のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

地域の農家の“かあさん”になりたい(のらやま通信233/1404)

2016年04月27日 | かしわかあさん

良いものを作っていれば、結果は後からついてくる。この気構えを持ちつつ仕事をしてきました。農家にとって良いものとはよい農作物であり、新鮮で安心な梨・米・加工品です。お客様へわが家の日常や農作物の生産の様子、栽培の各種情報を開示することがお客様の安心に結びつき、わが家の応援団になっていただき農業をこれまで続けてくることができたと思っています。ところが、農産品の加工受託という仕事をわが家の母が始めたことで、『売るコト』を意識するようになりました。
昨年、ブルーベリージャム、トマトケチャップ、にんじんとたまねぎのドレッシングを農家さんと相談しながら商品化しました。周囲が農業をやめる中、農業を続けている仲間たちの思いは同じ農業者としてわかるし、ブルーベリーもトマトもにんじんもケチャップもこだわりの農作物です。素材がいいのですから加工品も悪いはずがありません。
“かしわかあさん”としては、加工場を稼働させられる、加工の手間賃がいただける、売れ残りのリスクをとらなくてもいいというメリットがある反面、納品後商品が売れたかどうか心配でたまりませんでした。売れていないところへどう売れた?なんて聞いたら相手を怒らせてしまうかもしれません。
納品後、顔をあわせる機会があったとき恐る恐る聞いたところ、ブルーベリー農家のAさんは直売シーズンに完売。摘み取りの生のブルーベリーのお客さんに異なる商品アイテムとして提供できてよかったとのこと。トマト直売所をもっているBさんはホテルのシェフさんたちにトマトケチャップを試食してもらい褒められた、あっという間に売れたとのこと。
ところが、直売所仲間のCさんのトマトケチャップもおいしくできたのですが、しばらく売れませんでした。AさんとBさんは自前で直売所を持ち、お客様は彼女たちのブルーベリーやトマトを目的にくるので、ジャムやケチャップを手にとってもらえたようです。Cさんは道の駅直売所に出荷しています。客数は多いけれどすべてがCさんのお客様ではない…ならば、まずは店のCさんの生トマトのお客様にケッチャップの存在を知ってもらうのはどうか。『わがやの桃太郎のケチャップができました』とポップをおいたらどうだろう。ケチャップの方にも“桃太郎1キロをぎゅっと閉じ込めました”というポップをおいてみたら?』とCさんに提案しました。数日後、最初の1本が売れ、土曜日曜はあっという間に売れ切れ。その後、補充、補充で、納品分は完売しました。次回余剰のトマトができたときにまたお声がかかるかなと思っています。
食品のおいしさは食べなければわからない。食べてもらうには買ってもらわなければならない。買ってもらうためには手にとってもらわなければならない…。道の駅とともにわが家の農産加工も14年。受託加工の仕事が増える予感がします。売れ残ったらしょうがないというわけにはいかず、依頼者といかに売るかに知恵をしぼることになりそうです。“かしわかあさん”の小さな加工所で丁寧に作った仲間たちの商品は、地域のいわゆる顔のみえるお客様に支持されていければよいのだと思います。
つい最近、道の駅直売所でカレーを2箱買いました。レトルトカレーで700円。レジのパートさんが、「高いのにけっこうレジ通るのよね、どうして?」と聞いてきました。そのわけを考えました。①野田産地養鶏と完熟トマトという地域食材を使っている。②パッケエージのへたうま漫画の作者は、パッパラー河合さんという地元の芸能人。③柏の老舗カレー店監修。これが最大の理由?
農産物直売所のお客様はたぶん50代60代が中心です。昭和43年に創業した柏の老舗カレー店。カウンター形式で香辛料をあわせてルーを作る本格派だけれど高校生が気楽に入れる街のカレーショップでした。カシミールという商品が辛くて、「カシミールが食べられるか」というのが仲間内の合言葉になったほど。食べてみると意外や意外それほどでもない。でもごくんと飲み込んだあとの食道の火がついたような辛さ!高校の同窓会でもこの店が話題に上ります。
その後、いろいろな変遷があり、のれん分けではないのに同じ名のついた数店舗が柏周辺にあるようです。それだけこの店にファンがいて、店の名前がブランド化したのだと思います。道の駅でカレー店の名のついたレトルトカレーを買ったお客様の何割かはその響きとともに昔を懐かしむのでしょう。
はたして“かしわかあさん”はそんなお客様に支持される商品づくりができるでしょうか?すぎのファームフェイスブックに「かしわかあさんのシフォンケーキの大ファンです」とコメントしてくださった方がいます。小さな加工だからできることがあるはずです。菓子製造で14年。ソース類製造はやっと1年。家庭の台所を預かるのが母なら、“かしわかあさん”は地域食材を活用することで地域の農家の“かあさん”になりたいと思います。
(2014年4月)

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