「追想の情景」第4楽章ではバスの提示から始まり、4つの変奏が続きます。第1変奏は3コース1フレットのB♭から始まる上行する二分音符と四分音符の音型が中心ですが、変奏の後半からは下降に転じ2コースの開放弦のdに戻ります。
第2変奏では八分音符が現れフレーズに少し動きが出て来ます。上行下降を繰り返しつつ高い音域に入り、1コース9フレットのdまで行きます。このあたりの音域は事実上の最高音域でしょう。dまで行ったら最後の3小節で下降し3コース開放のラまだ下がります。
第3変奏は前半が8分音符のフレーズですが、それまでとは異なり音の上昇がない固定的な音域の山型アルペジオでバスの変化によりハーモニーが変わっていきます。後半は同じような固定的なフレーズですが、16分音符による下降音がレガートで流れるとても美しいフレーズです。前半の8分音符フレーズとの対比たとても印象的です。
第4変奏では高い音から始まり前半4小節は1コース10フレットのd音から始まるカンパネラ奏法を伴った下降フレーズがとても美しいです。バロック・リュートはこういったギターで言うカンパネラ奏法は得意な楽器です。後半の4小節はローポジションの音域で16分音符が連なる分散和音的なフレーズが続きます。共通のバス主題を持つ変奏はこの第4変奏で終わります。
Epilogue後半の16小節とコーダ(最初に作ってもらった曲です)はオスティナートバスによる変奏ではありませんが4小節単位でフレーズが展開して行きます。前半のパッサカリア部がほぼ2声だったのに対して、ここでは3声の動きが中心でバスも1拍単位で動いているところが多いのでリュート曲としてはとても高い技術が要求されます。。
後半16小節に8小節のコーダ部が続き、最後はテンポを落としてト短調の和音によるアルペジオで曲を閉じます。この最後のト短調の和音で今回のリサイタルのテーマである「ト短調の調べが紡ぐ物語」の締めくくります。
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