写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

サファリハット

2013年07月31日 | 生活・ニュース

 「お父さんは、帽子が似合わないわよねぇ」。どんな帽子をかぶってみても、奥さんからいつも言われる言葉であるが、私自身、似合う似合わないにかかわらず帽子をよくかぶる。

 持っているものの中で一番なじんでいるものはキャップで10個以上も持っている。庭仕事用には昔ながらの麦わら帽子。軽くてつばが広く通気性もあって夏の強い日差しを避けるにはこれ以上のものはないが、ちょっとした外出時にかぶるのははばかれる。

 先月、東京スカイツリー見物に出かけた際、あまりの暑さを避けるため仲見世で安い帽子を買った。白い中折れ帽子である。網目状に作られていて涼しく、旅行中大変重宝した。これをかぶった記念写真を見ると、どこかヤシっぽいというか、きざっぽくも見えるところは否めなく、顔見知りの多い地元でこれをかぶって出歩くには少し勇気がいりそうである。

 夏場、自転車に乗ってちょっと出かける時などにかぶるのに、いい日除け帽子はないものかとネットで調べていると、いいものを見つけた。「サファリハット」である。やや厚めの木綿布製で、つばが広くあご紐のついた帽子である。

 海、山、川、場所やスタイルを選ばず活躍する機能性とデザイン性を両立させた帽子で、つばに取り付けてあるボタンをパチッと留めるだけで、カウボーイ風のテンガロンハットにも早変わりすると説明してある。よしっ、これにしよう。多くのメーカーが色々な色・デザインのものを売り出している。これだというものを選んで注文したものが届いた。

 濃いグレイ。大きさも思っていた通りぴったり。かぶって鏡を見ると、今にもサファリへライオン狩りか地底探検にでも出かけるような出で立ちに見える。自転車にまたがると、とても図書館に出かけるようには見えないが、早速今日はこれをかぶって図書館へ本をカリに出かけてみよう。


置き忘れ対策

2013年07月29日 | 生活・ニュース

 今まで旅行に出かけたり、食事に出かけたり、高速道路のSAに立ち寄ったり、吉香公園に散歩に出かけたりした折、手に持って歩いていたセカンドバッグやデジカメやサングラスなどを置き忘れたことが何度かあった。直ぐに気が付いて引き返したり、店に電話をしたり、警察に届けたりで無事に取り戻すことができて高価なものを失くしたようなことはない。

 こんなことは50歳を越してから時に起きるようになったが、ここ10年、徐々に増えてきたと自覚している。店で食事をして席を立つときには、必ず奥さんから「バッグを忘れないでね」と声がかかる。前科が何度もあるので反抗のしようがない。

 そんな中、先日広島に出かけたとき、東急ハンズに行ってみた。買うものは何もなくとも、この店は興味を引くものがいろいろあって、いつも1~2時間を費やしてしまう。このたび旅行グッズの売り場で、つい買ってみたくなるようなものを見つけた。「離れるとアラーム」という商品である。「置き忘れ防止、盗難防止、迷い子防止に! 3~12m離れるとアラーム音とバイブで知らせます」と表示してある。

 説明書を読んでみた。小型の受信機を本人が持ち、子機は所持品に取り付けておく。所持品との距離が離れると受信機のアラームが鳴るという装置だ。なるほど、私のように物忘れする人は世の中大勢いるのだろう。こんな便利なものが2000円くらいの商品として売り出されている。

 商品が入ったケースを手に持って説明文を読んだり商品の形を眺めたりと、買おうか買うまいかとしばらく考えてみたが、結局は買わずに店を出た。「置き忘れしないために、こんなものに頼るようではいけない。まだまだ自分の注意力で乗り越えなければ」との自尊心というか、まだ若いというなけなしの自信からである。

 いつか大事なものを置き忘れるようになった日には、買い求めることにしよう。いや、そんな目的のためにではなく、ひょっとすると「迷い子防止」の目的で、奥さんから子機を持たされるようなことがあるかもしれない。そんなときには、10mくらいではなく100km離れるとアラームが鳴るくらいの装置にして欲しいと思うがどうだろう。


ながーい友達

2013年07月18日 | 車・ペット

 つい先日のことである。夕方車を運転して家のガレージにバックで入れた。足をブレーキから離したとき、ブレーキランプが点きっぱなしになっていることに気がついた。3年前には、これとは逆で、走行中にブレーキランプを踏んでも一向に点かないという不具合があった。

 その時には「ブレーキのリミットスイッチが壊れているので取り替えましょう」と修理屋のメカニックの言うままに取り換えて問題なく走って来た。それから3年しか経っていないのに、このありさまである。ブレーキランプは点かなくても点きっぱなしでも、後続車に対して判断を誤らせるので危ない。

 仕方なしにまた修理屋に持ち込んだ。「今度もリミットスイッチの故障ですね。取り寄せて取り替えましょう」と、悪びれた様子もなくシラーという。ここは運が悪かったと諦めるしかない。嫌味を言うこともなく修理を頼み、古い軽の代車を借りて帰った。

 その日から5日間、乳母車の大きさくらいの軽に乗って近場を走って用事をすませたが、見かけによらずよく走る。何よりも小さいのがいい。狭い道もなんのその、離合もすいすい、駐車もちょこっとの隙間で十分だ。「これからは軽がいいなあ」と奥さんと話しながら何度も乗って回った。

