10月も下旬、太陽が山の端に沈むのを見ながら、5時ちょうどに散歩に出かけた。カソリックの幼稚園の所を大きく右に曲がり、往復2.5kmを丁度30分かけて帰ってくる。今のところ、これが唯一の運動となっている。
幼稚園の手前の山ぎわに昨年、小さなかわいい家が2軒並んで建った。いずれの家も、小さな子供のいる若い家族が住んでいる。ある日、そのそばを通っているときに、家の前の道で遊んでいる子供と出会った。小学1年生と3年生の男の子だ。制服の胸の名札で読み取れる。お兄ちゃんはどこかのサッカークラブに入っている。黒い縞の入った派手な赤いユニホームを着て、弟とサッカーのボールを蹴って遊んでいた。
「僕はサッカーをやっているんだね」「うん」「上手だね」「まだ選手じゃないよ」とお兄ちゃん。弟も、お兄ちゃんが蹴るボールをうまく蹴り返していた。半月も前のことだった。散歩でこの家の前に来たとき、弟が1人でコンクリートの壁に向かってボールを蹴っていた。「お兄ちゃんはいないの」「うん」「おじさんとやってみようか」「うん、いくよっ!」。
離れて向き合い、左右に小走りしながら10回くらい蹴りあった。それくらいでも、すぐに息が上がる。「よし、またやろう」「うん、ありがとう」と言って別れた。そして今日の散歩中、またその子が1人でボールを蹴っているのが、はるか手前から見えた。50mくらい近づいたところで、その子も私に気が付いたように見えた。
20mくらいまで近づいた時、ボールを私に向けて蹴ってきた。「ははーん、私とボール遊びをしたいんだな」。強い勢いでボールを蹴り返した。無言のまま、また蹴ってきた。今回も10回くらい蹴りあった。「僕は上手だな」というと、得意げな顔をする。「またやろう」と言って立ち去ろうとした時、「リフティングもできるよ」と言いながらボールを上に蹴りあげるがうまく出来ない。何度もやったとき、やっと2回続けることが出来た。「わかった、うまいよ」と言い散歩を続ける背中で「5回は出来るよ」と叫ぶ。
1年生の子供に、サッカーの練習相手としてどうやら認められたようだ。年の離れたお友達との、気分転換の出来る楽しい散歩道となった。