写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

晩秋の風物詩

2019年10月24日 | 生活・ニュース

 今日10月24日は、暦の上で霜が降り始める「霜降」にあたり、害虫を駆除するため松に「菰巻き」(こもまき)をする作業が、各地の公園でおこなわれた。

 菰巻きは、江戸時代から大名庭園で行われてきたとされる害虫駆除法で、松の木を食い荒らすマツカレハの幼虫を除去する方法のひとつである。マツカレハの幼虫は冬になると地上に降り、枯れ葉の中などで越冬する習性を持つ。この季節、マツの幹の地上2mほどの高さに、菰を巻きつけておくと、幹づたいに下りてきた幼虫が、越冬のために菰に潜りこむ。

 春先に、弧の中で越冬したマツカレハの幼虫を菰ともども焼却し、マツカレハの駆除をする。ところが、最近になって、この「菰巻き」を中止するところが多くなってきたという。その理由は、マツカレハの天敵となるヤニサシガメなども越冬場所が共通していることが多く、共々に燃やされてしまうことになるからだという。

 兵庫県立大学環境人間学部の新穂千賀子らが2002年から5年間かけて姫路城で行った調査がある。これによれば菰巻きに捕まったマツカレハはわずかで、対して害虫の天敵となるクモやヤニサシガメが大多数を占め、害虫駆除の効果はほとんど無いことが分かった。

 むしろ逆効果であることを証明したので、姫路城では2015年から中止したという。皇居外苑や京都御苑では、新穂らによる研究の20年以上前から、同じ理由で菰巻きは行われていない。

 毎年この季節になると、テレビで「菰巻き」の作業を、晩秋の風物詩として放映するのを見て「ああ、もう直ぐ寒い冬がやってくるのだなあ」と思っていた。しかし、菰を巻いて害虫を駆除するという根拠が薄弱となり、昔ながらの晩秋の風物詩も科学的な理屈には勝てず、これからは見られなくなっていくのを寂しい思いで見ている。

 


秋バテ

2019年10月23日 | 生活・ニュース

 朝夕の風には秋の気配を感じるようになってきた。夏の暑い時期を何とか乗り越え、少し涼しくなってきたにもかかわらず、このところなんとなく体がだるい日が続く。奥さんも同じことを言っている。そんな今朝、新聞を読んでいると「秋バテを防ぐ」という暮らしの情報が掲載されていた。

 「夏バテ」とは、高温多湿の環境が原因で、体の働きが正常に機能しなくなって起こる体調不良をいう。では馴染みのない「秋バテ」とは何か。 

 原因としては夏の間の冷房や冷たい物の取りすぎにより自律神経が乱れているところに、朝夕と日中の寒暖差や長雨などの低気圧の影響が加わることで起きてくるという。疲れやすくだるい・食欲がなく胃がもたれる・よく眠れない・頭痛や肩こりがするなどがあるという。

 対策としては、自律神経の乱れを整えることと、血の巡りをよくすること。そのためには次のようなことを行えばよい。

 1. 38〜40度のやや温めの湯船につかることで、副交感神経が優位になる。また30分程度の散歩など軽めの運動を毎日続ける。
 2. 適切な服装によって温度差の管理をすることや、冷たいものを控えて暖かいものをとる。
 3. 栄養バランスを心掛け、不足しやすいたんぱく質やビタミンB1・ミネラルは意識して摂る。 
 4. しょうがやしそなどの香味野菜や、カレー粉などの香辛料を活用して食欲増進! 冷えたからだをあたためる効果も期待される。
 5. 睡眠をしっかりとる。

 秋バテを放っておくと、活動量も減っていくので年齢バテを促進する。年齢バテとは、虚弱のことである。 特に高齢者は虚弱にならないように体づくりを心掛ける必要があると、結んでいる。

 夏になれば「夏バテ」が、夏が終わったと思えば今度は「秋バテ」がやって来る。何とかうまく対応して「秋バテ」を乗り越えたいと思うが、新たに「冬バテ」なんぞというものが出てこないのか心配している。これじゃあ、年から年中「〇〇バテ」で、高齢者は気を抜く暇はないが、ひょっとするとこの緊張感が「〇〇バテ」対策にいいのかもしれない。

 

 


群遊アサギマダラ

2019年10月22日 | 季節・自然・植物

 この時期、気温の低下と共に適温の生活地を求めて南方へ移動を開始し、遠く九州や沖縄、さらに八重山諸島や台湾にまで海を越えて飛んでいく、アサギマダラという旅するチョウがいることは知っているが、この眼でしかと見たことはない。

