のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

やっかいものみんなきにしてすみにしましょ(のらやま通信230/1401)

2016年04月27日 | 農のあれこれ

現代社会のやっかいものといえば経済的にも割に合わないゲンパツ。みんなが一生懸命気にかけて“済み(廃炉)”にしたいものですが、もうひとつのやっかいものは地球温暖化を引き起こすCO2。
 現在、地球温暖化防止のため、先進国は京都議定書に基づいてCO2の排出量上限を決めていますが、自国の排出削減努力だけで削減しきれない分について、排出枠に満たない国の排出量を取引することができます。この地球温暖化の原因とされるCO2を排出する権利を企業間や国際間で流通するときに、クレジットとして取り扱われていて、これをカーボンクレジット(炭素クレジット)といいます。排出権を売買する取引市場も開設されています。
植物はCO2を吸って、自らを成長させながら酸素に換えています。しかし、植物は腐ったり燃えたりすると、再びCO2を排出します。でも、植物を炭にしたらCO2は排出されません。ナシの剪定枝も炭素のかたまり。燃やすと灰とCO2に。チップにすれば分解するときにやはりCO2が再び空気中に。炭化して畑に還元すれば、その分、空気中のCO2は減ることになります。もしかすると、その炭素貯留分のクレジットを企業が買ってくれるかも。そうなったら廃棄する対象であった剪定枝が新たな資源になるかも…。
実際のところは、炭素貯留という観点からのバイオ炭の施用コストの回収は通常よりも大量施用を想定していることもあって、現状の国際間取引価格であるカーボンクレジット(二酸化炭素取引)価格では非常に難しいと考えられます。そこで、バイオ炭による炭素農地貯留を行った農地で栽培された農作物のブランド化によってコストの回収を行おうという取り組みがすでに京都府亀岡市で行われています。
バイオ炭の持つ多孔質な構造は、土壌の保水性や透水性、肥料保持性を高めます。また、有用微生物の生息場所となることで、植物の根圏環境を改善し、病害虫への抵抗・予防を高めます。さらにアルカリ性を持つことから酸性土壌を中和するという化学的改善にも寄与するという最適な土壌改良材。亀岡市では地球を冷やす“クール”な、野菜“ベジタブル”、略してクルベジ®としてエコブランド化しています。地域の未利用バイオマスの回収→炭化→たい肥との混合→農地施用→カーボンクレジット取引&クルベジ®販売という流れを経て、温室効果ガスの削減と農山村部へ資金還流を導くという社会実験です(食卓から地球を冷やそう 亀岡カーボンマイナスプロジェクト)。
亀岡では主に竹を炭化していますが、千葉ではナシの剪定枝の処理も困っているが、逆にそれを資源化、付加価値化できないかということで、亀岡プロジェクトに参加している大学研究室がわが家で剪定枝の炭化実験が行いました。まず①ナシ剪定枝は炭にできるのか。次に②その炭からはどれほどの炭素を取り出せるのか。①については、毎年、剪定枝を焼いていますので、個人的には実証済み。②は大学研究室にお任せ。どの程度の数値になるのか、お楽しみ。
どのように剪定枝を炭にするか。今回試したのはちょっと深い皿のように加工されたステンレス製の“無煙炭化器”。以前、県の機関が試みた炭化プロジェクトでも採用されていましたが、炎がオープンなため防火上難あり。その上、“無煙”とはいえ剪定直後の枝を焼却するため、細枝を大量に投入した際には水蒸気の白煙が立ち上がって低い評価。ところが、炭が炭素貯留になり、ローテク・ローエネで短時間に大量にできる機材ということで、再評価されての再登場。
やはり燃焼時の白煙の問題は未解決。剪定後にしばらく乾燥させて焼却(炭化)すれば、白煙はいくぶん小さくなると思いますが、さてさてうまく事業化できますかどうか。
みんな木にして炭にしましょ。

(2014年1月)

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