リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ガットレポート

2012年11月15日 18時39分32秒 | 音楽系
昨日替えたガット弦ですが、6コース、7コースのバス弦はコンサートではちょっと使用が難しい感じがしましたので、結局ピラミッドの巻き弦に再度張り替えました。オクターブ弦はガット弦のままで、これはなかなかよろしいです。結局バロック・リュートと同じパターンになりました。ついでに5コースもちょっとぎらつき気味ですがピラミッドに張り替えました。というのは、昨日のエントリーで、5コースのギンプ1.00はちょうどいい加減です、と書いていたんですが、何曲かさらってみると、どうもテンションが低い感じがしました。そこでポール・バイヤー氏製作のソフトで値を確認すると、何と0.1ミリ細いのを誤って発注していました。

直径の0.1ミリの差ってささいな感じですが、張力でいうと約500グラムも違います。え、500gくらいどうでもよさそうじゃん、なんて思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、弦の張力が3キロあるかないかのリュートでは500gグラムの張力差は結構なものになります。(クラシックギターでは8キロくらいです)ま、使えなくはないですけど、この際ですからピラミッド弦に張り替えてしましました。

コンサートでちょっと使用しづらいというのは、2つの側面があります。一つは地味すぎて現代の聴衆にはアピールしないということ、もう一つは音程が聞き取りにくくて調弦に時間がかかることです。古楽器と言えども現代の人に現代の会場で聞かせるには、パッと調弦して、豊かに響く必要があります。調弦しまくり、あるいは狂ったまま弾いてしまい、低音はボッソンボッソン(なんというオノマトペ!)ではねぇ。

今の私の楽器の弦は、ハイレンジとミドルレンジがガット、バスレンジはオクターブ弦はガットで、バス弦はピラミッドとアキーラの巻き弦という組み合わせです。この組み合わせは、プレーンの合成樹脂弦を使っていないので、温度に対する感受性が低くて結構扱いやすいと思います。バス弦でもう少し質量のある弦(オープンワウンド弦とかローデドガット弦)がほしいところです。ローデドガット弦は近々発売再開とのアナウンスがアキーラ社のHPにはありますが。