のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

ありがたや農なし国に日がのぼる

2008年01月22日 | 農のあれこれ
タイトル元句 「有りがたや能なし窓の日も伸る(一茶)」

今日は旧暦の12月15日。
早朝、大きな赤い月が西の空に落ちていきました。満月です。
新春まであと2週間。日も伸びてきました。
写真はタイトルやコメントとは関係ありません。
1月19日に見られた雲です。


さて、午後から
県主催の「有機農業の推進に係る説明会・意見交換会」
が柏市内で行われましたので出かけてきました。

これは、平成18年12月に成立・施行された
「有機農業の推進に関する法律」に基づいて
千葉県が推進計画を作成するに当たり、
県内10箇所で行う説明会およびタウンミーティングのひとつです。

主催者側からの呼びかけに応じた以外に
自主的に参加した人も相当数いたようで、
関係機関、農業者、有機農業実践者、消費者、NGOなど
定員40名のところ100名近い参加者がありました。
主催者側も関心の高さに驚いていました。

農業の現状と法律の説明につづいて、参加者との意見交換。

有機農業実践者Fさんからはこの有機農業推進法とJAS法との
整合について質問がありました。
手続きや費用の面でJAS法に疑問を持っているそうです。
消費者からは農政の目的は有機なのか自給なのか、
縦割り行政でいろいろな方針が示され振り回されているのは
消費者や生産者だと農政に対する根本的な不満も。
関係機関らしき参加者からは
有機農業実践者の実態や栽培技術上の情報開示が要望されました。

いっとき慣行栽培生産者?から有機だ、無農薬だというけれど
農家は食べていかねばならないし、
いっそのこと農家が農業を止めてしまえば
消費者も食料の大事さに気が付くだろうという過激な発言もでました。
主催者側もそういう生産者に配慮してか、
「有機農業を推進しなければない」ということではなく、
その環境を整えることが現状の課題という説明も。

たしかに推進法第7条に
「都道府県は推進計画を定めるよう努めなければならない」とありますが、
第4条には
「国および地方公共団体は…推進する施策を…実施する責務を有する」
とあります。
このへんの矛盾は昨年1月の
NPO民間稲作研究所の有機農業推進法に関するシンポジウム
でも
指摘されていて、
関係機関の及び腰にチェックを入れていかねばならないところのようです。

有機農業実践者Tさんからは、
食料自給率向上、国産農産物の確保のため
消費者が近くにいる千葉県ならではの「自給菜園」を
という提案がありました。まさにわが意を得たりの発言です。

すべての農業生産を有機農法でというのも現状からは飛躍した主張かも。
消費者や兼業農家は協力しながら自給用の菜園を有機農業で営む。
専業農家はできるかぎり有機農業に取り組むものの、
場合によっては慣行栽培によって足りない食料を補う。
そんな役割分担した農業生産システムの確立が
求められているのかもしれません。

今回の会合で喜ばしく思ったのは、
若い生産者たちが積極的に発言していたことです。

非農家から新規就農した若者は、
有機農業推進の前に農業振興そのものの見直しを指摘していました。
自分は有機農業がしたくて農家になろうとしたが、
多くの障害があった。
農業をやりたい人がやれる条件ができていない。
それさえできれば、もっと有機農業も広まると。

痛快、痛快。現状の農業の本質を痛烈に批判しています。
まだ数は少ないとはいえ、
将来は彼らに期待できるじゃないかと心強く感じました。
だから「ありがたや農なし国に日がのぼる」です。

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