リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

志を高く(2)

2024年09月06日 12時46分38秒 | 音楽系

ついでに「ガリアルダ」も英語風にガリヤードとでもした方がよろしいでしょう。イギリスの舞曲は独自のスタイルがあり英語での呼び名も他国とは異なっています。例えばPavan, Pavin, Almain, Alman, Galliard, Corantoなどのように。ですから日本語の表記も英語読みから日本語化したほうがよろしいでしょう。ちなみに拙著「とりどりのリュート曲撰」(Robert Dowland/ VARIETIE OF LUTE-lessons 1610の日本語訳)ではパヴァーン、ガリヤード、アルメインといった英語読みを元にした訳語を使っています。

あと楽器編成ですが、イギリスのブロークン・コンソートを演奏するには欠かせないヴィオール、リュート、シターン、バンドーラ(パンドーラ)が入っていません。件のコンサートで使われる弦楽器はヴァイオリン属だけです。あとチェンバロが入りますが。本来のサウンドとは相当異なるものになるでしょう。

ここまで書いたことは古楽器演奏家にとっては知っていてあるいは実践して当たり前のことで、もはやそれを看板にする時代ではありません。

いい演奏であることが最も重要なことで、楽器云々ではないということは確かに言えます。でも古楽黎明期の50年くらい前ならいざ知らず、それからすでに半世紀です。こんなことを踏まえていないようでは古楽器の演奏団体とは言えないでしょう。いやいや今や古楽は終わった、今やHIP(Historically Inspired Performance 歴史的演奏に触発された演奏)の時代ですよ、という声もあるかも知れません。それならいろいろ面倒なバロック・ヴァイオリンなんか使わず、いっそモダン楽器で演奏するという手もあります。

ヴィオールの音とヴァイオリンの音は全く違います。リュートやバンドーラの音はチェンバロではまねができません。これで歌における英語の発音が間違いだらけだったら目も当てられません。名古屋の古楽はまだ遅れているのか?演奏には若い方も入っています。彼らにはCritical Point of Viewを持ってもらいたいものです。


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