| 煙か土か食い物 (講談社文庫)舞城 王太郎講談社 |
2001年デビューの作家。
舞城王太郎氏。
このミステリー作品「煙か土か食い物」でデビュー。
いきなりメフィスト賞を受賞した。
その後純文学も書くようになり、2003年には「阿修羅ガール」という作品で三島由紀夫賞を受賞している。
文学というのは要するに「世界のとらえ方」だ。
読書というのは要するに「他人の世界のとらえ方を知る」作業だ。
人はこの世に生まれ、いろいろなものを目にし、実体験し、悩み、考え、死ぬまで生きていくわけだけど、人生とはすなわち、どこまで行っても「自分の尺度」から逃れられず、「自分の尺度」で周囲のものをとらえていく作業を意味する。
自分の中にないものは理解できないし、だから自分が理解できるように、事象を自分の都合良くねじ曲げがちだ。
だから、人の成長とは、主観も客観も含め「自分の尺度」をいかに幅広くできるかを指す。
テレビを見たり、
映画を観たり、
音楽を聴いたり、
仕事をしたり、
酒を飲んだり、
恋をしたり、
それらからも「他人の世界のとらえ方を知る」ことは出来る。
だけど、読書の情報量には到底かなわない。
本には「他人が考えていること」が文字情報でたっぷり詰まっているからだ。
見知らぬ赤の他人の考え方、生き方をこれほど濃厚に疑似体験できるものは他にない。
それが読書。
そして様々な他人の「世界のとらえ方」に触れられるのが、文学だ。
僕はこの舞城王太郎氏の小説を今回初めて読んだけど、彼の「世界のとらえ方」があまり好きではない。
好きではないが、そんなとらえ方もあるのか、と勉強になった。
ただ、
僕はもう少し優しいし、
他人に甘いし、
その分他人に冷たいし、
人に期待と希望を持っている。
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