写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

ブレーキランプ

2010年08月26日 | 車・ペット
 車を運転していると、ブレーキランプの片方が点かない車の後につくことがよくある。私は車に関してはかなりの知識を持っている方だと思っているし、自分の車の整備はきちんとやってきたと思っている。
 そんなことからか、前を走っている車のランプが切れているような時には、何とかしてそれを教えてあげたい気持ちになる。運よく赤信号で並んでとまったような時には、窓を開けて教えてあげたりすることもある。
 ブレーキランプは、ヘッドライトと違って切れていることに気が付きにくい。他人から教えられることの方が多いかもしれない。最近の高級車では、切れた場合にはアラームがでるものもあるが、多くの大衆車にはこんな物は付いていない。
 おせっかいなようだが、今までに何回もブレーキランプの切れた車に対して、切れていることを伝えてあげてきた。
 ところがこの盆休み、帰省してきた息子家族を連れて2台の車に分乗して山奥へ水遊びに出かけた。目的地までの道案内は私が先導した。着いた時「お父さんの車はブレーキランプが両方とも点かなくて危ないよ」と口をとがらせる。「そんな~」と言いたいが現実はそうなっている。
 車のメンテナンスにはいつも気を配っており自信を持っていたが、自らの車のブレーキランプが片方だけではなく、両方ともが点かないことを指摘された。「おっかしいな…」と思うとともに、納得できない。何時からこうなったのかも分からない。
 車屋に持って行って調べてもらうと、ブレーキペダルの所にあるスイッチの故障だと分かリ、部品の取り換えで修理は完了した。
 教訓。「他人の振り見てわが振り直せ」。自分のことは棚に置き、今まで人の振りばかり指摘してきた。車のこと以外でもこうであったかもしれない。今となってはもう遅いが、今からでも改めて生きて行けと、ブレーキランプからレッドカードを出された。
(写真は、交通安全に必須の「ブレーキランプ」) 

強がり

2010年08月25日 | 生活・ニュース
 朝早くから奥さんは定期健診のため広島に出かけていった。新聞を読み終えたころ、腹が減ってきた。冷蔵庫を開けてみるが、食パンのひとかけらもない。遠くまで買いに出かける気にもならないとき、目の前にある病院に売店があることを思い出した。
 小銭を持って売店に向かった。小さなガラスケースの中に弁当やサンドイッチが並べてある。小さくカットした3種類のサンドイッチが詰めてあるものを取り出しレジのおばさんの前に出した。そのとき「はい、230円です。……あのう、そのシャツ、裏返しになっていませんか?」というではないか。
 見ると、半パンの上に着ているシャツの右裾で、商品タグがひらひらしている。裏返しに着ていることは直ぐに理解できた。「目は見えなくなっているし、その上商品の品質も良くなっていて、表と裏の区別が難しいですね」と、笑って弁解しながら店を出た。
 家に帰り早速着直したが、メガネをかけてみてもこのシャツの縫い目は表と裏の区別が難しい。よほどじっくり見ないと、それとは分からない。それにしても、うかつといえば迂闊であった。
 夕方、帰って来た奥さんに話すと「よく見て着なきゃぁ」と小馬鹿にされるが、奥さんにも若干の反省があるとか。「洗濯ものをたたむとき、分かってはいたが裏返しのままたたんだの」と告白する。
 そう言われれば、その原因は私にある。四十肩で左腕が後ろに回らないため、シャツを脱ぐとき右手1本でシャツの背中側を持ってくるりと脱いでいる。脱いだシャツは見事に裏返しとなったまま洗濯機に入る。この結果が、裏返しのままたたんで引き出しに入っていることになっていた。
 まあ、家の周りをうろついているだけなら、シャツを裏で着ていようが表で着ていようが関係ない。見た目もよほどの人でないと気がつかないほどきれいな仕上げである。高級品で、わざと表に出る縫い目を裏のように見せかけるものもあるではないか。
 こんど指摘された時には「いえ、これが表です」と言い張ってみるか。それにしては、ひらひらする商品タグがちょっと邪魔かな。
(写真は、表に出ていた「商品タグ」)

朝日新聞掲載

2010年08月22日 | 岩国検定
 8月21日の朝日新聞に、岩国検定の記事が掲載されました。実行委員会の意思が大変うまく表現されたいい記事でした。ご一読ください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
   「岩国検定」市民手作り テーマは幅広くこだわりの50問 11月の開催向け準備

