写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

高速道時速120㎞

2019年01月31日 | 生活・ニュース

 警視庁は、新東名高速道路と東北自動車道の一部区間で、試験的に最高速度を120㎞に引き上げると発表した。事故の発生や走行速度を分析して、その他路線でも引き上げを検討するという。高速道路が開通した1963年以降、最高速度が120kmになるのは初めてである。

 今回は車道の幅が広くてカーブや勾配が少なく、120kmでも安全に走れる設計で、事故が少ない区間が選ばれた。この区間は、2017年から最高速度を100kmから110㎞への引き上げを試行。施行前後の1年間を比較すると、事故の発生や走行速度に大きな変化はなく、速度超過の取り締まり件数はほぼ半減している。ただしトラックなどの大型貨物車は80㎞規制のまま据え置かれるという。

 この最高速度が120kmになる高速道は、ごく一部の区間であるが、既設の曲がりくねった高速道では到底無理なことはよく理解できる。しかし、走行速度というものは、運転している者が、道路の状況を見ながら判断するもので、何が何でも最高速度まで出して走らなければいけないものではない。

 逆に、80kmという最高速度ではあまりにも低速すぎる感じがする区間もある。走行速度はすべからく、自分の体調や運転技量、車の性能や道路状況など勘案して、自分で決めて走ることが大切だと思っている。

 規制速度は超えてはいけないとは思いながら、パトカーをはじめ、多くの人が規制値を超えて突っ走っている現状は、やっぱりおかしい。車の性能は当初に比べ格段に向上している。その他の区間も最高速度の見直しが進むことを期待している。もちろん80㎞制限の区間などを設けながらではあるが。100㎞くらいにしてはどうだろうか。

  


順法走行

2019年01月24日 | 生活・ニュース

 天気がよく暖かい日、義母を見舞いに奥さんを乗せて防府まで出かけることにした。ナビを見ると高速道路を使うと距離は約80㎞ある。10時に高速道路に乗った。

 高速道路を走る時、いつも走行速度は時速90㎞くらいで走っている。制限速度は80㎞であるが、こんな速度で走っている車は、重量物を乗せた大型トラックくらいで、ほとんどの車は90~100㎞くらいで走っているのが現状で、制限速度を100㎞に上げることも検討されているという。

 先日、高速道路でパトカーについて走るような場面があったが、そのパトカーですら時速90㎞で走っていた。パトカーを尻目に、92、93㎞くらいの速度でパトカーをじわりと追い越していく輩もいたが、何のお咎めもなかった。

 制限速度が80㎞というのは、余りにも現状にあっていないような気がしている。そんなことを思いながら、このたびは忠実に制限速度の80㎞で走ってみることにした。走行車線を走っている大型トラックの後ろにつくと、ちょうど80㎞の速度であった。

 この速度であれば緊張感もなく、周りの景色を見ながら走ることができて、疲れも少ないようである。その間、追い越し車線を乗用車のみならず大型トラックまでもがバンバン追い越していくが、1度も追い越しをすることもなく、安定した走りで進んだ。

 計算では、80kmの距離を時速100㎞で走ると50分、80㎞で走ると60分かかり、10分の差が出る。この10分がどれほどの価値があるかであるが、今の私にはそれほどの意味はない。それであれば、疲れがなく安全に走行できる方がいいに決まっている。

 無事に防府市についたが、今まで車線を何度も変えて追い越しを繰り返すような運転を少し反省している。高齢者の皆さん、こんな走り方1度試してみてはいかがでしょうか。車線変更をしない走り方って、あおられることもなく随分楽でしたよ。

 

 


薬喰(くすりぐい)

2019年01月16日 | 生活・ニュース

 「毎日俳壇」で「少年の産毛濃くなり薬喰」(植松徳延)という俳句が載っているのを読んだ。まだ髭というほど濃くないが、あきらかに男の匂いが感じられる年頃。季語との響き合いが絶妙、と選者が講評している。

 「薬喰」という言葉を初めて見た。俳句の季語であることも知った。何のことか知らないので早速調べてみた。

 「冬、滋養や保温のために鹿・イノシシなどの肉を食べること。獣肉は忌んで一般には食べなかったが、病人などは薬になるという口実を設けて食べた。主として鹿肉を食べるのを云う。『客僧の狸寝入りや薬喰(蕪村)」と書いてある。

 その昔から日本人は肉を食べていたようであるが、仏教の伝来以来、獣を殺してその肉を食すことは一種のタブーになり、江戸時代には獣肉を食べると身がけがれるという思想もあって、殺生禁断の令もたびたび出された。

