ひたすら聴いているのだ。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を。
車載CD6枚のうち、6枚全部この曲だ。
聞き込めば聞き込むほど、印象も変わってきた。
その結果、ラフマニノフとホロヴィッツの演奏しかほぼ聞かなくなった。
その他のピアニストの皆さん、アシュケナージやアルゲリッチやヘルフゴットにはたいへん申し訳ない。
だが、作曲者本人であるラフマニノフが1939年と40年に残したフィラデルフィア管弦楽団の録音と、ホロヴィッツが75歳の時に残したニューヨーク・フィルハーモニックの録音の2枚、これだけをひたすら交互に聞くようになってしまった。
ラフマニノフの演奏に関しては前にもブログに書いた。
作曲者本人の演奏なんだから、曲の解釈は間違いなかろう。
とにかく、出だしのスピードが速い。
そして作曲者としてよりも天才ピアニストとして名を馳せただけあって、技巧も素晴らしい。
録音状態が悪いが、これがまずピアノ協奏曲第3番の完成型だと信じる。
で、問題はホロヴィッツだ。
75歳のホロヴィッツの演奏は、出だし直後、やたら遅くなるのだ。
だから前回は「なんだこりゃ?」と思ってしまった。
ホロヴィッツには他にもピアノ協奏曲第3番の録音が残っていて、1951年、48歳当時のRCAビクター交響楽団の録音が決定版として、クラシック音楽ファンの間では有名らしい。
さらにロンドン交響楽団版もあるらしいが、CDが廃盤で手に入らない。
で、その決定版を聞いてみたのだが、48歳のホロヴィッツは出だしが普通のスピードだ。
さすが天才と言われただけあって、技巧はそれこそ悶絶モノですごい。
75歳の時より48歳の時の方が、技術的にはすごい気がする。
だから決定版なんだろうが、それでも僕は75歳のホロヴィッツの録音の方に軍配を上げる。
75歳の彼は、第1楽章の出だし直後、オケのペースを自らのピアノによってスローテンポに下げていく。
作曲家ラフマニノフ本人の演奏とは対極的だ。
だが違う意味で感情豊かなのだ。
他のピアニストたちが実直に楽譜通り弾いているこの曲に、ホロヴィッツは濃艶なタッチを付けていく。
ためるところは思い切りため、スローにスピーディーに自由自在だ。
調べたら、ホロヴィッツ、勝手に一部曲を変えて演奏したりもしているようだ。
この録音、ホロヴィッツじゃないと許されない演奏、とも言われているらしい。
第1楽章の一番盛り上がる部分は、やたら緩慢で、迫力不足だ。
ここだけは納得がいかないが、それ以外の部分からは、言葉では表せない凄みを感じる。
何度も聞いてしまう妙な魅力に溢れているのだ。
なるほどホロヴィッツ……
これが天才たるゆえんか。
ということで、オススメはこの2枚。
一応、アフィリエイトしておく。
興味のある方は聞いてみてください。
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番・第3番
ラフマニノフ:P協奏曲第3番
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