪と違って、よく見ていれば日々の成長が目の前でよく分かるので、必要とあれば方向修正も出来る。「ほどほど」「適度」を見極めるのが親の役目であろう。

 とはいえ簡単には行かないのが人間の難しさである。富山の大蕪のように子供が立派に成長すれば、親のカブも上がろうというものである。粘土質に負けないよう、親も粘り強く頑張ることが肝心であったと、今になって少し反省している。


「高齢者サポート」

2019年02月26日 | 生活・ニュース

 「緊急連絡先」のことを書いた翌日の新聞に「高齢者サポート(安心・安心を結ぶプロジェクト)」と書いた折り込みが入っていた。中国新聞・朝日新聞・毎日新聞の愛読者に対して、販売所からのメッセージが書いてある。

 3月1日より「おはようコール」という見守りサービスを、当該販売所エリアで購読している独り暮らしの人に限り希望者に無料で開始する。

 毎週月・水・金の午前9時~午前9時30分の間に、体調など変わったことがないかを聴くために、1~2分程度の電話をする。前日までに不在の連絡がなく電話に出られない場合には、上記の時間以外に電話する。昼までに、どうしても連絡が取れない場合には、予め登録しておいた緊急連絡先へ報告するというものである。

 こんなシステムがあれば、独り暮らしの高齢者は安心感が増し心強い。しかも無料でやってくれるという。新聞販売所にとっては購読者の確保の一環であろうが、民生委員の活動を民間がカバーしてくれるという、いいシステムだと思う。

 従来、販売所が配達した新聞が数日間新聞受けに溜まっているような時には、予め登録しておいた緊急連絡先に報告してくれるシステムはあった。この新しいシステムは、毎週3回も先方から「変わった様子がないか」と電話をしてくれる。

 こんなありがたいシステムは大いに活用したほうがよい。今、新聞を購読していない人も、月に3千円程度の購読料を払えば、新聞も読めるしこんなサービスも受けることが出来る。申込書に必要事項を書き込んで販売所に持参するか、FAXか郵送すればよい。

 これぞまさに「遠くの親戚より近くの他人」、いざというときに頼りになるのは、遠く離れて暮らす親類ではなくて、近所に住んでいる他人のほうだということか。「緊急連絡先」と合わせてこのサービスを活用すれば、緊急時の対応は万全となる。


緊急連絡先

2019年02月25日 | 生活・ニュース

 十数年前、民生委員を2期・6年間務めたことがある。その時、重点的に目を配ったのは、65歳以上の1人暮らしと、夫婦ともに70歳以上の2人だけの家庭を訪問することであった。

 1人暮らしの家庭であれば、何かあった場合には身内に連絡を入れて対応する必要がある。2人暮らしの家庭といっても、高齢者の2人暮らしの場合には、片方に何ごとかあった場合、もう一人の方が適切に対応できるとは限らない。

 そんなこともあって、このような家庭には、電話機のそばの壁に「緊急連絡先」を書いて貼って置くように頼んでいた。こうしておけば、緊急事態でも身内の人にすぐに連絡することができ、対応がスムーズにいく。

 任期中、この「緊急連絡先」が役に立ったことが2回もあった。民生委員を辞めた後でも、高齢者と話す機会がある時には、「緊急連絡先」を書きだしておくことを勧めている。

 そんなこの頃、はたと我が家が70歳以上の夫婦2人だけの家庭になっていることに気がついた。今もって、2人で車に乗って出歩くことは多い。立派な後期高齢者の運転者である。いつ何時、交通事故に巻き込まれたり、自らが事故を起こすかもしれない。

 万が一そんなことがあった場合に備えて、家の電話の横に「緊急連絡先」を印刷して貼っておくことにした。遠くに住む2人の息子の勤務先と携帯の電話番号、それぞれの嫁の携帯番号や、近くに住む姉や義弟の電話番号を書き留めておいた。

