ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

タイ着陸の貨物機から北朝鮮製兵器が大量押収された事件について

2009-12-14 | ベラルーシ生活
 12月13日に起こったニュース。「タイ着陸の貨物機から北朝鮮製兵器が大量押収」
 ニュース記事のリンクはこちら。発覚した13日より詳しい内容の14日の記事にリンクしています。
北兵器積載の貨物機、操縦士「行き先はウクライナ」(聯合ニュース) - goo ニュース

 記事全文はこちらです。

2009年12月14日(月)11:20

(聯合ニュース)
【バンコク13日聯合ニュース】タイ・ドンムアン空港で先ごろ欧州国籍の貨物機からミサイルなど北朝鮮製の兵器35トンが見つかり、当局に押収された事件で、操縦士が最終目的地はウクライナだったと供述した。
 タイの日刊紙「ネーション」が13日に報じたところによると、拘束されたベラルーシ出身の操縦士は警察の調べに対し、「ウクライナを出発し北朝鮮に到着後、商品を積んだ。平壌をたちドンムアン空港とスリランカで再給油し、ウクライナで貨物を降ろす予定だった」と供述したという。また、ウクライナから平壌に向かう途中、アゼルバイジャンやアラブ首長国連邦、タイで再給油を受けたと話した。
 操縦士は飛行スケジュールに関しては素直に自白したものの、自身や同僚乗務員が兵器を輸送した疑いについては全面的に否認した。乗務員らは商品輸送のために雇われており、兵器が積まれているとは知らなかったと主張したという。貨物機にはベラルーシ出身の4人とカザフスタン出身の1人が乗務員として搭乗していた。

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 この記事中にはちょっと間違いがあります。登場していた乗務員5人のうち、ベラルーシ人は1人。4人がカザフスタン人です。

 武器を輸出したのが北朝鮮。
 貨物機はグルジア籍。
 出発地点と最終目的地はウクライナ。
 給油のため立ち寄った国がアゼルバイジャンやアラブ首長国連邦、タイ。(スリランカは帰路に寄る予定。)
「あの貨物機、怪しいぞ。」と密かに通達してきていたのがアメリカ。
 乗務していて拘束されたのがベラルーシ人とカザフスタン人・・・と判明した途端、なぜかタイ警察はそのことを真っ先にロシア大使館に連絡。(ロシア語ができる通訳の派遣の要請をした。現在は拘束した5人のパスポートなどの書類はロシア大使館が保管している。)・・・
 ・・・といういろんな国が関わっている事件です。
 
 5人の乗務員のうちベラルーシ人操縦士は機長の役割だったらしく、この件に関して一番詳細を知っている可能性があると思われているようです。実際に乗務員代表のように、タイの警察への取調べにいろいろ答えているようです。
 拘束期間は12日で、起訴される見通し。裁判の流れによっては最大禁固10年の刑が言い渡される可能性があるそうです。

 ベラルーシ人が輸送に関わっていた、ということで、ベラルーシの在ベトナム大使館(タイにはベラルーシ大使館はないみたいですね。)が対応しています。
 それよりもっと事件に関わりがありそうなウクライナ側からは、この件についての情報が伝わってこない。なぜだ?

 乗務員5人は「武器が積まれているとは知らなかった。」と武器輸出への関与を全面否定。石油採掘用重機(つまり商品)を輸送している、と説明していたそうです。
  
 ソ連時代、空軍というものは一つだけで、そこでロシア出身やベラルーシ出身やいろんな人種のパイロットが養成されていたわけです。
 ソ連空軍のパイロットというのは45歳が定年です。(ただし出世していて、空軍内の何らかの役職などに就いていた場合は、定年は延びます。)
 定年後に生まれ故郷のベラルーシに戻ってきました、という元パイロットもたくさんいます。
 しかし45歳以上の年齢になったら、急に飛行機の操縦が体力的、身体的、精神的に不可能になるのか、と言うと、もちろんそうではありません。
「まだ46歳。飛行機の操縦はできるぞ。」
という元パイロットがいるわけです。
 そして45歳の定年後はふつう、年金をもらいながら再就職する人が多いです。収入の道が複数あるほうがいいわけですからね。

 しかし再就職後の職種が「あまり給料がよくない。」とか、「やっぱり空を飛ぶのが好きだ。」という定年後の人生に不満を持つ元パイロットがいます。
 そういう人が桁違いの給料に魅かれて、そしてまた空を飛べるということで、紛争地域の貨物機の操縦、という危険なアルバイトをすることがあります・・・。
 主に紛争地域への兵士や物資の輸送に関わるわけです。

 ゲリラ部隊などから敵機と見なされ攻撃を受ける可能性がある危険な仕事です。しかしお金がほしいばかりにそういう仕事をする元旧ソ連空軍パイロットがいます。

 今回の事件で拘束されたベラルーシ人操縦士、氏名はこちらのマスコミは公表していますが、年齢ははっきりしていません。(私が画像を見た限りでは、明らかに若くない人・・・。)
 しかし、この人も危険だけれど、成功すれば一度にたくさんお金がもらえる仕事、ということでこの貨物機に乗り込んだのではないでしょうか? こういう仕事をするのもおそらく初めてではないのでしょう。
 おかしい、危ないと思いつつも、何を運んでいるのか、知らない、いや詳しく質問することすらしない、というのも給料のうちに入っていたのかもしれません。

 中心人物ではないけれどベラルーシ人が関わっていた国際的な事件・・・ということですが・・・首謀者はどこの誰? 
 事件の核心を明らかにしてほしいです。