写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

3年ぶり

2014年06月29日 | エッセイ・本・映画・音楽・絵画

 この6月で岩国エッセイサロンは創設以来8年半を経て100回目の定例会を迎えた。これを機に、3年間休んでいた新聞へのエッセイ投稿を再開することにした。手始めに、私の好きな毎日新聞の「はがき随筆」に投稿した。制限文字数が、わずか252文字という、ごく短いエッセイ欄である。

 短ければ誰でも直ぐに書けると思いきや、そうはいかない。短ければ短いほど難しいというのが実感だ。文章には句読点もあれば改行もある。実際に書くことが出来る文字の数は252文字よりかなり少なくなる。

 書き出しは1文字下げるので、許される文字数の最大は251文字となる。今回は、その251文字で投稿してみた。隙間のない文字の羅列は、窮屈で暑苦しい感じがするが、一度挑戦してみたかった投稿スタイルであった。

 こんな遊びは、各社新聞の1面最下段にあるコラムに見られる。毎日であれば「余録」、朝日であれば「天声人語」、日経であれば「春秋」などである。いずれも改行は全くなく、隙間なく文字を埋めている代わりに、改行に相当する文字の先頭に「▼印」をつけている。その▼が、水平な一直線になるようにしたり、左下がりの斜め一直線にしたりして遊んでいる。

 書いていることのレベルは違うが、そんな類の遊びをしてみたエッセイが、今朝の新聞に掲載されました。エッセイの中身ではなく、その遊びをご覧ください。

 「不埒な親だが」 
 散歩の途中お茶屋さんの前を通りかかると、店の奥さんが脚立の上に立っていた。羽根の生えそろっていない4羽のツバメのヒナに、竹串でエサをやっている。孵化して間もなくメスはやって来なくなり、オスは電線に止まって他人事のようにただ見ているだけ。見かねて親に代わって1時間ごとにエサをやっているという。数日前からオスは違うメスと飛び回っていると笑って話す。身近なツバメの世界にも不倫とか育児放棄などがあるのだろうか。このオスは無責任な奴だと思ったが、人間だって同じようなことをする輩もいる。笑ってばかりおられない。(2014.06.29毎日新聞「はがき随筆」掲載)


skype(スカイプ)

2014年06月27日 | 生活・ニュース

 孫息子は、父親が単身赴任をしていて、母親と2人で広島に住んでいる。学習塾に通っているが、習うことがその場ですべて理解できるわけではない。小学校の高学年ともなると、算数や理科は母親でも難しい問題が出題されている。

 今年になって定期的な試験の前、解けない問題があるときに電車に乗って一人で我が家にやって来るようになった。土曜日、遊びが半分、勉強が半分の1泊2
食付きの息抜きにも見える。岩国までやって来る暇がないときには、ファックスで問題を送って来ることもあった。解答をファックスで送ると共に、電話で解説をしていた。

 しかし、算数の問題は、この方法では理解させることは難しい。目の前に座らせて鉛筆で指し示し、本当に理解できているかどうか顔を見ながらでないと教えることはできない。そんなことを悩んでいたとき、いいものがあることに気がついた。

 「skype」というソフトで、インターネットを使って世界中どこへでも無料で通話ができる電話のことである。小さなwebカメラをパソコンに接続すれば相手の顔を見ながら通話もできる。インターネット代金が定額なのでそれ以上のお金を払うことなく無料でできる優れものだ。パソコンにskypeをインストールし、カメラをパソコンのカバーに乗せれば準備は完了する。

 先週息子が帰省した時にこれをセットしてくれた。嫁の持っているタブレットを相手に通話してみると、思った通り顔を見ながら話が出来た。しかし、今回のこのskypeを取り付けた目的はこんなことではない。

 早速、白い紙を持ってきて、マジックで何やら数字や三角形の図形を書いてカメラで写すと、タブレットにはっきりとそれが写った。これなら、孫が広島から電車に乗ってやってくる手間なしで教えてやることができるばかりか、お金の節約にもなる。これは便利だ。道具立ては完了して5日経ったが、その後、
孫からの送信はまだない。「もしも~し、何か分からないことはないか~」


議会の華

2014年06月25日 | 生活・ニュース

 「ヤジは議会の華」といわれ、審議を活発化するいいものだといわれている。それを誤解してか、日本全国、国会は言うに及ばず地方の議会でも、ヤジと称して不規則な発言が飛ばされている。

 
議会は、「言論の府」といわれるように、議員活動の基本は言論であって、すべて言論によって決定される。このため、言論を尊重し、その自由を保障している。発言が自由であるからといって、どんな内容の発言も許されるというものではない。秩序を乱したり、品位を落とすものであったり、議題とは無関係の議員の人身攻撃にわたるような発言まで許されるものではない。

 発言者は、発言に責任を持つことが要求される。発言の内容によっては政治的、道義的責任を問われることもあり、さらに法令や会議規則に違反した発言は懲罰の対象となることもある。先日、都議会で発言中の独身女性議員に対して、人身攻撃的なヤジを発したがため、自ら窮地に立たされている男性議員がいる。

 少子化対策について質問中の女性議員に向かって「早く結婚しろ」とヤジった。これが問題となった直後は、この男性議員は自ら発言したことを否定した上で、議員辞職に値する発言だと他人事のようにインタビューに答えていたが、数日後、自分の発言であったことを認め女性議員に謝罪した。

