私はかぶれているわけではありませんが、所有している楽器は全て外国人が製作したものです。自分としてはいいと思った楽器を購入しただけで、外国製、日本製ということにこだわっているわけではありません。何人か懇意にさせてもらっている日本人製作家もいますし。
よく日本製の楽器は日本の気候に合うように作られているからいいというアマチュアの方がいますがそれは俗説です。外国の人が作った楽器でもきちんと作られていますよ。
先日のリサイタルで使用した楽器はスウェーデン人のラース・イェンソン作の13コースバロック・リュートです。彼は現在結構急ぎの仕事をいくつか抱えているみたいで、その中にエヴァンジェリーナ・マスカルディの8コースリュートもあるとのことでした。彼女が今使っている楽器の中にもラースの楽器があるのかな?
最近ラースの楽器を使っている演奏家がちょくちょく目につきますので、人気なんでしょう。以前から使っている人だとナイジェル・ノースが知られていますが、ヨアヒム・ヘルトなんかも最近のアルバムで使用しています。ただ残念なことに彼はもう受注をストップしてしまっています。私の生徒さんもお二人彼の楽器を持っている人がいますが、ラッキーでした。
外国人製作家の楽器はピンからキリまでありますが、絶対にキリの楽器を買ってはいけません。先生から勧められてもそれだけで買ってはいけません。目安はいい演奏をする演奏家が使っているかどうかです。CDアルバムのブックレットを見ると結構使用楽器のことについて書かれていることが多いので参考になります。
先生の仰るように現在進行形で著名な演奏家が使われてるものというのは、やはりそれだけの資質ある楽器だと思います。
かつて、クラシックギターでもセゴビア氏全盛の時代には、こぞってプロ演奏家はラミレス、ハウザーを使用したことは確かですし、また実際にそれを購入して使用しても間違いのないものだったでしょう。
楽器も時代とともに求められるものが変わっていくのでしょうが、本質はそう極端に変わるものでないと思います。
バロックリュートにおいては現在、世界でも製作家も多くなったなあと驚きますが、演奏家の皆さんも新人でも積極的に使用して試しているようですね。有益なアドバイスもなさり次代を担う良い楽器製作に資するのなら良いことだと思います。
私が今、一番興味あるのは、マイケル・ロウ氏のバロックリュートです。ウェイト20年以上ともいわれる名品ですが、私も夢でも所有したいですねえ。無理ですが・・・。
ちゃんとした楽器を新品で購入しても「育てぞこなっている」ケースを何件か知っています。これは始めの何年かきちんとした音の出し方である程度以上の時間をかけて弾いていないからです。新品の楽器を買っても眺めているだけであまり弾かない、あるいは弾いていてもきちんとした音が出ていないのではその楽器は死んでしまいます。
先生のご指摘されることと全く同じような内容を言われたエレキの神様がおられました。
ギターは弾くことで木材の鳴り線たる繊維の振動が常に弾きこむことで反応し、良い音に育てられていくというような内容です。
これはクラシックギターでも当てはまりますし、バイオリン、チェロなどもそうでしょう。
いかなる名器といえど、名手が良い音を常に弾きだし続けることで、楽器も育つのでしょうね。
でも、当然ですが、前提として楽器自体が良い材料とシーズニング等で、見識ある製作家によって作られていることがあるでしょう。