 錦帯橋やシロヘビ、小説家の宇野干代など、岩国市の歴史や自然、文化にまつわる知識を競う「第1回岩国検定」の準備を、市民の有志が進めている。「ご当地検定」はここ数年、自治体や商工団体が主催することが多いが、市民の手による「手作り検定」は全国的にも珍しい。実行委員会は「市民目線の特徴的な問題ができあがった」と胸を張る。受験資格はもちろん、「岩国を愛する人ならどなたでも」(上遠野郷)
 検定の準備を進めているのは、エッセー同好会「岩国エッセイサロン」のメンバーが中心。「岩国でも検定をつくりたい」と話題になったのをきっかけに、市内の40~70代の12人で今年1月に「岩国検定実行委員会」を結成し、準備を進めている。
 検定は4択式で50問。すべて実行委のメンバーたちの手で作り上げた。歴史だけでなく自然や文化、人物など幅広いテーマを題材にし、市町村合併で広がった旧町村部についての問題も盛り込んでいるという。
 「知識試しにとどまらず、受検するだけで勉強になるようにしたい」と、問題文にもこだわった。例えば、錦帯橋に関する問題では、「錦帯橋は第3代岩国藩主が、甲斐の猿橋や、中国・西湖の橋をヒントに1673年にわずか3ヵ月間で創建したが、その藩主は誰か」と、問題文にも必ず複数の知識を詰め込んでいるという。
 検定委代表は「膨大な資料を集め、この半年間は寝ても覚めても問題づくり。知れば知るほど岩国が好きになった」と話す。今後も年1回の検定を継続するため、実行委のメンバーも合わせて募るという。
 100点満点で、制限時間は1時間半。80点以上は金賞、70点以上は銀賞、60点以上は銅賞として、実行委手作りの認定証を発行する。ホームペ―ジでは例題15問も公開している。
 受験日は11月28日で、会場は同市尾津町の岩国短期大学。定員は先着300人。受検料は千円(当日支払い)。
 はがきに郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号、性別を記入し、〒740・0021 岩国市室の木町3の14の7「岩国検定実行委員会事務局 検定試験係」あてに申し込む。申込期間は9月15日~10月30日(最終日消印有効)。問い合わせは同実行委(0827・21・8032)へ。
  (写真は、8月21日の「朝日新聞」)

アンバランス

2010年08月21日 | 生活・ニュース
 8月は死者の月ともいうが、過去を振り返り反戦の意を強くする月でもある。8月15日、終戦記念日、遊びに出かけていたところでサイレンに合わせて1分間の黙とうをした。
 2度と戦争なんか起こしてはならない。今を生きている誰もが一様に思うことである。では、そのために1人1人は何をすればいいのか。平和、平和と平和を唱えているだけではしょうがない。まずは、過去起きた事実を正しく認識することから始まるのだろうが、今の私は、残念ながら偏った知識しか持ち合わせていない。
 先の大戦で、戦没者数は兵士が230万人、民間人が80万人、合計310万人もが亡くなったという。沖縄をはじめ全国各地で起きた悲惨な状況や、戦争の無意味さや残酷さが、数少ない語り部によって若者に語り伝えられている。これはこれで非常に意味のある大切なことだ。
 しかし、ここで一つ疑問を感じる。それらのほとんどが、日本にいて受けた被害の状況だけを語っているのではなかろうか。この戦争で、当初は日本も勝っていた。その時に日本軍がやっていた残酷で非道な行為など、加害者側の話をする人は極めてまれである。
 戦争の無意味さ、切羽詰まったときの人間の脆さ・愚かしさ・残酷さを後世に伝えるなら、日本の受けた被害だけでなく、日本が他国に加えた害についても、きちんと伝える必要がある。
 先日、菅直人首相が韓国併合100年にあたり、お詫びの談話を発表した。100年前、日本は韓国を植民地として支配し、日本語を使うように強制したり、日本の文化を強要したり、強制労働をさせたりと、韓国の国民のプライドを心身ともに踏みにじったからだ。
 戦争体験は、とかく痛みを与えられた側の話は多く聞くが、痛みを与えた側の話は忘れやすいばかりで語られることは非常に少ない。双方、バランスのとれた語り継ぎが大切ではないだろうか。
  (写真は、8月21日の「今は平和な青空」)

深谷大橋

2010年08月20日 | 旅・スポット・行事
 盆休み、帰省して来た孫たちを連れて、寂地峡へ川遊びに出かけた。日本名水百選の寂地川、日本名滝百選の五竜の滝で遊んだ後、島根県との境界に架かる深谷大橋を回って帰ることにした。
 深谷大橋とは、「巨石、怪石で名高い深谷峡に架かる西日本一を誇る最高のアーチ橋で、高さ94m、長さ100m、真紅の橋が四季に映え、この一帯の原始林と調和して壮観です」と紹介されている。
 つづら折りの坂を上っていき、最後のカーブを曲がりきると、突然赤い橋が現れる。この橋が深谷大橋である。渡った所の広場に車を止めて降り、橋の入り口に向かった時、電話番号が書いてある看板が目に入った。
「ひとりぼっちで悩まないで 島根いのちの電話」と書いてある。橋を見ると、以前来た時とは様子が異なって見える。橋の欄干の外側に、子供の頭が入るくらいの格子目の2.5mくらいの高さの金網フェンスがびしっと設けられている。
 ということは、ここは身投げの名所なのか。橋の中央辺りから深さ94mもあるという谷をのぞくと、スーッと身体が引き込まれそうな気がする。冷気が身体を通り抜ける感じである。こんな高さから飛び降りたらひとたまりもあるまいが、そんなことをした人がいるのだろうか。
 大不況のせいで、ここ数年は1年間の自殺者は3万人を超したと報じられていた。数年前に来た時にはこんな金網は設置されていなかった。渓谷美が堪能できる深谷大橋は、不況のあおりを受けてまさに金縛りにあっている。不況とはいえ、橋も不本意なことだろう。
 (写真は、全面金網だらけの「深谷大橋と立て札」)