そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない



ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番・第3番
ラフマニノフ(セルゲイ), フィラデルフィア管弦楽団, ラフマニノフ, ストコフスキー(レオポルド), オーマンディ(ユージン)
BMG JAPAN


最近、ラフマニノフがマイブームなのだ。

とくに気に入って聴いているのが、ピアノ協奏曲の3番だ。
第1楽章がたまらない。
アシュケナージ、アルゲリッチ、ホロヴィッツ、ヘルフゴットなど、有名ピアニストたちの演奏を聴き比べて楽しんでいた。
もちろん協奏曲なので、指揮者の腕に左右される部分もあるし、録音された年代によって演奏は違ってくる。
それでも、聴き比べるとなんとなくピアニストの個性が分かる。

さすがにそつがなく逆につまらないアシュケナージ。
天才ゆえの完璧さでオーケストラを引っ張るホロヴィッツ。
女性ならではの繊細さというよりヒステリックさを感じるアルゲリッチ。
巧くはないけど魂の叫びを感じるヘルフゴット。

僕的には、ヘルフゴットの演奏が気に入っていた。
第1楽章8分経過したあたりの激しいピアノ連打。
ここに一番魂の叫びを感じたのはヘルフゴットの演奏だった。
ちなみにホロヴィッツの場合、なぜか冒頭からスローペースでオーケストラを引きずっていくせいで、この連打がずいぶん遅い9分あたりに来ているばかりか、スローすぎて凄みがまるでない。
もっと若いときの演奏は天才ホロヴィッツももう少し魂が叫んでいるのかな?

と、そんな時……
新たなピアノ協奏曲第3番のCDを探していて発見したのだ。
なんと作曲家本人の演奏だ。
セルゲイ・ラフマニノフ。
ロシア出身の作曲家であり、天才ピアニスト。
手がばかデカかったというラフマニノフが、1943年に亡くなる直前39年と40年に残した録音がCDになっていた。

早速購入して、聴く。
そして、驚いた。
第1楽章の出だしのテンポが速いのだ。
後世のピアニストたちが割とゆっくり叙情感たっぷりに弾き始める冒頭を、作曲家のラフマニノフ本人は、冒頭から苦悩と焦燥感を感じさせるハイスピードで弾き始める。
その演奏に引っ張られ、オーケストラもスピードを速めていく。
全体のテンポが速いので、例の連打は7分過ぎ。
鳥肌ものだった。

ふと思った。
モーツァルトやベートーヴェンの時代にも録音技術があったらなぁ~と。
僕らは彼ら天才の作曲した曲は聴くことは出来ても、本人が本当に意図した演奏を聴くことは出来ていないのかも知れない。
何しろ、当時とは楽器の種類も違ったり、音も違っている。
最近はモーツァルトやベートーヴェンの時代の古楽器を使ったオーケストラなんてのも出ているけど。

もしタイムマシンが出来たら、18世紀から19世紀のウィーンやらに飛んで、モーツァルトやベートーヴェンの生演奏を録音してきて欲しいなぁ。
タイムマシンの使い方は、最初はそれがいいと思う。

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