リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

BWV1006a(16)

2024年08月11日 17時15分39秒 | 音楽系

65-72小節

65-66小節は前の2小節の反復です。

67小節目からは前半17小節目~28小節目と同じパターンですが調が下属調に転じています。このパターンの5小節目、全体では71小節目からは2小節単位で不協和音程→解決の形で進みます。(赤マルで囲ってある動き)一部の演奏家の演奏ではこの部分をまるでアルペジオの練習のごとく弾いていますが、(ギタリストに多い)きちんと和音の流れを出したいものです。アルペジオ練習みたいに弾いている人は一番下に来る音(ここではファです)を一番強く弾くので拍の頭がずれて聞こえます。そういう人は多分和音は聴かず指の動きだけで弾いているのでしょう。(逆にどうしてそういうことができるか不思議ですが)

シ♭を開放弦で使うという点においては前半の部分と同じですが、メロディラインの弦の使い方が前半部とは異なっています。途中から前半と同じ弦の使い方になりますが、その切り替わりが74小節からになりますので、73小節から74小節に移るときは音色の変化が目立たないように細心の注意を払って弾く必要があります。また右指のパターンも変わります。

73-76小節

74小節目の4コース7フレットのドの音を小指で確実に押さえるのはなかなか大変です。細い小指で7フレットで弦高が少し高くなっていてかつ複弦ですから指をはずしがちになります。ここはいきなり小指を持って行くのではなく前の小節(73小節目)で小指が空いているときに少し時間をかけて確実に4コースの7フレット上に触れておくと74小節目で指をはずす事がなくなります。本曲のようにリュートにとってあまりツボにはまっているとは言えない音型が沢山出てくる楽曲ではこのような小さな工夫の積み重ねが重要です。もっとも74小節目の4コース7フレットのドの音を小指で押さえず2か3の指を使う方法も考えられますが、その場合はそのあとのフレーズにしわ寄せが行きます。