のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

ちばエコ認証のための現地確認

2005年07月28日 | 今年の梨づくり
 本日、ちばエコ認証のための現地確認が行われました。千葉県の「ちばエコ農業推進事業」の5つのポイントの一つで、県の職員が現場を直接チェックするというものです。作業記録と申請書類を照らし合わせて確認した後に、ナシ5圃場とイネ5圃場の合わせて10圃場を見て歩きました。本日の段階では大きな問題はなく認証をいただける予定です。

 ちばエコ認証とはいわゆる「減農薬(厳密にいえば特別栽培農作物)」を県が御墨付きしてくれるというもの。その「減農薬」というのは化学農薬の使用回数が慣行栽培の回数の半分以下であるという意味です。そのことがはたして本当に安全なのかと問われますと、いくつかの疑問が残るのは事実です。環境に優しい農業を推進するために、より客観的に判断できる基準を設けただけとも言えます。
 たとえば慣行農薬使用回数が2の作物があったとします。初期成育中に1回だけ農薬を使った場合と、成育中は農薬を使わず、収穫間近になって農薬を1回使った場合、どちらも農薬使用回数は1回で、特別栽培農作物の農薬に関する基準はクリアするはずです。しかし、たとえ使用条件に沿って使って農薬残留基準を下回っていても、初期に使った場合と収穫期に使った場合では、後者の方が残留農薬の絶対量はあるはずです。使用回数だけの判断基準ではこの差は評価できません。

 今年のわが家のナシの使用農薬は特別栽培農作物の認証基準を下回る予定です。しかし、シンクイムシ対策として前日使用可のロディという殺虫剤を収穫中に使用します。シンクイムシ対策としてはフェロモン剤が開発されていて、ある程度の効果があるといわれています。フェロモン剤を使いこなせれば収穫期の殺虫剤は必要ないはずですが、どうしても防除の確実な化学農薬の出番となるのが現実です。以前、収穫期の農薬を止めた時に被害が増大して痛い目に会ってからは、特に遅い品種には不可欠だという判断をしています。これで本当に安全なのと問われれば、「農薬使用基準を厳守しているので、安全だと思います」という以外に返す言葉がありません。

 減農薬と残留農薬の問題はちばエコ認証制度の検討段階から気にはなっていたのですが、たまたま先日送られてきた「農薬ネットメールマガジン91」050727でも問題提起されていました。管理人のtatekiさんの許可を得て、転載します。

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--------以下、農薬メルマガno.91より転載------

●「減農薬」とはなにか?ということを多角的に見ると、いくつかの切り口が
見えてきます。しかし、消費者の皆さんにとっての興味は「減農薬」は農薬の
使用量がどれぐらい減っているのか、そして残留農薬は減っているのか、
最終的には健康に良いのかどうか?ということになるでしょう。

●まずは「減農薬」を定義しときます。法令的には平成16年4月以降
「減農薬」などと表示して作物を販売することが禁止され、すべて「特別栽培
農作物」という表示に統一されています。これ以外の表示は全て違法です。
 そして特別栽培農作物になるためには、慣行栽培(普通の栽培のことを指し
ます)の5割以下の農薬使用でなければなりません。一般的にこの5割以下を
減農薬といいます(表示は出来ませんけど)。
 
●次に「なにが5割以下なの?」という点と「慣行栽培」とはなんぞや?って
いう2点を説明します。

 5割以下というのは「使用回数」を指します。使用回数というのは散布回数
じゃなくて使用した農薬の種類の数を指します、、、ややこしくてすいません。
つまり2種類の農薬を混ぜてまいたり、最初から2種類混ざっている農薬(混剤
といいます)を使った場合は2回とカウントします。
 

次に慣行栽培の農薬使用回数は地方公共団体(都道府県)が決めることになって
います。
http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/chem_hiryo_kijun.htm に
掲載されていますよ。慣行栽培の使用回数は県や地区によって異なります。
例えばキャベツでしたら12~25回ぐらいまで県によって様々です。12回の
地区なら慣行栽培でも25回の地区の減農薬レベルです。矛盾含みといえるかと
思います。

~~~~~~~~~

●では、具体的に農薬の使用回数が多いリンゴで考えてみましょう。
慣行栽培のでは青森は36回、おとなりの岩手は41回となっています。
この半分の回数なら減農薬ということになります。農薬がどれぐらい使われて
いるかは防除暦というものを見れば見当がつきます。
 
●減農薬の防除暦を見ると使用回数が半分以下です。インチキはないですね。
しかし、よく見ると冬~初夏にかけての農薬散布は減っていますが、収穫直前
(りんごなら8~9月)の農薬散布はそんなにかわらようにみえます。
 実がなってからは病虫害が実につくのを防ぐ必要があるからそうしてるわけ
ですね。りんごに限らずどんな作物にも当てはまる図式です。
 
●残留農薬という観点で見れば、収穫直前にまかれた農薬が一番重要です。
データは見たことありませんが、残留農薬のほとんど全てが最後にまかれた
農薬に起因すると思われます。ですから、減農薬栽培といっても減残留農薬を
指すわけではないことがわかります。実際、分析してみても慣行栽培と減農薬
栽培では残留農薬が検出される割合はあまり変わらないことがわかっています。

●減農薬栽培では栽培前半の病害虫の予防を省略することがあり、最後の方に
かえって多くの農薬がいることさえあります。また、回数を減らすために
残効の長い(=残留しやすい)農薬を使おうとする気持ちが働きます。
そうなると減農薬栽培の方が残留農薬が多いという逆現象も起こりえます。
もちろん減農薬の手法も様々ですから、そうじゃない例も多々あります。
 
●多くの消費者は農薬をご飯のふりかけみたいなイメージで見ていて、たくさん
まけばたくさん残留すると思っているようですがそれは大間違い。
減農薬=減残留農薬ではないということを覚えておいてください。

--------以上、農薬メルマガno.91より転載------