「今日の予定は何ですか?」と朝のテレビニュースを見終わったとき、奥さんが聞いてきた。「別に、特に予定はない」というと、「それなら、今日は久しぶりにシフォンケーキを作ってみるわ」と言って、器具類を取り出して準備を始める。
間もなくすると、ガラガラガラと器械で何かを混ぜている音がし始めた。その時「あら、動かなくなった」と言う。20年前に買った電動のミキサーが、卵白の泡立てをしている最中に何かの拍子に急に動かなくなったようである。
仕方なく手でかき混ぜて何とか泡立てを終えている。その間、私はというと、すぐさまドライバーを取り出してケーシングを開けて、修理に取りかかる。
何段階にも回転数を変更できるようになっているため、内部にはいろいろな電子部品が組み込まれている。さてどうするか。現役時代に習った問題が起きた時の解決手法を思い出す。
まずは①現状を分析し問題の認識。②原因の調査・究明。③対策の立案・実行。④結果の評価。以上を実施する。
①問題は、ミキサーが動かないこと。②原因は何か。これを見つけるのが難しい。電気製品が動かなくなった時の第一歩は、コンセントにきちんと繫がっているか、スイッチが入っているかの確認が第一である。次は、配線のどこかが切れていないかを、アンペアメーターで調べているとき、ふと見たスイッチ部の細い配線のハンダが外れているのを見つけた。原因は直ぐに突き止めることが出来た。
③対策は、ハンダ付けをして復旧する。④結果は、電源を入れると快調に回転することを確認して、問題は解決しミキサーは蘇った。
奥さんから「買い替えれば4000円くらいはするのに、お父さんのおかげで助かったわ」と言われ「半分の2000円をくれないか」には即刻拒否された。ご褒美に、午後のティータイムには奥さん手作りの、シフォンケーキを食べさせてもらえることになっている。私の苦労の代償はこの程度のものである。