 発言直後には、自分の発言ではないと言い、議員辞職に相当する発言であるとまで言っている。同時に「産めないのか」というヤジもこのとき飛んだという。これは誰が言ったのか分かっていないが、「早く結婚しろ」以上の卑劣なヤジに違いない。

 これの本質的な問題は、本当に「ヤジは議会の華」なのか、ということではないだろうか。人の話を聞くときは、まずは傾聴し、話が全て終わってから自分の意見を言うのが議論の仕方であろう。話の途中で、あれこれ騒ぐようなヤジはもってのほか。

  「ヤジは議会の華」なんて即刻やめた方がいい。第一、他の人は話が聞こえないという大迷惑をこうむる。「寸鉄人を刺す」ほどの言語能力のある人だけ、ヤジの免許を授与するなど、何らかの歯止めがいりそうだ。


二刀流

2014年06月24日 | スポーツ・山登り・釣り・遊び

 イタリアのルネサンス期を代表する芸術家であるレオナルド・ダ・ヴィンチは、絵画「モナ・リザ」や「最後の晩餐」を描くなどして、史上最高の呼び声高い画家の一人であるとともに、彫刻、建築、音楽、科学、数学、工学、発明、解剖学、地学、地誌学、植物学など様々な分野に顕著な業績を残し、「万能人」 との異名で親しまれている。

 これくらいの天才となると、どれほどの才能を持っていたのか想像さえできないが、今、レオナルド・ダ・ヴィンチのような「万能人」といかないまでも、宮本武蔵張りの「二刀流」で話題になっている男がいる。言わずと知れたプロ野球日本ハムの「大谷翔平」選手である。

 スポーツライターの浜田昭八さんが新聞のコラムで「出来るだけ早く一刀流にすべきだ。それも『一投専念』ではなく打者になるのがいいと思っていた。ところが最近の快投を見ていると考えが少し揺らいだ。過去、入団時、投打とも素晴らしかった王、イチローはいずれも二刀流であったが打者で成功した。

 こんな球界の宝を毎試合ファンに見せるために、打者になってほしい。一刀流でさえ成功しない選手が多い中、『二刀流』にこだわったら『二兎流』で終わる危険性がある」と提言している。

 さて、私のような凡人が、この野球の天才に対して何流がいいとは安易に言えないが、浜田昭八さんの意見に反して、二刀流でいいのではと思っている。プロ野球は草野球ではないので「そんなに簡単に二刀流なんて」という意見はよく分る。野球で「走攻守3拍子揃ったいい選手」という評価の仕方はよくする。その「守」の中には、球を投げる、つまり投手であることも当然含まれている。

 プロ野球の選手の中で、高校時代には投手で4番打者であった選手は多い。プロ野球にだって、万能選手が出てきても不思議ではなかろう。少し話は違うがゴルフは、ドライバーで打つ選手と、パットする選手が違うなんてことはない。同じ選手がまったく異なる才能がいりそうなプレーをする。言ってみれば二刀流だといえなくもない。「二刀流」ができる選手の多妻ぶりを、おっと間違った、多才ぶりをテレビで羨ましく、まばゆく眺めている男の独りごとであるが、こんな選手がいたら楽しいだろうな。


100回目の定例会

2014年06月21日 | エッセイ・本・映画・音楽・絵画

 岩国エッセイサロンの月1回の定例会が、2014年6月度に第100回の節目を迎えた。思い起こせば10年前のことである。定年退職した後、これといった趣味もないまま、毎日をのんべんだらりと過ごしていた時、毎日新聞に「はがき随筆」という読者投稿の短いエッセイ欄を見つけた。 

 わずか250字のエッセイを読んで、感動したり共感したり笑ったりしていたが、短いエッセイなら私も書けるのではないかと思い、ある日、生まれて初めてエッセイなるものを書いて投稿した。今日か今日かと、毎朝新聞をとりに出ていた10日目、投稿したエッセイが掲載された。嬉しくてひとり小躍りして喜んでからというもの、新聞投稿が病みつきになった。

 お金はかからず暇がつぶれる。頭の体操にもなるし、その上新聞に自分の名前が載って、ささやかな反響も味わえるので、年配者にはおあつらえ向きの趣味ではないかと気がついた。

 初めての投稿から1年半後の2006年1月、新聞紙上で見つけた岩国在住の投稿者に声をかけ「岩国エッセイサロン」という会を5人で立ち上げた。今や会員は17名。何れの会員も普通とは少し違った豊かな個性と、きらりと光る感性を持ち合わせた人ばかり。そんな会員と月に一度の定例会で、エッセイの合評やよもやま話しができることは大きな楽しみとなっている。まさに「サロン」という名の通り、エッセイを介した「談話室」のような定例会になっている。

 今日20日、100回目の定例会を開催した。それを記念して、毎日新聞の読者投稿エッセイ「はがき随筆」の選者である毎日新聞山口支局長をお招きして、エッセイの書き方の講演をしていただき、引き続き会員が創作したエッセイの合評会を行った。
  
 岩国エッセイサロンが、これからどう発展していくのかは分からないが、会員一人ひとりがますます輝いて生きていけるような会にしていきたい。夜の懇親会は賑やかに過ぎて、あっというまに終わってしまった。今朝は心地よい疲れが残っている。