信州自由人

のぐケーンのぶろぐ

岩に宿る緑の冬模様

2015年01月10日 | 山野草

朱塗り柱の布引観音堂と雪化粧した浅間山系、絶景スポットです。
布引渓谷は豪快な断崖絶壁、その岩肌には様々な植物が根付いています。


観音堂の裏山では、イワヒバやイワオモダカが葉を丸めて寒さをしのいでいます。
イワオモダカは常緑性の着生シダで、ほこ型の葉がオモダカに似ています。
各地で個体数の減少が心配されていますが、ここは観音様と自然に守られています。
左下の株は、目の高さで見ることができる秘密の場所に最近芽生えた個体です。


日陰の石垣にノキシノブが生えていました。
ノキシノブはイワオモダカと同じくウラボシ科に属する常緑性の着生シダです。
名の由来は、家の軒先に生育し、土が無くても堪え忍ぶということだそうです。
仲間との見分けは、葉の出方、胞子嚢群、葉身先端の形、葉柄の長さと色とのこと。


観音堂を見上げる岩は、ジャゴケとユキノシタに覆われています。
ジャゴケはゼニゴケによく似ていますが、ゼニゴケ目ジャゴケ科に属するコケ類です。


ジャゴケは、葉状体の表面に多角形の鱗を並べたような網状の模様が特徴です。
模様の中心にある灰色の点は気室と呼ばれ、似た仲間との区別の目安になります。


今日のお目当て、オシャグジデンダに出会いました。
本種もウラボシ科、秋に葉を出し冬緑性で夏に落葉する着生シダです。
覚えにくい名前ですが、発見地が社貢寺(しゃぐじ)という寺、テンダはシダの古名です。
葉は20cm程で、柄は細く鱗片はほとんど見られなく、葉裏には長毛があります。


最も分かり易い特徴は、乾燥時に葉の軸がくるりと巻いてゼンマイ状になることです。
乾燥と冬の寒さから身を守る智恵でしょうが、可愛さいっぱいです。
遠目にも丸まった葉は探しやすく、本種の存在を知ることができます。


この巻きが見たくて冬の布引渓谷を訪れます。
右下は胞子嚢群、葉の裏に中肋(真ん中の筋)と羽(葉片)の縁との中間に並びます。


仁王門前の石垣にオシャクジデンダを見つけ、カメラを向けました。
すると、どこからともなく、お猫様がおいでになり、なにやら話しかけてきます。


その後は、お猫様ペース、①から⑤を繰り返され、今日の植物観察は打ち上げです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 清酒から清水へ | トップ | 葉痕の存在感 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

山野草」カテゴリの最新記事