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『ニーゼと光のアトリエ』(映画メモ)

『ニーゼと光のアトリエ』(2016年、ホベルト・ベリネール監督)

1943年のブラジル・リオデジャネイロ。女性精神科医のニーゼ(グロリア・ピレス)は国立精神病院で働くことになるのだが、そこで行われていたのは脳の一部を切り取り患者をおとなしくさせる「ロボトミー手術」。また、患者は人間扱いされておらず、看護師たちの態度も最悪レベルだった。

そんな中、ニーゼは患者を「クライアント」と呼び、普段着を着せて、絵を描かせる。狂暴な患者や無表情な患者が、創作活動を通して人間性を取り戻していくというストーリー(ちなみに事実)。

印象的だったのは、絵画の技法は教えずに、本人の描きたいように描かせていること。

はじめ反抗的だった男性看護師が協力的になっていく姿が良かった。

社会心理学者(茨城大学)の石井宏典先生は、研究者と調査対象者の間には「対する関係」と「並ぶ関係」があると指摘してるが、ニーゼは「並ぶ関係」の中で、患者の回復を導いているといえる。

寄り添うことの大切さを感じた。







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欲望が行きすぎるよりも 目の前に見えているものが良い

欲望が行きすぎるよりも 目の前に見えているものが良い
(コヘレトの言葉6章9節)

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恩を忘れない

ANA機内誌『翼の王国』の連載記事「おべんとうの時間」が好きである。

今回は岩手県釜石市の職員佐々木さんが紹介されていた。2011年の震災のとき、佐々木さんは避難所の仮設トイレ担当だったという。

「ある時掃除をしていたら、神戸から来た青年が声をかけてくれたんです。自分は阪神・淡路大震災の時に小学生だったんだけど、あの時一番最初に自分の所に助けに来てくれたのが岩手県警だったって言うんですよ。だから岩手で何かあったら、真っ先に行こうと思ってたって。それで警察官になったそうです。それを聞いて、涙流しながら便器の水も流したっていう経験をしましたね」

このエピソードに感動した。

助けてもらった恩は忘れてはいけないな、と感じた。

『翼の王国』(2019年9月号, p. 81)
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『十代に共感する奴はみんな嘘つき』(読書メモ)

最果タヒ『十代に共感する奴はみんな嘘つき』文春文庫

『夜空はいつでも最高密度の青色だ』につづき、詩人・最果タヒの小説を読んでみた。タヒ流の変わった詩の文体で書かれている小説なので最初は戸惑ったが、引き込まれた。

女子高生の和葉(カズハ)は、陸上部の沢くんに告白するが「まあいいよ」という返事が気に入らずに速攻で振ってしまう変わった女の子。

沢くん、いつもヘッドフォンをつけている孤独なクラスメートの初岡さん、結婚することになった大学7年生の兄、自殺しそうな兄の友人との絡み合いのなかで進むストーリー。「今をしっかり生きる」大切さが伝わってきた。

作者のあとがきがそのまま詩になっているので一部紹介したい(最後のほう)。

「きみが瞬きをした瞬間が尊い。それ以前に、それ以後に、何をするのか、何を考えるのか、そんなことをもうどうだっていいのだと、言い切りたい。だって生きることは尊いから。生きることそのものが、尊いんだから。人生の長い時間のことなど、未来や過去のことなど、今の私には、今のきみには、実はすこしも関係がない」(「あとがき」より、p.155-156)

「昔に比べれば丸くなったとか、そんなことを言うために、過去を美化して今の自分を見限って、それじゃすべてが台無しです。ずっと、現在進行形で研ぎ澄ましていくばかりの人生だ。そんなの、一生変わるわけがない」(「文庫版あとがき」より、p. 159)

「現在進行形で研ぎ澄ましてくばかりの人生」というフレーズにグッときた。



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「こうありたい」が人をつくる

日経の日曜版に漫画家の里中満智子さんが紹介されていたのだが、思いの強さに圧倒された。

知能指数が大阪トップクラスだった里中さんだが、漫画の魅力にとりつかれ、漫画家になることを自分の使命とする。

「マンガを描くには土台となる勉強が必要だ、人類が記したものは全て目を通さないと。「もうね、受験勉強なんかしてる場合じゃないんですよ」。高校時代のは楽に受かりそうな近所の公立に決め、図書館の本を読みつくした」という。

高校生で漫画家デビューを果たした里中さんだが、3年生になり受験が近づくと「しばらくマンガは休んで勉強したら」と勧められる。

「休むなんてとんでもない。仕事は一生だけど、学校は一生行かないでしょ」。すっぱりと中退を選んだ」らしい。

次の言葉がすごい。

「16を過ぎたら親や周りのせいにしてはいけない。生まれ持ったものより『こうありたい』と願う気持ちがその人をつくるんです

普通の人の場合、なかなか「こうありたい」というイメージが持てないケースが多い。しかし、「どうありたいのか?」を問い続けることは、自分のキャリアを形成する上で大事だと思った。

出所:日本経済新聞(2019.9.1)
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心を入れ替えて子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない

心を入れ替えて子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない
(マタイによる福音書18章3節)

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