 そんな珍しいチョウが、岩国市の二鹿の休耕田に、地区の人たちが昨年植栽したフジバカマの花畑で群遊しているという記事を新聞で読み、出かけてみた。

 我が家から25km、標高300mのところにある二鹿野外活動センターの直ぐ近くにフジバカマの花畑があった。近づいてみると、数十株のフジバカマの花に、アサギマダラが総数で何匹いただろうか。200匹、いやその倍の400匹もいたのではなかろうか。

 羽を広げると10cm前 後、黒と褐色の模様と、ステンドグラスを思わせる透けるような薄い浅葱(あさぎ)色のまだら紋様の羽がなんとも言えず美しい。ちょうどお昼時だったので、どの角度から撮ってもいい写真が撮れるはずなのに、花に止まり羽を広げた一瞬がなかなか撮れない。

 連写をしても納得がいくものが撮れない内に、あいにく電池が切れてしまった。肝心な時に「しまったしまった、島倉千代子であった」。

 こんな近くで、こんなに群遊しているのを見ることが出来た。まさにアサギマダラの乱舞。午前中の方が蜜を吸いによく来るという。この機会に、皆さんもぜひお出かけになって見られたら如何でしょうか。おすすめいたします。

 


ここまで来た少子化

2019年10月21日 | 生活・ニュース

 いつものように夕方5時に奥さんと散歩に出た。家から1㎞先にある中学校まで行ったところで折り返す。帰り道、1人の女子中学生が後ろについて下校していることに気がついた。

 1人で散歩しているときには、中学生でも小学生でも女の子に話しかけることはしない。奥さんと一緒だったので話しかけてみた。

 「何年生?」「1年です」。「私は同じ中学校の第1期の卒業生なんですよ。もう60年以上も前の話だけどね」というと、顔を緩めて笑顔になった。「今、1学年の生徒数は何人?」「130人です」。「何クラスあるの?」「4クラスです」。「じゃあ、1クラスは30数人だね。先生の目が行き届いていいね」というと笑ってうなずく。

 私の時代には、1学年の生徒数は200人余り、クラスの数は同じく4クラス、1クラスには50人余りが机を並べていた。調べてみると、私が生まれた頃の1年間の出生数は270万人であったものが、10年前は100万人と4割弱になり、現在では92万人になっている。

 この中学校の生徒数の減少率は65%で、出生数の減少率ほどではないが、大きく落ち込んでいることに驚いた。

 少子化の原因としては、デフレが慢性化する中で、収入が低く、雇用が不安定な男性の未婚率が高いほか、非正規雇用や育児休業が利用できない職場で働く女性の未婚率が高いなど、経済的基盤、雇用・キャリアの将来の見通しの不安定なことなどがあげられている。

 気がつけば、100戸余りある裏の団地から小中学校に通う子供は3、4人しかいない。田舎の小中学校は、少子化に伴って統合されて廃校となったところも多い。昔はいたるところに子供がいたものを。子供の声が聞こえない町は静かというよりは、淋しすぎる。

 動物を見るためには動物園に行かなければいけない。子供の顔を見るためには幼稚園や学校に行かなければいけないような世の中になってしまっている。散歩の帰り道、女子中学生の話を聞きながら、少子化の厳しい現状を改めて認識した。

 

 


階段に手摺り

2019年10月19日 | 木工・細工・DIY

 現役時代、工場勤務をしていたとき「安全第一」のスローガンのもと、全社員に対して保安の確保を徹底するように教育されていた。たとえ事務所の中で勤務している者でも階段で転倒したり、踏み外して足を捻挫したりしないよう、階段を上り下りするときには必ず手摺を持つよう指導された。

 その頃身についた習慣のお陰で、家の階段を上り下りするときには、自然と手摺を持つので階段で転倒などしたことはなく、日々安全に過ごすことが出来ている。

 先日、腐食したウッドデッキを取り払ったあと、家の床面から90cm下の地面に降りるために3段の階段を手作りした。その階段を下りるために部屋のドアを開けて1歩を踏み出そうとするが、手摺りがないため身体が安定せず危ないことに気がついた。

 やはり階段には手摺りが必要だと判断し、ウッドデッキの廃材を加工して手摺りを取り付けることにした。体重を預けても大丈夫なようにしっかりと固定した。

 作り終えて、数回上り下りをしてみる。手摺りがない時には身体が少しふらつくような気がしたが、これがあると安定する。当たり前のことであるが、階段には手摺りが必須条件であることを改めて認識した。

 寄る年波のせいだろうか、最近は、ちょっとしたことで体がふらつくようなことがある。少しの段差でつまずくようなことも時にある。そんなこともあって散歩のときには、手摺りの代わりに登山用のストックを持ち出して歩いている。散歩には「転ばぬ先の杖」、階段には「転ばぬ先の手摺り」である。