最近は年をとっているせいか、テレビやラジオが私に興味を向けてくれることがなくなりました。20代の頃は若いし珍しい音楽をやっているというのでよく取材されました。もっとも中には「ステージに立つのを夢見る勤労青年たち」みたいに妙にゆがめられた内容をテレビ局の意向で放送されたこともありましたが。
20代の終わり頃にはNHKの津放送局で30分の番組を作ってもらいましたが、これは事前の丹念な取材があり、途中のミニコンサートも含んだとても丁寧な番組作りでした。放送が朝ドラの再放送の次だったので反響が大きく当時勤めていた中学校に電話がたくさんかかってきて驚いたものです。中には夫婦のもめ事の相談や結婚をしたいという電話もあり当惑しました。(笑)
ヨーロッパに留学する年にヴィオラ・ダ・ガンバの福沢さんに手伝ってもらったリサイタルの際にテレビ愛知に入ってもらいましたが、それ以来テレビはパタッと途絶えています。最近では10年くらい前に桑名六華苑の関係でラジオのリレー放送でちょい出したくらいですか。そうそう昨年には北陸地方のローカルFMラジオ放送に出させてもらいました。丁寧な作りの番組でしたが放送エリアが狭くもっと多くの人に聞いていただきたかったです。
やはりジジイがリュートを弾いていてもそんなにマスコミの興味対象にはならないんでしょうねぇ。かくなる上は100歳くらいまで活動を続けて、さすがにそのくらいいけば必ずやマスコミの興味対象になるんでしょう。100歳のリュート奏者、演奏歴80年みたいな。(笑)でももうちょっと早く「再発見」してもらいたいところです。
なかなか奥が深いお話だと思いました。
私も商売やってますと痛感するところです。もちろん、芸能、音楽、演奏関係と、一般の個人事業や法人会社のような商売とは、性質は違うと思いますが、時代の変遷、商品の中身、廃れ、飽き、新規性、最先端、流行りなど・・・、売れるものとそうでないものとの格差は時代とともに存在するなと思います。
現状に満足して開拓せず現状維持では、どんどん廃れていくし、顧客を開拓し、新しい企画、アイデアを常に考えながら走らないと商売敵に負けてしまいます。
私の周囲でもどれほど多くの仲間が廃業していったことか・・・、悲しくなるほど同業者の仲間がいなくなりました。
ですが、歌謡等含めた演奏、歌唱関係ではどうでしょうか。
単に、その方が年齢を経ているからというだけでお呼ばれしなくなるとは思えないです。もちろん、歌唱では、さすがに声や高音がもう若い頃と違い出ないから敢えて、テレビ等に出演は辞退、引退という人は多いだろうと思います。でも楽器の演奏は技術が維持でき、手、指、目、耳等、感覚器官、聴覚器官、体力の減退が無い限り、ずっと続けられ聴衆を魅了続けると思うのです。
テレビ番組というのは、面白いか、注目され視聴率を稼げるかという商業主義の最たるものです。いかにスポンサーがつくか、儲かるかです。
たしかに、テレビに出れば、有名になり集客に有利になるかもしれません。でも、コアなファンというものは、必ずリアルの演奏会の場で見ていてくれるものだと思います。特にリュート音楽は、真摯な専門紙、週刊誌などで拝見できれば良いのでないでしょうか。
昔、NHKだったか、欧州の城郭の歴史だかを取り上げた番組で、城の片隅でリュートを弾く奏者の演奏シーンを見たことがありました。とても感動した覚えがあります。あのようなシュチュエ―ションこそテレビで取りあげられるべきものだと思ったほどです。
わけわからんタレント衆集まる雑踏環境のようなお笑い番組ではご免ですね。
日本の今の喧騒と飽食、軽薄短小の文化の中で、物珍しさでなく、心の音楽として日本で脚光を浴びる日がまた来ると私は信じています。エレキなどやってる私でも、心のバランスを取るために静かなリュート音楽を欲するなど、若い頃には夢にも思ってなかったです。
どうか先生におかれましては、ずっとファンにとって光りのような存在であって欲しいと思っております。