ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

日本語能力試験2023年12月

2023-12-03 | 日本文化情報センター
 今日は2023年度第2回(12月)日本語能力試験の実施日です。
 12月はミンスクが試験会場になることはないので、そしてそれは前々から分かっているため、日本文化情報センター日本語教室からは7名がロシアでの受験のため出発しました。
 うち4名がモスクワでの受験、3名がペテルブルグでの受験です。

 モスクワの7月の試験は申込受付をした後に中止が発表され、その後受験料の返金について「50%しか返金できません。」と通達があり、みんな面食らっていたのですが、今年12月の受験料に振替が可能であったため、上記4名は7月の受験を12月の受験に切り替えていたものです。
 12月の試験もまた中止になったらどうしようとみんな心配していました。でもようやく実施されたので、夜行列車や夜行バスに乗ってミンスクを出発しました。
 インフレ、そしてロシアの物価が高いことから、宿泊費を浮かそうと、試験当日の朝、モスクワやペテルブルグに到着、仮眠も取らないまま試験会場に直行する生徒もいます。

 これで不合格だったら悲しすぎるので、全員の合格を祈願しています。

 ペテルブルグで受験する3名は、7月のモスクワの試験が中止になり、多くの申込者が12月の試験に切り替えたため、モスクワの試験会場に空席がなく、ペテルブルグでの受験を決めた人たちです。
 しかし、ここで別の問題が出てきました。
 試験結果と認定証は採点を行う東京から各試験会場に3月にまとめて郵送されてくるのですが、モスクワの試験実行員会は、各受験者に転送してくれて、その郵便代も受験料に含まれています。モスクワからベラルーシへ郵送してくれるのでありがたいです。

 ところが、ペテルブルグの試験実行員会は、
「うちはそのようなサービスは行っておりません。3月ペテルブルグにベラルーシから取りに来て。」
と言っています。
 このため、もともと私は自分の生徒にはペテルブルグでの受験は勧めていません。
 でも、7月の受験を12月に振り替えた人が多くて、モスクワの試験会場には新規申込者用の空がなかったので、ペテルブルグに申し込むしかなかったのです。(ベラルーシからビザ無しで渡航できて距離も近い場所という意味では、一番便利なのはモスクワ、次がペテルブルグです。)

 合格しても東京からペテルブルグの試験実行員会に届いた認定証を取りに、わざわざ往復およそ1万円の夜行列車や夜行バスに乗ってまたペテルブルグへ行かないといけないのか・・・モスクワでの受験だったら郵送してくれるのに・・・同じロシアでもどうしてこんな差があるのかとうんざりしています。
 だったらペテルブルグの試験実行委員会のHPで申し込み手続き案内に、一言明記しておけばいいのにそれは書いてありません。
 実はこの点については、私は東京の国際交流基金に問い合わせたのですが、回答は世界各地で日本語能力試験が行われているので、細かい点は現地の実行委員会の判断に任せており、日本側は指示や規則は決定していないということでした。
 同じロシアでも都市によって対応がバラバラなのです。

 仕方ないので、一人の受験者が認定証を取りに行き、ついでにベラルーシで他に合格した人の認定証もまとめてベラルーシへ持ってきてもらったら、交通費が一人分だけになるのでみんな助かると思いましたが、試験実行委員会によると、他人の認定証を渡すには委任状を提示しないといけないということでした。
 つまり「私、◯◯はこの委任状を提示している△△さんに、私の日本語能力試験認定証を代わりに受け取ることを委任しています。△△さんは信用できる人です。」と記載してある法律上の効力を持つ委任状を作成しないといけないということです。
 そして、その公式な委任状を作成するためには公印が必要であり、その書類作成と手続きに70ベラルーシ・ルーブル、日本円にして3500円支払わないといけません。
 夜行バス片道4500円の交通費のことを考えると安いですが、代表で取りに行く人の交通費を合格した人の頭数で割って一人あたりの負担を考えると、今回受験している3人全員合格すれば得になりますが、2人しか合格しなかった場合、委任状作成の経費と合わせると、大した得にならないので、ペテルブルグへ自分で取りに行くのと差がない・・・ということになってしまいます。

 ペテルブルグで受験する3人があれこれ試験実行委員会に問い合わせたところ、結局ミンスクにある輸送会社に委託して、その業者さんが試験実行委員会に赴き、そこから直接ベラルーシの各住所に配達してもらうことになりました。これは一般の郵便ではないです。各々がこういう配達サービスに料金を払わないといけないのです。
 また夜行列車や夜行バスに乗って認定証を取りに行くよりずっと安くつきますが、やはり、ミンスクが試験会場にならないと、ベラルーシ人の日本語学習者の負担は大きいです。

 チロ基金としても何とか支援したいのですが、戦争のせいで状況がとにかく不安定で、ロシアでの受験支援になかなか踏み切れません。
 とにかく来年7月のミンスク会場の試験が実施されることを祈ります。
 それが無理な場合は、チロ基金提供の「私たちのテスト」を行います。チロ基金としてはとにかくできることは支援していきたいと思います。ともかく早く戦争が終わってほしいです。
(ウクライナもイスラエルも日本語能力試験、今日実施されているはずですけど。)

 このように書くと、「今や敵国扱いになったロシアで日本語能力試験など行うな、ベラルーシも同様だ」と思う日本人もいるでしょう。
 何だかんだ言いながら、ロシアで日本語能力試験が実施されると、受験料が動き、国の経済全体から見るとわずかですがロシア経済の一助になっているのです。
 ベラルーシ人がベラルーシで受験できないからロシアで受験します、となると、結局それはベラルーシ経済のためになりませんが、ロシア経済のためにはなります。日本はロシアにもベラルーシにも経済制裁を発動していますが。

 それから、ベラルーシで日本語を勉強しているベラルーシ人がおろうがおろうまいが、日本には関係がないと思う日本人も大勢いると思います。
 確かに国策のように力を入れて、ベラルーシで自国語普及に熱心になっている中国政府と韓国政府の努力の結果、ベラルーシでは日本語学習者の数が減ってしまいました。
 それも、どうでもいいことだと思う日本人が大多数でしょうし、それを責めるつもりは私はありません。しかし、このような現状を見ていると、その言語の学習者数が、それぞれの国の国力を表していると思えます。
 つまり日本語学習者の数が減るというのは、日本の国力、国際競争力が弱ってきていることの証拠であるということです。

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