 こうしておけば、何かあった場合、直ぐに対応はできないかもしれないが、一両日中には少なくとも連絡をとってもらえる。後期高齢者となった今、極力、他人へ迷惑をかけないための最低限のことだけはやっておきたいものである。


エッセイの書き方

2019年02月23日 | 生活・ニュース

 エッセイストの宝彩有菜(ほうさい ありな)さんのブログを読んだ。「さぁ、エッセイを書いてみよう」というブログを要約してみた。
 
 「日常はすべてエッセイである。 エッセイとは、『自分』が考えたり、感じたりしたことを、自分も含めた、他の人に伝えるということ。だから『自分』が必ず入っている。個性のある『自分』がエッセイの中に入っていないと、それは、レポートとか、記事になってしまう。

 また、エッセイは、その短い文章の中で、一つのテーマが完結しているのが特徴。 作者はその文章で、言いたいことを、言い得ているということである。 エッセイを書くということは、つまりは、『自分』を書くことになる。一つの花を見て、その花の描写をするだけではなく、その花に対して自分がどう感じているのか、何を思うのか、何を思い出すのか、そのような自分の心の動きを文章にして書き出していくことになる。

 『私は、あまり日常に感動することがないから、エッセイはなかなか書けない。もっと感動的な人生ならエッセイも書けるのに』と思う人がいるかもしれないが、それは、アプローチが逆である。 ビックリしたこと、驚いたことがあれば、エッセイが書けるのではない。 エッセイを書くことによって、自分の『感性』や『思考』を掘り出していくことに意味がある。 日常をすべてエッセイにする。そのつもりで色々な出来事を、まずは観察してみることである」と。

 今まで、内容の如何にかかわらず、よしなきごとを何でもいいから文字にすればエッセイだと思っていたが、これを読んでみるとそうではない。大切なことは、書いた文章の中に個性のある「自分」が入っていなければエッセイとはいえない。これ以外の文章は、お知らせであったり、あることの紹介文であったり、単なる記事になるのだろう。

 まずは自分の「感性」を磨いたり「思考」を深めたりの努力をし、個性のある自分を創り上げる努力をしなければ、いいエッセイを書くことが出来ないようである。心して努めたい。


お引越し

2019年02月22日 | 車・ペット

 昨年の6月に、オランダシシガシラと丹頂という2種類・4匹の金魚を買って水槽に入れていた。1か月がたったころ、各1匹が死んでしまったが、2匹が残り順調に育って今日に至っている。

 大きさは、買ったときには体調が5㎝くらいだったものが、今は2匹とも倍の10cmを超えるくらいに大きくなった。玄関の台の上に置いている水槽の前を通るたびに、私の方を向いて水面近くまで上がってきて、口をパクパクさせてエサをねだる仕草をする。

 犬ほど心を通わせるようなことはないが、少しばかりの感情の交流はあって、夫婦2人だけの生活の中に、ささやかな安らぎを与えてくれている。オランダシシガシラは、頭の上にある肉瘤が非常に大きくなってきて、見応えがある姿になってきた。

 ところが数日前、シッポの端が少し白っぽくなっているのを見つけた。調べてみると「尾ぐされ病」と書いてある。ペットショップへ走ると、それ用の液体の薬が置いてあり、買って帰りすぐに水槽に投入した。

 使っている水槽は、水が10Lくらいしか入らないもので、ネットによれば成長した金魚の大きさからみると少し小さいようである。水槽が小さすぎると、水質が悪化しやすいので病気になりやすいと書いてある。以前、コイを飼っていた水槽を取り出してみると、横幅が40cmあり、水が25L入るものであった。

 早速金魚のお引っ越しを行った。それにしてもこの2匹は、大きな水槽に引っ越しをしたとはいいながらも、狭い世界で生きていて、かわいそうだなとは思ってみた。狭い家で生きている我が身と似ているような気もする。新居で楽しそうに泳いでいる姿を見ると「狭いながらも楽しい我が家」ではないが、狭い世界をお互い謳歌しているようにも思えた。