リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

音楽を語る(1)

2023年11月25日 15時48分52秒 | 音楽系
音楽についてある程度はことばで語ることはできても、音楽そのものをことばで語ることは全くできません。

「私はヴァイスのソナタ第32番のクーラントがとても素晴らしいとおもいます。それを聴いていると自分がまるで大きな大きな伽藍の中にいるような錯覚を覚えます」

生成AIが書いたレベルの文ですが、なんとなくわかったような感じになります。ここがくせ者です。もちろんこんな表現はヴァイスの曲とは何も関係のないデタラメです。

ある作曲家の作品について「とても和声的ではあるが、さすが現代音楽の洗礼をうけただけに・・・」なんていうのを某ストリーミングサイトで見つけたことがありましたが、これもとても分かりやすいデタラメです。現代音楽の洗礼って?少しトーンクラスタを使ったからそういうの?なんて突っ込みどころ満載です。

文章の才能があり、かつ音楽が分かっていない人が書いた文章はくせ者です。まぁ基本的にそういうものは読まないことです。でも音楽を聴くときはまず解説からという人は一杯います。わかりたいという欲求が強いんでしょう。でも音楽と向き合って率直にその響きを受け入れてみてはどうでしょうか。いやいやそれでは他の愛好家との音楽談義についていけませんよ、なんて仰るかたもいるかも知れませんが、そんな音楽談義、向こうさんも大して分かってなくて、本で仕入れたことをしゃべっているだけですよ。真摯に音楽に向き合ってそこから何かことばを紡ぎ出すことができたら何と素晴らしいことでしょう。


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