 そんな中、肉を食べたくなった時には、養生の薬と称して鹿肉を食べたことから「薬喰」という。「閲甫食物本草」という古書には「鹿、狸、猪、菟、川うそ、熊、いぬ」など20種の獣が紹介されている。

 この頃では「薬喰」という漢字ではなく、「ジビエ」という聞こえの良い片仮名で表現するようである。「ジビエ」( sauvage)とは、狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味するフランス語で、ヨーロッパでは貴族の伝統料理として古くから発展してきた食文化のことをいう。

 薬食にしろジビエにしろ、いずれも天然の獣肉を食することに違いはないが、「薬喰」というと、自分の体を労わるために仕方なく食するというイメージが強く伝わってくる。日本人の、鳥獣に対して命をいただくという仏教的な思いが伝わる言葉のように感じる。

 それらを調理した名前さえも、猪肉は「ぼたん」、鹿肉は「もみじ」、馬肉は「さくら」という隠語で呼び、直接的な表現を避けている。晩酌で飲む酒も「薬飲」と言えば、奥さんも抵抗することなく熱燗を出してくれるかもしれない。やってみるか。


為せば成る

2019年01月14日 | 生活・ニュース

 1年前に、長い間使っていたwindows vista(vista) のノートパソコンが壊れたので、最新のwindows10(10)に買い替えた。ところが新しければ何でもいいわけではなかった。

 まず一つとして、岩国エッセイサロンのHPを「HPビルダー12」という、今となっては古いソフトウエア―を買って、HPの更新に適宜使いこなしていた。ところが、そのソフトウエアーが対応できるパソコンのOSはxpとvistaまでで、10は対応外と書いてある。あきらめ半分で、それでも10にソフトウエアーをインストールしてみると、調子がよければ今まで通り使うことができることが分かり、若干の問題はあるがなんとか使えている。

 もう一つとしては、現在では結構古いプリンターでキヤノンMP630というものを使っている。紙送りは時に問題はあるが、普段使うA4用紙の印刷には全く問題がないので愛用している。ところがパソコンを買い替えた時に改めてプリンターの取説を読むと、対応できるOSはXP、vistaまでと明確に書いてあり、10は対応外のようであった。

 エッセイサロンの会員が新聞に投稿し掲載されたエッセイをスキャナーにかけ、ソフトウエアを介してWord化し、同人誌を簡単に作るという作業がこの1年間できないでいた。

 ところが先日のことである。ひょっとしてと思い、MP630のセットアップCDを取り出して10にインストールしてみると、なんて言うことはなく、vistaの時のようにスキャナーも使えるではないか。

 では、メーカーが書いている対応外のOSとは何だったのか。私が買った10のパソコンが、どんなソフトウエアでも「どんとこい」という大きな包容力のあるものなのだろうか。こんなことで取説の「対応可能なOS」の言葉を鵜呑みしないことが大切であることを学んだ。何ごとも、やってみないと分からない。まさに「為せば成る」を実感している。


日の目をみる

2019年01月11日 | 木工・細工・DIY

 停年退職をした後、2年足らず木工で台所用品や飾り棚・手芸用品・紙芝居舞台など手ごろなカントリー雑貨を作り、ネットのオークションに出品するなどして、120~130点ばかりを買ってもらった時期があった。

 そんなことで暇をつぶしていたとき、結婚したばかりで東京に住む長男に孫息子が生まれることが伝えられた。「よし、誕生祝に木工で木馬を作ってやろう」と決めた。方眼紙に1/10の縮尺で図面を引いてみた。木馬に乗る子供の体の大きさはこんなもんだろうと、適当に大きさを決めて作り始めた。

 普通の木馬ではなく、折り畳み式の車輪を装備した木馬である。1歳近くになって孫が帰省してきたが、まだ乗ることはできない。次に帰ってきたときには2歳になっていた。木馬に跨がってはみたが、揺らして遊ぶというほどのことはしなかった。

 それ以降、木馬は2階の納戸に納められて、10年余り日の目を見るようなことはなかった。ところが、この正月、次男が2歳2カ月になる孫娘を連れて帰省してきた。遊び道具は何もない。「そうだ、木馬を出してやろう」。それを見るや否や、嬉しそうに直ぐに跨いだ。少し揺すってやると、手を放しても満面の笑顔で身体を揺れに同期させて、上手に大きく揺らすことができる。

 製作してから14年ぶりにやっと日の目を見ることができたが、木馬にはすぐ飽きて、テレビのアンパンマンに釘付けとなった。最近の子供には、木馬も爺ちゃんの思いも届きにくいようである。この木馬、縁側で私が跨いで揺らせてみようか。頭を揺らせば、少しはボケ防止になるかもしれない。うん、これがいい。