この6月で岩国エッセイサロンは創設以来8年半を経て100回目の定例会を迎えた。これを機に、3年間休んでいた新聞へのエッセイ投稿を再開することにした。手始めに、私の好きな毎日新聞の「はがき随筆」に投稿した。制限文字数が、わずか252文字という、ごく短いエッセイ欄である。
短ければ誰でも直ぐに書けると思いきや、そうはいかない。短ければ短いほど難しいというのが実感だ。文章には句読点もあれば改行もある。実際に書くことが出来る文字の数は252文字よりかなり少なくなる。
書き出しは1文字下げるので、許される文字数の最大は251文字となる。今回は、その251文字で投稿してみた。隙間のない文字の羅列は、窮屈で暑苦しい感じがするが、一度挑戦してみたかった投稿スタイルであった。
こんな遊びは、各社新聞の1面最下段にあるコラムに見られる。毎日であれば「余録」、朝日であれば「天声人語」、日経であれば「春秋」などである。いずれも改行は全くなく、隙間なく文字を埋めている代わりに、改行に相当する文字の先頭に「▼印」をつけている。その▼が、水平な一直線になるようにしたり、左下がりの斜め一直線にしたりして遊んでいる。
書いていることのレベルは違うが、そんな類の遊びをしてみたエッセイが、今朝の新聞に掲載されました。エッセイの中身ではなく、その遊びをご覧ください。
「不埒な親だが」
散歩の途中お茶屋さんの前を通りかかると、店の奥さんが脚立の上に立っていた。羽根の生えそろっていない4羽のツバメのヒナに、竹串でエサをやっている。孵化して間もなくメスはやって来なくなり、オスは電線に止まって他人事のようにただ見ているだけ。見かねて親に代わって1時間ごとにエサをやっているという。数日前からオスは違うメスと飛び回っていると笑って話す。身近なツバメの世界にも不倫とか育児放棄などがあるのだろうか。このオスは無責任な奴だと思ったが、人間だって同じようなことをする輩もいる。笑ってばかりおられない。(2014.06.29毎日新聞「はがき随筆」掲載)