 「万一事故にあったようなときには、もう少し大きい車の方がやっぱり安全だから」など言いながらも、この小回りのきく車は年配者にとっては大きな魅力に思えた。安全性と運転のし易さのせめぎ合いになるが、大きな事故を起こすような走り方をしない自信があれば軽もいいかもしれないと、買い替えのことが話題に上がる。

 それにしても私の車は昨年来、いろいろと故障が続いている。契約している保険会社から、故障車の運搬というロードサービスをこの1年間で2回も受けた。「保険料の元が取れてよかった」と喜ぶようなことではなく、19年間乗り続けてきたこの車に、そろそろ引導を渡す時期が来たのかなとも思い始めている。

 「修理代がかさみ始めたので、もうこの車に乗るのは止めましょう」と、車を修理に出すたびに奥さんに責められているが、「手のかかるやつほどかわいい」の例えがあるように、長年乗って来て私の喜びも悲しみも知り尽くしているこの車を、「故障が多くなった。はいさようなら」と言える心境に、私はまだなっていない。 


デッキシューズ

2013年07月17日 | 季節・自然・植物

 暑い夏の履物といえばまずサンダルを思い浮かべるが、ちょっとおしゃれを意識した時の履物としてデッキシューズがある。昨年、夏真っ盛りになってから買いに出かけたが、売れ残ったものばかりで気に入ったものがなく買い求めることもなく夏を送った。

 さて今年、梅雨が明ける前から探していたとき、友人が遊びに来てくれた。脱いだ靴を見るとネイビーブルーのデッキシューズであった。早速この靴の談義となった。隣町のショッピングモールで買ったという。背の高い友人が帰りがけに履いた姿を見ると、上着のシャツともよく合ったおしゃれな格好にみえた。

 翌日、私もデッキシューズ探しに出かけてみた。インターネットではいろいろなメーカーが、これ又いろいろなデザインや色のものを出しているが、靴は履いてみなければぴったり合うかどうかが分からないので、やっぱり靴屋に出かけるしかない。

 ところが私の足には難しい問題がある。サイズが24.5cmとやや小さめであるため、どの店にも在庫がない。25cmや26cmであれば置いてある。一般の靴であれば、小さなサイズのものも置いてあるが、デッキシューズだけは24.5cmというサイズのものがない。

 広島まで出かけてやっと見つけることが出来た。色はネイビーブルーで白い革のひもがついている。買って帰り、じっくりと観察しながら、そもそもデッキシューズとは何なのか、ちょっと調べてみた。

 「船の甲板で使用するために考えられたシューズ。水に濡れた甲板でも滑らないように滑りり止めの模様をつけた、柔らかいゴム底になっている
。履きこみ口から甲に回して結ぶひもは、水に入った際に脱げにくくするためで、革製でスリッポンタイプのひも付きが一般的」とある。

 改めて買ってきたものを眺めてみると、書いてある通りの形をしているが、実用にはならない形ばかりのものがあった。「履きこみ口から甲に回して結ぶひも」が単なる飾りとなっていて、締めることのできる構造にはなっていない。まあ、ヨットに乗るためではなく、陸歩きのおしゃれアイテムなのだからこれでいいということだろう。暑い夏の外出時、素足にこれを履いて歩けば、心が少しは涼しくなりそうだ。


海の日

2013年07月16日 | 季節・自然・植物

 7月15日は「海の日」。光市の室積海岸にある「県スポーツ交流村」でマリンスポーツ・フェスティバルがあり、「ヨット開放試乗会」が開催されることを聞いていた。素人でもスタッフと共に乗り込んで小型のヨットでセーリングを体験できるという。何日も前から、着るものや持って行くものを準備して楽しみにしていた。

 当日、奥さんと行ってみると、前日の準備中、高校生が負傷するという事故が起きたため、海上でのすべての行事が中止されることになっていた。楽しみにしていた行事ではあるがいた仕方ない。引き返そうとしていると、主催者が出店している食べ物の販売などは実施するという。販売といいながら、お詫びの意を込めて「無料」でくれるという。

 焼きそば、それにフランクフルトソーセージ、たこやき、ペットボトル飲料水にポテトフライ、頂けるものはすべて素直に頂いた。
時計を見るとまだ10時。家に帰るにはもったいないよい天気だ。海沿いの国道を少し西に走ると「日本の渚百選」「海水浴場百選」の選定を受けている西日本屈指の「虹が浜海水浴場」がある。

 
久しぶりに海水浴をしてみることにした。松林の中にある「海の家」のマス席を借りて水着に着替えたが、その前にまずは腹ごしらえだ。もらったばかりの焼きそばを腹に収め海に向かった。膝まで浸けてみる。少し冷たいが、周りではみんな楽しそうに泳いでいる。

 一歩一歩沖に出てみた。腰まで浸かったところで一時停止する。その位置で、胸のあたりを手で濡らして徐々に馴らす。肩も濡らした。「よし、もうよかろう」、思いきって全身を沈め泳いでみた。寒くはないが、波があって思ったほどうまくは泳げない。

 子供のころから泳ぐ機会はあまりなかった。泳ぐといえば、山の上にある堰堤か小川をせき止めた小さなプールのようなところだった。そんなこともあって、海で泳ぐ時はいつも沖に向かってではなく砂浜に沿って泳ぐ。背の丈以上の深みには決して行かない。子供の水遊びのような海水浴は、ものの10分で終えた。

 海の家で休んでいると、松林を通り抜ける風はエアコンの風より遥かに爽やかで気持ちよい。横になって休んでいると、つい居眠りをしてしまった。山の中だけでなく、暑いと思っていた海辺にもこんな避暑地があることを初めて知った。