リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ルネサンス・リュートをオールガットに

2012年11月14日 16時33分18秒 | 音楽系
昨日Gamut社に発注していたガット弦が到着しましたので、早速ルネサンスリュートに張ってみました。今回は来週にコンサートを2つ控えていますので、弦が間に合わないといけませんから、お急ぎ便で発注したので12日で到着しました。1コースから4コースまではもうすでにガット弦を張ってあるので、今回は5~7コースです。5コースはギンプ1.00ミリ、6コースはギンプ1.50ミリとビーフガット0.74ミリ、7コースはギンプ1.68ミリとビーフガット0.84ミリです。



5コースは今まではナイルガット芯の巻き線(Dタイプ)を張っていました。これがすこしギンギンして響きすぎていましたが、ギンプ1.00はちょうどいい加減です。少し問題があるのが6と7コースのバス弦です。ガムート社のサイトにあるお任せサイズだともう少し細いんですが、張力を3.0キロくらいにすると私が選んだ太さになります。えらい太いですねぇ。これだけ太いと弦の両端がはじめはあまり振動しないためか、はじいた瞬間の音が少しすぐに立ち上がらずかつ少し音程が高く聞こえます。高いというのは少し不正確で、高めだけどはっきりと音程とはとらえがたい音が一瞬聞こえます。かと言って細くして張力を落とすと、音が貧弱になるし、それでこの問題が根本的に解決されない感じもします。

実際にはこの音は立ち上がりの早いオクターブ弦が打ち消してくれますので、まあそんなに問題はないとも言えます。でも7コースはFに調律してますが、このあたりがきれいに響く限界のような気がします。

そういう理由があるので、ルネサンスならオールガットが可能だけど、13コースの場合、バス弦の真ん中あたりより下はとてもギンプ弦では無理だと踏んでいましたが、大体予想通りでした。バロックリュートの低いレンジにはもう少し質量のある弦が必要でしょう。私の場合は、現状では7コース以下は合成樹脂芯の現代式巻き弦(要するにピラミッド社の巻き弦ですが)に頼らざるをえません。でもこの混成タイプ、以外とバランスがいいです。

さて太いギンプ弦ですが、5コースはオリジナルの穴に入りましたが、6と7コース用の太い弦はブリッジの穴もペグの穴も通りません。従って穴を大きくする必要があります。こんな時のためにと、直径1.2ミリの細い丸やすり(下の写真の手前)を所有していましたが、1.7ミリ、1.5ミリ、1.1ミリのロングドリルもあらかじめ購入して備えていました。

弦がもうぼちぼち届きそうだという3日前に、穴だけでも先に開けておこうと思い電気ドリルに取り付けてやってみようとしましたが、チャックが細いドリル芯には対応していません。もちろん手でドリル芯を回すのは滑って全くだめです。

そこで昨日弦が届いて、カインズホームに何かいいデバイスがないか探しにいきましたら、やはりあるものですねぇ。極細のドリルを挟む専用のチャックがちゃんと売っていました。これを買ってきて手で回してグリグリと・・・。



6コースは1.1ミリ、7コースは3つの芯を使って徐々に穴を大きくして行きました。意外とあっけなかったです。(笑)慣れていれば電動ドリルでやればものの2,3秒でというのも可能ですが、ちょっとリスキーなので手で回しました。あっと手元が狂って表面板貫通なんてことになったら大変ですからね。(笑)あ、そうそう前から持っていました、1.2ミリの丸やすりは使い物になりませんでした。根気よくやれば行けたかもしれませんが、やはり刃がついていないと穴を掘り進むのは大変です。