写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

節穴写真

2004年12月11日 | 生活・ニュース
 親父が結婚するときに建てた家だった。手洗いに通じる北側の長い廊下に、木製の雨戸が建て付けてあった。

 それを開けることはあまりなく、閉まっていることの方が多かった。昼なお暗い廊下だった。

 幼いある日、雨戸の向かい側の障子に、外の景色が逆さまにはっきりと、襖絵のように広がって写し出されているのを見つけた。

 雨戸を見ると、上の方に抜け落ちた小さな節穴がひとつあり、そこから一筋の光が差し込んでいた。

 子供心に不思議に思い、台に上がってその節穴から外を覗いて見たが、何ら細工はされていなかった。

 あとになって理解できたが、まさに家型の針穴ならぬ「節穴写真」であった。

 機密性の良い今の家では、そんなメルヘンチックなものを見ることはもう出来ない。節穴のような目でなくても・・・
   (写真は、単なる木の節ふたつ)

柿木間欠泉

2004年12月11日 | 旅・スポット・行事
 岩国から国道187号線を60数km入った所に、島根県柿木村がある。津和野の隣村で、昔は宿場町だったと言う。そこに2軒の温泉がある。

 柿木温泉「はとの湯荘」と木部谷温泉「松乃湯」である。鉄分豊富な透明な単純泉であるが、湯は空気に触れて濃い茶褐色に変色する。

 松乃湯の泉源は、宿の裏山にある間欠泉で、25分毎に5分間、炭酸ガスの圧力により大量の湯が噴出してくる。噴出高さは、2.5mくらいだ。

 こんな所に間欠泉があるなんて全く知らなかった。お湯は、私のような肌でもすべすべにしてくれる。いはむや美人をやである。

 入湯料も安いし、「簡潔に言えば金欠者にやさしい間欠泉」だった。
   (写真は、噴出中の間欠泉)