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『向田理髪店』(読書メモ)

奥田英朗『向田理髪店』光文社文庫

舞台は北海道苫沢町(モデルはたぶん夕張)。かつては炭鉱で栄えたものの、現在はさびれ過疎化してしまっている。そんな街で理髪店を営む向田康彦53歳を中心としたストーリー。高齢化社会の問題について考えさせられる内容である。

6編の連作から成っているのだが、その中でも「中国からの花嫁」が良かった。

40歳になる農家の長男が、斡旋業者を通して中国からお嫁さんをもらったことに絡む話しなのだが、人のつながりの大切さが伝わってくる逸品である。

なお、主人公の康彦は、札幌の広告代理店に勤めたものの、ついていけなくて故郷に帰ってきたというトラウマを持っている。しかし、物語を読んでいくと、さびれた苫沢町での暮らしのほうが豊かであることがわかる。

本書を読み「ちゃんとつながらないといけないな」と思った。






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